S2 集落の非人殲滅 10月2日

――郷宮市 宮文大:ギルド――


▶みあと澪和がエレベーターで降りてくると、シノブさんがニコニコしながら待っていますね


シノブ「第88小隊だと君たちが最後かなー。一応3人以上って決まりはあるけど、そこは置いといてとりあえず依頼チェックしてね」


澪和「はーい。クエストボードってところの張り紙から好きなの選ぶってゲームみたいだよねやっぱり」

みあ「そうねぇ。って、なんかこの間より人少なくないですかー?みんな来てねって言われてたのに」


シノブ「それがねー。みんな勝手に仕事受けちゃって。お金ないんだって」


澪和「シノブさん?あのー……。1つしかないんですけど」


シノブ「ならそれを選んでね。中身も読んでね」


みあ「薄情者だ……」


集落の非人殲滅


依頼主 鹿狩瀬優弥


この依頼文を見てくれたってことは、やってくれる意志があるってことだよな?


最近、近所の山に未確認の転移龍脈を発見した。


どうやら龍脈を利用して食料などをこっそり買いに来ているらしい。


食料は人間の為のものであり、住民票も人権も存在しない亜人共に渡す食料なんぞパン屑一つすらありゃしねえ。


逆探知はこちらでやっておくから、転移龍脈を逆走して亜人を殲滅してくれ。


人権もないから殺人罪なども適用されない。遠慮なくやってもいい。――そうそう、深角が材料に2つ程ほしいと言っていたから暇ならそっちも頼む


澪和「物騒なこと書いてるけど、ちょっと意味がよくわからないです……」

みあ「意志とか言われてるけど強制で見せられたじゃないですかー」


シノブ「あのおじさん、本当は説明用にここにいないといけないんだけど……。いないわね」

シノブ「仕方ないか。先に深角さんのところ行ってくれる?2人じゃちょっとこの依頼受けさせられないから」


澪和「あっはい。えと、深角さんって人に会うにはどこに行けば……?」


シノブ「エレベーターでここより更に下の研究棟ってとこ。そっから道なりね」


みあ「ほんと広いですねぇ、ここ」


――郷宮市 宮文大:研究室――


▶エレベーターで更に下に降りたあと、エスカレーターでどんどん上に舞い戻って4Fの隠し部屋のところに深角とネームプレートの書かれた部屋がありました


深角「シャムの皆さん。3回目の労働の時間がやってきましたよ。せめて人々の為に役に立ってきなさい」


凛「ねぇねぇくーちゃん、今日はキラキラ系コーデにしてみたよー、かわいいー?」

みあ「ここかな?失礼しまーす」


深角「来ましたね。恐れ多くも人間の為に役立てる日が来たポンコツ共。身体は壊れても人間の命だけは守りなさい」


澪和「アクの強い人だぁ……」

空「そうですね、お久しぶりです。少し見ない間に随分と消耗されましたね。――もう二人ですか」

凛「――あ、このまえのー。こんにちはー」

澪和「他の人はもうお仕事しちゃったんだって」

みあ「シノブさんに言われてきたんですけど、ここの人たちってみんなこんな感じなんですかー?」


空「それでわざわざこんなところまでいらして、お仕事なのでしょう?」


深角「このポンコツの傲岸不遜は後でキツく言い聞かせてきます。ともかく、意味もわからず私の鸚鵡返しするアホ共ですが性能だけは見合うように製作したつもりです。願わくば、人類の発展にこの撫子型が寄与されるよう願っております」


澪和「う、うん……。これなんだけど」


▶澪和は依頼書を見せます。漢字の怪しい2人の為に深角がわざわざ朗読してあげてますね


深角「――ふむ。まあこの程度ならこのポンコツでも捨て駒にはなるでしょう。良いチョイスですね」


凛「人の役に立つのはいいんだけど……。もっといたわったりしてほしいなぁ」

みあ「ここの人って、みんな人に対してそういう感じなんですかー?私達もそういう感じ?」


深角「ここの奴らは人間に対しての倫理観というものがないんですよ。生命の神秘に対する敬意がない。大きな歯車を回そうとするのならば、多少は仕方ないとも思いますがね」


空 「人権をお持ちである意識があるのであれば慣れが必要でしょうね」

みあ「ふーん?なんかヤな感じ」


深角「むしろ、討滅に行く前に少し紅葉に寄っていくといい。合言葉は『冬川紅花の無修正オールヌード』だ」

深角「店に入ったあと、店員に必ずこう伝えろ。『冬川紅花の無修正オールヌード』だ。忘れるな」


澪和「は、はぁ……」

空「大事な事なのですね、覚えておきます」

みあ「それ中学生大丈夫じゃなくなあい?もっと低い子もいるけど」

凛「んー?紅花ってたしか……なーんかヤな予感……」


――郷宮市 郷宮市部紅葉――


▶市の外れ、ゲーセンのざわざわした空気と一緒に喫茶店が展開してる少し異様な喫茶店です。店員は全員ブカブカのTシャツだけ着ているように見え、太ももがちらちらと眩しく男の視線を欲しいままにしています


彼シャツ店員「いらっしゃいませ~。何名様ですか?」


みあ「うーん、これもヤな感じ」

澪和「恥ずかしくないのかな……?」

空「冬川紅花の無修正オールヌード」


彼シャツ「なるほど。では一番角の席にお座りください。担当者が案内します」


凛「かわいい服がみれると思ったけど……今日のはそこまでかわいさはないなぁ」

澪和「いつもこんなすごい感じなんだ……。ちょっと気になるかも」

空「結局紅葉に寄ってなにが起こるというのかはわかりませんが、煩わしい問答が無くてよかったです」


▶案内され角の席に座ると、程なくして同じくぶかぶかのシャツだけを着たように見える女性がやってきます。神影ですね


神影「誰かと思ったら君たちか。なるほど。じゃあちゃんと席捕まっててよ」


みあ 「え、捕まってて?」

空「まぁ、楽しみ」


▶席から勝手にシートベルトのようなものが出てきて身体に括り付けられます。気づいた瞬間、縦回転で席ごと一回転して、気づけば全然違う場所にいます


神影「いらっしゃい。ここが紅葉の作戦部屋ってこと。内緒話をするのに向いてるってわけ」


みあ「ひゃあ!?もうちょっと何するか言ってからにしてくれませんかー??」

澪和「わわ……」

空「なるほど、あの素敵な合言葉はここに行くためのものだったんですね」


神影「言ったら嫌がるでしょ?それに、紅花様の魅力にようやく気づいていただけたみたいですし」


▶いつの間にか、神影以外にも席に案内してくれた店員さんもいますね


彼シャツ「そこのクレイジーサイコレズは話通じないので、代わりに私が応答しますね。僕は日之影ひのかげです」

神影「わかるわかるって。大方、冬泉だけだと思想が鈍るとかいう深角の開発バカに言われて説明を代替わりさせたとかそういうやつでしょ大方」


空「なるほど、そういう意図があったのですね。――フカスミさんのことを私たちよりも理解していらっしゃるのですね」

澪和「……えーっと。私達、この依頼?を受けたんです。それを深角さん?に見せたらここに行けって……」


▶澪和は神影と日之影にも依頼書を見せます


神影「ま、君たちより何だかんだ長いビジネスライクを築いてはいるから。それで、そもそもなんだけどどこまで知ってるの?」

日之影「ふーん……?まあ、冬泉らしい依頼ではありますね」


みあ「今んとこあんまなんもわかってないんですけど、まだどっかに行かされる感じですかこれ?」

凛「いろいろややこしいねぇ」


日之影「これ何も知らない若者ですよ。はぁぁぁ……。これだから冬泉は」

日之影「そうそう未来さん。七五三掛しめかけさんが来るらしいので店番お願いします。その間教えておきますから」

神影「ういうい」


▶神影さんは普通に扉から出ていきました


空「出口は普通なんですね」


日之影「あなた達、覚醒……。プリキュアみたいな感じのやつはできるんですか?」


澪和「あんまり変わらなかったけど……」

みあ「なったかも。小さくなりました!」


日之影「そうですか。それが出来るようになる空間のことを悪鬼と僕達は呼称しています。昔はゲートとか、異世界とか言われてたみたいですが二次元の侵略で今では名前が先祖返りしている状態ですね」

日之影「悪鬼というものは、人間の感情によって引き起こされることがわかってます。嬉しくても悲しくても感情が大きくなり、波になって抑えきれない時人間は一旦その感情を忘れないように別の空間に収納します。それが発生原理とされています」

日之影「嬉しいとか楽しい感情は神様の餌、悲しいとか怒りの感情は化物の餌になります。どちらもその感情を増幅させますが、化物だけ退治すれば事態の悪化を引き起こすことはありません」

日之影「紅葉も冬泉も、そして皇というものもありますが。これらは化物……羅刹を完全殲滅させることが我々力のあるもの……夜叉の活動原理になってます」


日之影「ここまでで質問はありますか?」


凛「ほえー、そうだったんだ」

みあ「化け物って言ってるけど、この間の話通じないやつも化け物?退治してたし。人型だったけど」

澪和「なんとなくはわかったけど、なんで3つもあるの?分ける必要性って?」


日之影「活動原理が違うからです。大元の目的は羅刹……基本的には空間を形作った感情に支配された見た目だけ人型の奴らを殲滅することですので、大きい事件があったりすると協力をしたりもします」

日之影「僕達紅葉は会話が通じる人間じゃない化物、亜人に関しては保護するべきというスタンスを持っています。所謂妖怪とか獣人などですね」


凛「深角さんはりんたちに人の役に立てー、としか言わなかったねぇ」

空「亜人、なるほど今回の依頼書に書いてありましたね」


日之影「君たちの所属する冬泉は人間至上主義です。人間以外は基本的に会話が通じても殲滅します。亜人が冬泉で活動したいなら人間証明書というものを発行する必要があります。――あなた達は人間証明書を持っているようですね」

日之影「皇は……まあ今はいいでしょう。何より、亜人の処遇。それに、組織に所属する人間の扱いの差などの面から協力はできても同じになることはほとんどありえないのが現状です」


みあ「あー、もしかしてこの間書かされたやつ?」


日之影「おそらくですが、君たちが書かされたのは履歴書でしょうね。今の君たちの立ち位置は冬泉の社員ということになっているはずです」


みあ「みあたちまだ中学生以下なんですけどー……?」

澪和「そもそも働いていい年齢なの……?」


日之影「冬泉は造反を許しません。個人情報の把握と裏切り者の処刑は一番苛烈ですね。――まあ、裏切りを許さないのは紅葉もですが」


みあ 「履歴書じゃなくて契約書が必要なんじゃないかなあ……」

凛「履歴書……りんとくーちゃんのことかなぁ?」

空「姉様、私たちはどちらかというと冬泉の備品といったところですよ」

澪和「怖くなってきたよ」

みあ「じゃあその亜人って人たちも、さっきの悪鬼ってやつで生まれるの?――一人に一部屋ある感じ?連れてきてって言ってたけど、悪鬼から連れ出しても平気なの?」


日之影「基本的に亜人というものはミームから生まれます。昔の言い方なら都市伝説ですね。最近の傾向としてはケモナーに優しい社会になってきているので、ケモナーが好みそうな獣人が多いですね」

日之影「彼らは悪鬼で発生をしますが、まだ羅刹ではありません。ほとんど人間と同じですが、生きる為、そして食料や存在意義を手に入れる為に度々街に降りてきては生存本能に基づいた行動を起こします」

日之影「震源地が同じようなミームで生まれると同じ悪鬼で発生するため、次第に彼らは村のようなものを築き上げます。発展すると集落と呼ばれ、ミームが落ち着いた頃には基本的にその集落は別世界として定着しますが、供給は発生理由と馴染み方によります。大抵は一過性のブームなので、飢え始めますね」

日之影「そうなると亜人は、存在性の固定化の為にskebに依頼をしたり自給自足をしたりして自己の存在を固めます。――ですが、稀に存在意義そのものが危険な場合があります」

日之影「過激なR-18に相当するものなどのミームから生まれた場合です。この場合は肉体性、精神性に問わず敵対勢力となるので紅葉でも殲滅を行います」

日之影「厳しい世界のSFで手駒として使われる軍人形や、スマホを見せるだけで精神汚濁させれる催眠などが相当します」


凛「自然なけもみみとかしっぽはいいなーと思ったけどこわいなぁ……」

澪和「やっぱり妖怪とかも大変なんだなあ」


日之影「今回の依頼内容については我々も把握はしています。これは八尺様の集落だと思われます」

日之影「ここ最近はショタ食いの妖怪と認知されてきているようで、新しい概念の八尺様として集落を形成しているみたいですね。最近は全国各地で強姦もどきのような事件が多発していて冬泉は殲滅に踏み切ったようですね」


空「なるほど、では意思の疎通は難しいかもしれませんね、特定の一音しかしゃべれないのでしょう?」


日之影「八尺様に関してはそうでしょうが、ショタ食いの妖怪の八尺様……。ショタ尺様と呼びましょうか。このショタ尺様は、ショタを誘う為にしっかりと会話が成立します。存在意義が非常に不安定で震源の作者の匙加減次第になるところがあるので、我々としては保護も殲滅もできない立ち位置なので黙認ベースになりますね」


みあ「一人に一部屋じゃないんだ。というか、亜人って人放置してたら悪鬼にマイナスが溜まっていくんでしょ?それはいいの?」

みあ「なんか連れてきてーって言われてるけど」


日之影「ものは同じなのですよ。本来は1つの現象に1つの悪鬼、といった感じなのですが同時多発的に由来が同じ震源のミームが多数発生するとそれら全てが概念として一緒になります。よく、なんとかショックとかみんな見えていない2期目の幻覚とかをTwitterなどで見る事があると思います。これらは発生の震源地が一緒ですが、細部は人によって異なります。ですが、時間が経つとこれら全ては同じ出来事として処理されてしまうのです。ですから、同じ場所に似たような存在が多数生まれてしまう原因となっているのです」

日之影「悪鬼にマイナスが溜まるのは羅刹と呼ばれる存在になってからです。神様の居住空間も厳密には悪鬼として扱います。感情の置き場所として成立する空間そのもののことを悪鬼として呼称しているだけです」

日之影「亜人に関しては人間社会に混ざっても影響そのものはありません。ただ、国籍や住民票のない不法移民そのものなので増えすぎると人間社会にとって毒でしかありません。紅葉などが誤魔化すにも限度はあります。いずれ破綻するのがわかっているので増えすぎるのはよくありません」


みあ「なるほど~」

空「ではその、楽しい感情で出来た悪鬼や悲しみなどで出来た悪鬼は見分けはつくのでしょうか」


日之影「悪鬼は基本的に色で認識できます。生物の本能に沿って危険色になっているので、危険色が強い赤みが強いほど危ない悪鬼とされています。神様の空間は危険色がないので白、というより透明とされています」


凛「赤があぶない……わかりやすーい」

空「随分と分かりやすくて助かりますね。――話を戻して申し訳ないのですが依頼書に書いてある、この移動龍脈や龍脈といったものはなんでしょうか」


日之影「龍脈というのは主に風水で使われる単語で、パワースポットと言いかえることができます。感情の流れを抑制する効果があり、悪鬼羅刹に効能を発揮します。本来は魔除け的な用途で使用するのですが、近年になって龍脈を使ってワープを行うことが出来る、という概念が発生してしまいまして」

日之影「これを使うことで遠方から進軍することができてしまうようになってしまいました。龍脈と書いてある場合は遠方に出張すると思ってもらっても構いません」


空「ありがとうございます、私からは以上です。とても分かりやすい説明で助かりました。――冬泉の人たちにも見習ってもらいたいものです」

凛「人の役に立てー、とか言ってる割にりんたちにもほとんど教えてくれてなかったんだなぁ……。やっぱり別に壊れてもいいんだなぁって、ちょっとかなしい……」

みあ「っていうかみあたち本当になんにも知らないままだったじゃん!他の人達みんな適当にお仕事してるの?」


日之影「冬泉には冬泉のスタンスと信念があります。そちらは冬泉に属する人間に聞いてください。それと、紅葉だと必ず研修があるので適当に仕事してるわけではないと思いますが……、冬泉の体制は詳しくないので」

神影「説明終わった?月奈ちゃん達連れてきたよ」


▶神影が金髪の幼女と、タトゥーをしたマッチョを連れてきます


みあ「また新キャラかー。覚えるの大変」


月奈「おねーさんたち、こんにちわ。月奈つきなと契約しに来たの?」

椊田「すまんな。俺は椊田そねた。妖精だ。あっちのクソガキは七五三掛だ」

月奈「月奈は月奈だから。お願いしてくれるんだったらぁ、月奈がそのポンコツボディ、改造してあげてもいいよ?」


▶月奈は澪和に紙を渡します


凛「こんにちはー、わたしはりんだよー。え、妖精?わー……」

澪和「こ、こんにちは……?」

みあ「みあはみあだよ。こっちは履歴書じゃなくて契約書?」

空「どうも、空です。契約というのは?」


椊田「実際は俺と月奈に装備や設備に対しての作成や管理、強化などを専任する独占契約だ。その中に、お前達資材の改造も入っているというわけだな」

月奈「そうそう。これでも月奈、紅葉のえらい人だから信用してくれてもいーよ」


凛「え……改造?……もっとかわいくなれたりするの?――いたくない?」

澪和「もう今更契約増やしたって一緒だよね」

空「おや、契約書の内容をお読みになられましたか?」

みあ「あ、みあも書く書く」

澪和「月奈ちゃん、これでいいかな?」


▶澪和は月奈にサインしたものを手渡します


椊田「これは小隊ごとの契約だ。――契約したからには、対価を貰えばしっかり働くさ」

月奈「ありがと♡ ちゃんとベルさえ持ってきてくれたら私達が最高の仕事を提供するから。プロ意識が違うんだよ、粗製品なんて渡さないから」


みあ「あっちは場所だけしっかりしてるけど、こっちは人がしっかりしてる感じ?」


月奈「そーいうこと。紅葉と冬泉、どちらの方がいいってわけじゃないから出る杭にならないよーにはしてるけどね。第88小隊さん♡」


空「そういうことでしたか、なら、安心ですね。ではこれから、よろしくお願いしますね」


日之影「――知っているとは思いますが、ベルはこういうものです。おそらく、冬泉からも支給されてると思います」


▶日之影はベルを見せてくれます。パッと見た限りだと5種類はあるように見えます。春夏秋冬の意匠が施され、それぞれの季節っぽい色の丸いコインですね。知らずに見るとおもちゃっぽく見えます


凛「これがベル……?ちょっとかわいいかも」

澪和「やっぱりアンドロイド?には支給されてないんだ」

空「私たちは備品ですので、報酬等は直接責任者に行くようです」


日之影「これを寝る前に枕の下に置いて、欲しい物をリクエストするとそこの椊田さんとかが作ってくれる。対価としてベルは消えてしまうけどな」

椊田「ブラウニーとかの伝承が由来だな。小人の靴屋とか……今の子は知らないか」


月奈「ま、月奈は紅葉のえらい人なのに使いっぱしりとかメーワクしてたけど、契約取れたならこんな片田舎まで来た甲斐もあったかな。――おねーさん達、月奈に会いたいならここのドアを開けるといいよ。つなげておいてあげる」


▶月奈はメモを置くと、椊田を無理やり引きずってドアを開けました。ドアを開けただけなのに、月奈達の姿形は見えなくなってしまいました


凛「見た目と違って器用なんだなぁ」


神影「ここ、アパートの空き家だ。多分説明してると思うけど、龍脈かなんかでワープしてあの子達の家までつながると思うよ」

日之影「ショタ尺様の村の居場所は山の奥みたいですね。案内と後詰程度なら援護できますが、要りますか?」


空「22世紀から来たわけではないのですね」

みあ「おねがいしまーす。って言いたいけど、お金とかいる感じ?」


神影「いや、これは紅葉の基本業務の範疇だから。仮に請求しても本部だから安心していいよ」


空「それではお言葉に甘えて、よろしくお願いします」

みあ「じゃあお願いしまーす!」

凛「たすかるー」


日之影「では、こちらです」


▶日之影は彼シャツを着たまま、社用車に乗り込みます。どうやらスパッツを履いていたようですね


――郷宮市 北西山中――


▶山に入ってしばらく車で雑木林を突っ切っていくと、奥に青い悪鬼が出ているのを見かけます。人が踏んだように草がへなっていますね


日之影「こちらですね。立ち位置の都合で僕は行けませんが、せめて御武運をお祈りしております」


空「ありがとうございます。――行きましょうか」

澪和「よし……!がんばる……!」

凛「がんばろうね、くーちゃん……!と……、みあさんと澪和さん……でよかったっけ?」

澪和「あっはい。頑張りましょうね!」

みあ「ありがとねー。みあはみあだよ。今更だけどよろしくー」


空「前回同様運動会がしたいのであればそのままあの中に入って頂いて結構なのですが。帰りをスマートにしたいのであれば、今しかありませんよ」


澪和「ちょっと意味わかんないけど、あの勝手に帰っていったやつだよね?――結局、どうやるの?」

凛「えっとねー……思い入れのあるものとか持ってる?」

澪和「これ……。この間、みんなで頑張った時のペンダント。似たようなの、自分で作ったんだ」

みあ「みあも、えーっと……、ヘアピンとかでもいい?」

凛「りんはねー、くーちゃんからもらったアクセサリー!」


空「そうですね、ではそれがよろしいかと、それが『現実』です。――悪鬼の中は夢の中のようなもの、それを楔にして現実に戻るのです」

凛「それで、思い入れのあるものをげんじつせかいに置いとくと、それがざひょう?アンカー?――――まぁいいや。ともかく目印みたいになって無事に帰れるんだー」

空「姉様の親切で分かりやすい説明で理解できないようなら、スポーツドリンクでも用意しておくんですね」


澪和「よくわかんないけど、帰れるようにお祈りして、このペンダントを置いていく感じなのかな?」

凛「そーそー、そんな感じー」

みあ「じゃ、そんな感じでー」


▶それぞれ思い思いに物を置いてお祈りします


みあ「これでいいんだよね?じゃあゴーゴー」


――田舎の山村――


▶中に入ると、人気の少ない村のように見えますね。見上げないといけないほどの大きさの白いワンピース姿の女性達が、齢10にも満たなさそうな少年達を甘やかしまくってるのが各所で見られます。ここがショタ尺様の村のようだと一発でわかりますね


ショタ尺様「ぽ?」

ショタ尺様「ぽ?」


ショタ「お姉さんアイスありがとう!お姉さんたちは食べないの?」


ショタ尺様「ぽ?」

ショタ尺様「ぽ?」


ショタ「こんな好きなことやらせてもらえていいのかなぁ」


ショタ尺様「ぽ?」

ショタ尺様「ぽ?」


澪和「なんかすごい光景だなあ……」

凛「圧がすごーい」

みあ「首がいたーい」

空「今見ている限りでは無害そうではありますが、この先を考えれば放ってはおけません」

凛「でもちょっとだけうらやましいなー、りんも甘やかされたかった……」

空「そうですね姉様。私たちの保護者と言えば彼という事になりますから」


澪和「言葉が通じるかも、って話だから……。耳栓してなんとか……」


▶そう言って恐る恐る澪和は武器を構えます


空「それより姉様、その彼が2つほど欲しいと言っていましたが、やはり生け捕れということなのでしょうか?」

凛「そういえばそんなちゅーもんあったね。どうだろ……、おとなしく捕まってはくれなさそうだけど」


空「話しかけてみてはいかがですか?私は結構ですが」

みあ「こんにちはー。そんなに背高いと大変じゃないですかー?」


ショタ尺様「ぽ?」

ショタ尺様「ぽ?」

ショタ尺様「ぽ?」

ショタ尺様「ぽ?」


▶ショタ尺様達はショタを守るようにして立ち塞がります。少年達は1つの小屋に避難させているのが横目に見えます


みあ「これ本当に話し通じてる?」

凛「うーん、だめそう」

澪和「わからないけど、今は言葉わかんなくてよかったなって思うかな……」

みあ「うーん、見よう見まね!」


▶戦闘前行動 凛 サンカイメヒメカ

▶戦闘前行動 みあ サンカイメヒメカ


▶空 性知識で判定 

 通常攻撃[小手打ち]

 盾殴り[小手打ち]

 失敗

 成功 8ダメージ

 失敗


▶みあ ホーリーライト

 11ダメージ

[ネフィリムスクライブ]30ダメージ

[サンカイメヒメカ:ヒール]13回復 空

▶ショタ尺様を1人消し去りました


みあ「ここまで背違うと見上げる必要もないよねいっそ」

空「2体ほど残せばよいのです、シッ!」


みあ「魔法、出ろ!」

空「いい選択です、『エルアンガー』」

みあ「うわほんとに出た!」


▶凛 性知識で判定[啓示]ホーリーライト

 失敗

 10ダメージ

[ネフィリムスクライブ]17ダメージ

[サンカイメヒメカ:ヒール]15回復 空

[澪和の友軍攻撃]

 10ダメージ


▶ショタ尺様B パワークロー(物理4d8)

▶空 回避判定

 失敗 25ダメージ


▶ショタ尺様C 私八尺様、今あなたの後ろにいるの(任意の対象の後ろのマスにワープ移動)ラブハート 凛

 18ダメージ


▶ショタ尺様D ちらっと見せる太もも(1ターン、全体の物理追加ダメージ-8)


▶空 性知識で判定

 通常攻撃

 盾殴り[小手打ち]

 失敗

 成功 ノーダメージ

 失敗


▶みあ ヒール[スパチャ]空

 5回復

[サンカイメヒメカ:ヒール]18回復 凛

[澪和の友軍攻撃]

 13ダメージ

▶ショタ尺様が更に消滅します。ショタ尺様達は小屋が気になるようで、守りが少し甘いですね


空「くっ、力が入らない……!」

澪和「任せてください!ええーぃ!」


▶凛 高い牛乳


▶ショタ尺様 ラブハート 凛

 17ダメージ


▶ショタ尺様D ちらっと見せる太もも


▶突然、日之影が空から落ちてきます


日之影「お帰りが遅いようなので死体回収に赴きましたが、どうやらまだ生きているようですね」


▶日之影は赤いマフラーと腕ごとパイルバンカーに変形して地面に突き刺します


日之影「――手助けしたというのは内緒ということで」


空「……お人好しだとは、言われませんか?」


日之影「まあ、紅葉の人間はだいたいこんなものですよ」


空「まあ素敵、アットホームな職場ですね」

凛「おー、かっこいい」

澪和「心配されないようにしないと……。すいません、ありがとうございます!」


▶日之影はパイルバンカーをぶちかまして小屋を破壊します


▶空 回復薬G


▶みあ 性知識で判定 ヒール[スパチャ]空

 10回復

[ネフィリムスクライブ]23ダメージ


▶凛 ネットサーフィンで判定 ヒール 空

 成功

 13回復

[サンカイメヒメカ:ヒール]18回復 凛

[澪和の友軍攻撃]

 12ダメージ


▶ショタ尺様 ラブハート 凛

 25ダメージ


▶ショタ尺様D ちらっと見せる太もも


凛「よーし……時間はかかったけど、みきわめた!」

澪和「筋肉繊維を斬ればいいんだね!ええーぃ!」


▶残りのショタ尺様を2人、ふん縛りました


凛「うきゅー……損傷重大、ギリギリ……。くーちゃん、データ送ったからあとはまかせた……」

空「流石姉様です。姉様無くしてこの成功はあり得ませんでした。さあ、みあさん手伝ってくださいね。手は肘まで、足は膝まで隙間が無いように縛ってください」

みあ「しんどかった……。これ子供だけでやるもんじゃなくなーい?」

澪和「私達の大勝利ですね!」


日之影「よくもまあ。では、私は先に帰って報告書を書く仕事がありますので」


▶日之影は気絶してると思われるショタを4人共雑に持ち上げて、先に帰っていきました


凛「よかったー、なんとかちゅーもんもクリアできた……。さすがにこの前よりおこずかいも増やしてくれるよね……」


――郷宮市 宮文大:ギルド――


▶帰りは徒歩で、山道をかき分けなんとか下山をし、夕方も終わりそうな頃に疲労困憊でギルドにたどり着きます。今度は鹿狩瀬がちゃんといますね。少し酔っているのか顔が赤いです


鹿狩瀬「よお。ちゃんと非人共をぶち殺してきたかあ?」


空「サンプルを除けば確実に、いい運動になりました」


鹿狩瀬「非人には聞いてねえんだわ。どうだ?」


みあ「あれって結局こっちから襲った感じだったし、どっちが穢多でどっちが非人なんだろうね」

澪和「――少し抵抗はありましたが、仕事だと割り切ればなんとか……」


鹿狩瀬「はーん。そこのポンコツ共にやらせて、全部罪をかぶせても良かったんだがな。――やろうと思わなかったのか?」


みあ「別にー?赤信号もみんなで渡っちゃえば怖くないんじゃない?嫌なもんはヤだけどね」

凛「うーん性格わるーい……。はーぁ、りんもくーちゃんも愛してくれるようなやさしい人はいないのかなぁ」


鹿狩瀬「……そうかい。お前らだってエロ親父からの注文依頼は殺到してるから、御主人様に頼めば今すぐにでも愛してもらえるだろうよ」


空「姉様、少し紅葉の方と長く接しすぎたようです。私たちは冬泉の備品でした」

凛「そういうのはやだなぁ……」


鹿狩瀬「本当はてめえらなんぞに決定権なんぞないんだがな。ちっ……、仕事の報酬はしっかりと払う。……後でシノブから受け取っとけ」


――郷宮市 宮文大:研究室――


深角「おいシャムのポンコツ共。今すぐ服を脱いでこっちに来い。命令だ」


凛「えー、なんでー……はーい……」

空「はい」


深角「破損箇所があるなら先に申告しろ。備品とはいえ、お前ら丁寧に使われたんだろうな?」


凛「少しは回復したけど……結構おおきいダメージ受けちゃったからさすがに傷は残っちゃった」

空「ええ、姉様のおかげで破壊されずに済みました。紅葉の方達にもよくして頂いて、詳しくは申し上げられませんが」


澪和「だいぶ助けてもらったとはいえ、お互いボロボロで……。すみません」


深角「いっちょ前に隠し事しやがって。まあいい、自分達が使い物にならなくなる前に先にこっちに来い。――最後の最期まで使えるようにしてやる」


澪和「意外といい人……?」

みあ「素直じゃない感じかあ~」

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