本編

S1 その日、空は暗黒に染まった 9月18日

――郷宮市 ????――


「冷笑サロンの様子はどうなってる?」

「はい。核兵器よろしく兵器使用を目論んでいるようです。紅葉とともに現在制圧に動いていますが、発動までに間に合わないかもしれません」

「そうか。市内全域に影響が出るならむしろ好都合だな。未覚醒を炙り出せるか」

「兵器使用に関しては止めるな。意識を失っていない人間に対しては丁重に扱い、こちらの陣営に引き込め」

「了解しました」


――郷宮市 郷宮温泉:温泉街――


▶お昼時の温泉街、各々が各々のことをしていると、突然空が黒くなります。雨でも降るのか?と思っていると、周りの人間がバタバタと倒れ始めます


???「あ、あれ……?」

???「あ、あの……!大丈夫ですか!?そちらの人も……えっと……」


幣原「ふはー。気持ちいいー。え? ええ?? みんなどうしちゃったの、大丈夫ですか?」

羽生 「?……なにこれ。――妖怪の力とは違う。はぁ……。上の人に報告しなくちゃ……」

みあ「え~、なにこれ?集団昼寝?陽気だねえ天気はこんななのに」


???「あのー……。急にみんな倒れちゃって……。雨も降ってないのにお空真っ暗だし……。何かご存知ないですか?」


羽生「……うん。行かないと」


▶たまたまその辺にいただけの人達は目撃します。虚空から無人のトラックが壁の中から出てきて、倒れていた人を撥ねたと思うと倒れた人を壁の中に消し去ります


???「トラック……?」

みあ「えっ何アレ~。危ないじゃん」

幣原「これは……一体、なにがなんだか────でも面白そうな気はしてきたよ」


羽生(今日は本当に、変なことばかり……!あれをなんとかしてからでいい。幸い、みんな倒れてるし、それからギルドに連絡だ)


羽生「止まれ……!」


▶羽生が前に飛び出したのとほぼ同じ瞬間、虚空からトラックが君たちの目の前に出てきて意識を手放してしまいます


――郷宮市 宮文大:研究室――


▶大学の窓から外を見ると昼間にも関らず、空が真っ暗になっています。また、学生と思われる人間がゴミのように落ちていますね


おじさん「シャムの皆さん。人々の為に役に立つ時が来ましたよ」


空「なにを言っているのか理解に苦しみますよ、田中さん。姉様、ゴミになってない人間のようなものを回収いたしましょう」

凜「そんなことより……ねぇねぇくーちゃん、今日のコーデはどお?かわいいー?」

空「ええもちろん。頭飾りが大変愛らしく姉様にぴったりです」


深角「深角ふかすみだって言ってるでしょうこのポンコツ共。目上の名前すら覚えれないような産業廃棄物め。頭脳パーツ以外ならリサイクル出来るんですから、とっとと人間のために死んできなさい」


空 「そうでしたか、丁重なお見送り感謝いたします。さ、行きましょう姉様」

凜「ポンコツに作ったのはそっちなのにー……。てか何すればいいの?」

空「!!流石姉様、何をすればよいか説明をされていませんわ。そこに気付くとはやはり姉様は愛らしくも優秀です」


深角「思慮深いのはいいことですよ。現在、夜叉全体に緊急命令が出ています。空が黒くなっているのはわかりますね?それが原因で未覚醒の保護された家犬共が甘えています。このままだと冬泉の責任問題に発展するので、その前に取れる手駒で対処しようと言うことです」


凜「あいかわらず言ってることがむずかしいなぁ……。つまりその未覚醒?をどうにかすればいいの?それともお空をなんとかするの?」

空「雨でも降ればよかったのですけどね。姉様が聞きたいのは具体的に私たちをどこでどうさせたいか、ということです」


深角「使えない生ゴミにもわかるように話すなら、原因を調査して出来るなら元凶を処理してきなさい。出来ないのであるならば、人間の見た目をする理由もなくなりますが?」


凜「えー……。りんたちよりもっと優秀な人たちに任せれば確実なのに……」

空「最初からそう仰ればよいのですよ。生ごみは時間経過で臭ってきますので。それでは、外に出ましょう姉様」

凜「かわいくなれなくなるのはもっとやだし……しかたないなぁ。いこっか、くーちゃん」


――郷宮市 宮文大:正面口――


▶人間が側溝に頭から突っ込んで倒れていたりして、かなり治安が悪そうな雰囲気が漂っています。空も真っ暗です。そんな中、君たちに話しかけてくる女性がいます。物凄い長い銃を持っていて、ゴーグルをしていますね


凜「うわぁ……これがししるいるい?ってやつなのかなぁ」

空「暗いですし、足元も穏やかではありませんね。姉様、離れないでくださいね」


???「やあ。大学から出てきた年不相応なロリってことは君たちが冬泉の人間ってことでいいのかな?」


凜「んー?あなたは……だぁれ?」

空 「半分正解、半分不正解と言ったところでしょうか。初めましてお嬢様、空と申します」


神影「ああ、ごめんごめん。ここの紅葉の責任者で紅花様ファンクラブ会員第01号!神影みかげだよ。面倒そうな子はおいておいて、冬泉の人に倒してこいって言われたってことであってる?」


凜「わたしは凛だよー。うん、元凶を処理してこい、って言われたから多分そういうことなんじゃないかなー」


神影「おっけおっけ。じゃあ私と一緒に行こっか。ちょうど私も肉壁がほしいなって思ってたところなんだ」


空「ご助力頂けるなら幸いです、なにか思い当たる所でもあるのですか?」


神影「うんうん。ちょっと面倒なやつらの実験みたいなものだよ。こっちだからついてきて」


空「想定よりも早く片付きそうですね、姉様」

凜「ポンコツ……弾除け……。おとなって性格わるい人しかいないのかなぁ……」

空「まったくその通りです姉様。大人は雑音をつけたがるものなのでしょう、雑音を切り捨てて耳に入れましょう」


――郷宮市 北東地域――


▶神影の案内で郷宮市の北東地域まで来ました。道中大量に人間が落ちていましたが、神影はヒールで普通に踏んでいきます。空は習って普通に踏みますね


神影「この辺、来たことある?面倒そうな成金の金持ちがいっぱいいるんだけどね」


空 「いえ、あまり興味のないところには出歩かないもので。――ここになにか?」


神影「ここに空を暗くした装置があるって部下から連絡来てるのよ。っと、ここね」


▶神影は、ゲーム教と書かれている立て札の上から雑に冷笑サロンと上書きされている、市民会館のような建物の前で止まります


凜「雑な上塗りで読みづらい……。冷……笑……れーしょう……?」

空「悪だくみしそうな人が悪だくみしそうな場所ですこと、仕方ありませんね姉様」


神影「ま、そういうことよ。やっぱ知能面のアプデいるんじゃないかなぁ……。ロリロリしいのは結構だけどさぁ」


▶神影はそう呟くと、物凄く長い銃を振り回して玄関のドアに埋め込まれたガラスを叩き割り外から鍵を開けます


空「汚い文字を読めた姉様を褒めるところですよ。素敵なマスターキーですね」


神影「ほんと、姉妹丼しかインプットされてなさそうで趣味が伺えるわ。さ、入るから先行って」


空「あら、ここから肉壁をお使いなさるのね。よろしいでしょう、では私が。姉様は彼女の後ろをお願いしますね」

凜「うーん、あからさま……。りんもすぐ続くから、気をつけてね、くーちゃん」


神影「意図を読み取る能力はあっても、口に出してる時点でダメなのよね。冬泉のリアル嗜好本当気持ち悪いわ」


――郷宮市 冷笑サロン:施設地下――


▶施設の中はぶっ倒れている人しかいませんでした。物品を漁りつつ地下に行くと、機械と青い空間のようなものが出来ていますね


神影「あーら拍子抜け。所詮素人だとこんなもんってことか、つまんな。――君たち、アリアドネは持ってる?」


空「まったく拍子抜けですね、アリアドネ、とはこちらの言葉ではなんというものですか?」

凜「ありあどね……?」


▶神影は1枚の写真を取り出します。ちょっと引くくらい綺麗な女の人が着替えてる写真のようです


神影「あっやばい性欲爆発しそうだな!って思ったでしょ!!ダメだからね~紅花様で興奮していいのは私だけだから。したらドタマぶち抜くから」


凜 「なるほどファンクラブってそういうことかぁ……。べつにー、りんにはくーちゃんがいるし」

空「今までの私たちを見て本当にそう思ったのならご自身の頭を空冷するとよろしいかと。――つまりは悪鬼の中から帰還するためのなにかしら、という事ですね?」


神影「は?紅花様に興味ないとか脳みそスカスカツルツルでもういらないよね?脳漿ブチ撒けちゃうから」


凜「でもまぁそういうことなら……りんにはくーちゃんに貰ったアクセサリーがあるかな」

空「もちろんございますよ、私たちはこういったものですが」


神影「クソガキ程度にキレるのは大人気ないか……。後で洗脳してあげるから早く入りなさいな」


空「機会がございましたら。それで、機械とこの悪鬼どちらを先に処分するべきとお考えですか?」


神影「どっちも。放っておいても悪鬼は出てくるし、また発生するから。難しい方は私がやるからとっとと行け」


空「まぁ、お優しい。それでは姉様、それをそこに置いて参りましょう」

凜 「しかしめんどそうな人に捕まっちゃったなぁ……」


神影「機械の調整がクソガキ共に出来るわけないでしょうが。そういうとこが甘いのよあんのロリコン」


――このはのおへや――


▶中に入ると電脳空間、と表現するのがわかりやすい場所に来ていますね。空間にグリッド線が敷かれておりその中央に不自然に草木が生えており机や椅子などが並んでいます。この部屋の空間の奥に扉がたくさん並んでいます。トラックに轢かれ、何故か無傷でここに倒れていたようです


▶みあ スイーツ

 成功

▶ここはVtuberの秋月このはと同じ場所なのでは?と思いました


???「ここは……?」


みあ「あ~、みあここ見たことあるかも。このはちゃんの部屋じゃない?」

羽生「……そう、ですね」


???「あー……。名前だけは聞いたことあります。でも、どこであれ脱出しないといけないですよね……」


みあ「ところであなた達は?さっきより人も減ってるし」


???「あっごめんなさい。私は十寸鏡澪和ますかがみ みおなっていいます。中1です。気づいたらみんな倒れてて……」


みあ 「みあはみあだよ。みあって呼んでね。みあは3年だし、もしかしたらおんなじ中学かもね」

幣原「これは失礼しましたっ!私は遥香、幣原遥香です。みおなさんも皆さんもご無事そうで何より」

羽生「……羽生、小蒔」


澪和「それにしても……、結局見てわかるのってドアだけ、かな?」


みあ「そうね。どうせ出たいんだし、適当に開けちゃえばいいんじゃない?」

幣原「いいこと言いますねー!目につくところから開けたらいつかは出れるって決まってます」


▶幣原が奥の扉を開けると、狭い部屋で少女が1人座ってます。秋月このはの顔ですが、ラフなポロシャツを着て雰囲気がかなり違いますね


幣原「じゃあ開けちゃいますよーっと、と……?」

みあ「お邪魔しましたー」


このは「こんなとこ来てなんかあったんですか?意味あるんですか?」


みあ「そんな意味とか聞かれても~。お邪魔しましたって言ったのにー」


このは「他人に何か伝えたい場合は、他の人が分かる形で伝えたほうがいいと思うんですよね」


幣原「急にお邪魔しましてごめんなさい。私は遥香って言います……あなたは……?」

羽生「あなたは、だれ?なぜ、ここにいる?」


このは「そんなのどうでもいいですよね?ところで、あなた方がいる必要ってあります?」


▶おもむろに立ち上がると、いつの間にか持っていたレイピアを君たちに向けます


みあ「じゃ、お邪魔しましたー」

幣原「ああごめんなさい……またの機会に~」


このは「人生に充実感がない理由は新しいことをしていないからです。結局人間で一番大事なのって選別することなんですよね。ベーシックインカムをしないといけないような人間って社会に必要だと思いますか?」


みあ「何言ってるかよくわかんないけど、みあたち忙しいんで、一人で楽しんでてね」


このは「コミュニケーションとるときには基本的には愛想ですよ」


みあ「話そうとしないのはそっちじゃん。なんなのアイツ」

澪和「あ、あれ……?で、出れない……」


▶振り向くと、入ってきた扉が消えてなくなっています


幣原「ま、まあ。あんまり刺激しないように。帰れなくな……扉なくなってるーーー」

みあ「って、あーーーっ!帰れなくなっってるし!」

羽生「別のとこ、あるといいね」


▶レイピアを持ったこのはちゃんが壁に追い詰めていくと、幼女が2人空から落ちてきます


空「あら、先客が居ますよ姉様。お邪魔してしまったかもしれません」

凜「わっ、さっそく修羅場だぁ、大丈夫ですかー?どっちが……えーっと……ちゃんとしてるほうー?やっぱり追い詰められちゃってる人たちのほうかな」


このは「いじめというのを手段として使われる場合があります。それは頭がいい人もやります。残念ですけどね」


みあ「もーう、また増えたし。そっちからなら出られるの?通してよ!」


凜 「えっとねー……。入るのは簡単だけど……出るのは悪いのを倒さないと難しいかなぁ」

空「姉様、会話が出来る方がちゃんとしてる方と聞いたことがあります。なにかお言葉をかけてあげてみますか?」


澪和「取敢えずあの危ない人なんとかしてー」


空「姉様の言葉の意味が分かった方のみこちらへ来てください。さもなければ処分いたしますので」


澪和「このちっちゃい子達物騒すぎるよぉ……」

幣原「と、とにかく、助けてくださいーー」

羽生「ただの人間でも、適性があれば入れる……。――本当だったんだ」


▶空は光り始めると、もともと長い髪が更に長く伸び、分厚いフルプレートに幾何学模様の剣を気づけば握っています。フルプレートの中心、コアのようなアクセサリーが光っていますね


凜「わー、くーちゃんかっこいい!よーし、りんも……」

羽生「……そこのコスプレイヤーたち。『成り切って』好きにやって」


▶一声上げると、ゴテゴテした装飾が組み合わさっていって巨大なガントレットになります。そのままアクセサリーが巨大化や変形をしていき、肩当てや眼帯になっていきます。目が赤く光って、体の中心にコアのようなアクセサリーが生成されます


羽生「……私も」


▶面を取り出し被ると、巫女服に切り替わり、天狗の羽根が生え薄く風を纏い始めます


幣原「な、なに……」

澪和「コスプレ……?」

みあ「なになにそういう趣味?あんな部屋に連れ込んだのって、みあたちにもそういうの着させる気?」


凜「ありゃ、あなたはもう変身できる人だったんだ、それなら話は早くて助かるー。あとの人たちはー……そうじゃなさそうだね」

羽生「……っ。いいから!なんだっていい。早く自分がなりたいと思う姿を考えろ!」


澪和「よくわからないけど。でも、私も足手まといになりたくない……!お願い!誰でもいいから力を貸して……!」


▶澪和のペンダントが光り輝くと、ペンダントから少し長刃の剣を引き抜き、両手で持って構えます


空「最初のイメージは後々大事と聞きますが、死にたくなければ長考しないことですね」

幣原「コスプレ、なりきる……。とにかくなりたいものを思えば……助かるんだよねきっと。――んーーー」


▶身体が白く光り、髪留めが外れると腰まで髪が伸びていきます。赤く胸を強調したドレスに斧剣のような攻防一体のように見える複雑な武器を持っていますね


幣原「わーすごい。こんなの着たことない……」

みあ 「うーん、どうせならかわいいのがいいな。うさぎの耳とか。あと強そうなのは~、バールとか!」


▶身長がかなり縮んで100cmを切り、今着ている服も身体に合わせて縮んでいきます。うさみみが身体から生え、手に無骨なバールを握っています


みあ「わあ、本当についてる!本当に持ってる!それと……なにこの格好?」


このは「どんな状況にあったとしても、それをプラスにするための状況を考えるということをやっているわけです。言葉が通じなくても、終始、「ニコニコする」ということにしています」


▶このはちゃんはレイピアを構え直して突撃してきます


幣原「結局これなんですか?皆さんは?――というかあなたも???すごいすごい!」

凜「とりあえずこれでみんな悪いのと戦えるようにはなったねー。よーし、みんなで協力して倒して戻ろー」

空「それでは敵がはっきりしたところで、そろそろ始めましょうか。それでは皆様、短い付き合いにならないように、お気を付けください」

澪和「がんばります……!」


▶戦闘前行動 凜 サンカイメヒメカ


▶空 妖怪知識で判定 魔神剣[小手打ち]

 成功

 成功 6ダメージ


▶幣原 観察力で判定

 成功 


幣原 「とにかくやれるものはなんだってやるのが私だよ!」

空 「地衝斬!」


▶サロンこのは 

連撃準備(TC。8に設置)

通常攻撃[圧縮魔法[ファイア]][連続魔[ファイア]]

▶羽生 回避判定 羽生空羽生 

 放棄 21ダメージ

 17ダメージ

 18ダメージ

▶レイピアの剣先から火球が飛び出し、空間ごと焼き始めます


サロンこのは「難しいことを楽しめるかどうか。物事がうまくいかないことが好きなんですよ」


羽生「熱い……」

空「っ!戦闘続行可能、損傷軽微です」


▶みあ 通常攻撃

 成功 2ダメージ


▶凜 ヒール[聖なる光]

 13回復 9回復

[ネフィリムスクライブ]

 16ダメージ

[サンカイメヒメカ:ヒール[聖なる光]]

 14回復 8回復


▶羽生 キスメ

 37ダメージ


凜「見た目はこんなだけど……りんは癒す力なの……!」


みあ「積年の恨み!ていっ!!……ってこれ使い物にならないんだけどー!」

空「流石です姉様、食らいなさい、『エルアンガー』」

羽生「……人に向けて火を使うな」


▶タイムカード サロンこのは

通常攻撃[圧縮魔法[ファイア]]

▶空 回避判定 空みあ

 放棄 29ダメージ

 31ダメージ[薄い本]

[澪和の友軍攻撃]

 15ダメージ


サロンこのは「位置エネルギーは存在しない。地球から高度を上げて月の引力圏に入ったら地球には落ちてこないんですよ」


空「くっ!損傷個所は、そこそこといったところでしょうか」


▶空 魔神剣[小手打ち][ワイルドダウン]

 成功 12ダメージ

[澪和の友軍攻撃]

 11ダメージ


空「あら、やりますね」

幣原 「ちょっとはお役に立てるんだよ」


▶幣原 通常攻撃

 成功[導引][人間振り直し]8ダメージ


幣原 「こうすればよかったんだね……。よしあたって倒れて!」

澪和「お願い……!これで、消えて……!」


▶剣で思いっきり袈裟斬りをするとサロンこのはがぐったりとレイピアを取り落とし、そのまま消えていきました。空間がゆっくりと崩れていきます


澪和「はぁ……はぁ……」

幣原「す、すごい……!倒しちゃった……」

凜「よかったー、倒せたぁ……。りんとくーちゃんだけじゃダメだったかも、ありがとー」

空「終わりましたね、ここもじきに終わります。皆さん早く脱出したほうがよろしいですよ」

羽生「……今回も大事なし」


幣原「助けてくれてありがとう……ふたりとも、あと小蒔ちゃん」

空「ここは長く持ちません……感動のエンディングを迎えたいなら先ずはあそこめがけて走ることですね。印も置いてきていないでしょうし」


▶凜 治癒絆創膏 空みあ

 18回復


凜「これでおーきゅうしょちは大丈夫かな……?りんたちは対策してきたから先に戻っちゃうけど……。ほーらくに巻き込まれると帰れなくなっちゃうから、気をつけて急いでねー」

空「それでは生きていらしたらまたお会いしましょう。ごきげんよう」


みあ「あー、なんか楽になったかも。ありがとうね~」

澪和「運動、得意じゃないんですけど……」


▶幼女2人は先にワープするように消えていきました


幣原 「あそこに走ればいいと……よーし」


脱出判定

幣原 1失敗 25ダメージ[回復薬]

みあ 2失敗 計37ダメージ[治癒絆創膏][人間振り直し]


幣原「なんとか出口が見えた……ここかな……」

羽生「……煩悩だらけだった」

みあ「ちょ、ちょちょちょ、この身長で崩れるから逃げろって難しいんだけど~~!?」

澪和「ちゃんと体育やっとけばよかった……」


――郷宮市 冷笑サロン:施設地下――


▶外に出ると、天井に付きそうなほどの長さの銃を持ったお姉さんが待っています。先に戻った幼女2人もいるようですね


神影「へぇ……。冬泉が放置するわけだ。処断とかは執行者に任せりゃいいし、見なかったことにするのが正解かな」


空「お疲れさまです、ただいま戻りました」


神影「一般人巻き込んでる時点で落第だけど、私は何も見てないから。ギルドに連れてってあげて。処刑待ちを助ける程お人好しじゃないの」


▶そう言って、神影は踵を返して出ていきました


凜「えー……。なんかりんたちのせいにされてない……?入ったときから居たのになぁ……」

空「姉様、大人は雑音が多い生き物です。あの方はそこまで親切ではないというだけですよ」


澪和「何だったんでしょう……」

みあ 「まあいいんじゃなあい?帰ってこられたし!」

幣原「とにかく帰ってこれたんだからこれでいいんだよ、多分」


澪和「ところで……、ギルドってなんですか?酒飲んでうぇーいってするところ?」


空「よい質問ですね、ですが望み通りの答えが返せるかはわかりませんよ?――着いて来てください」


――郷宮市 宮文大:エレベーター――


▶大学のエレベーターに乗り、空は632146112333232143と打ち込みます。すると本来B1までしかないはずのエレベーターがB5Fまで下がっていき、扉が開きます


幣原「私の大学に、ギルド?があるんだ……?」


凜「さすがくーちゃん、押すのはやーい」

空「こちらです、さあどうぞ」


――郷宮市 宮文大:ギルド――


▶白衣のおじさんが酒をかっ喰らいながらこちらを見据えてニタニタと笑います。奥に中学生くらいの少女がカウンターに肘をついて見ているのが遠目で見えますね


鹿狩瀬「お?深角んとこのペットじゃんか。おじさん達の仕事、手伝ってくれるのかい?」


空「さて、どうでしょうか、ですがお手伝いは増えるかもしれませんね」


鹿狩瀬「おっとすまんすまん。見たことないやつとか、なんか見たことあるやつもいるな。俺は鹿狩瀬。そっちのカウンターでニコニコしてるお嬢ちゃんに見えるBBAがシノブだ」

シノブ「まだピチピチ!」


澪和「取敢えずギルドに行けってなんかすごい銃の人に言われたんですが……」

空「コカゲ様と仰る紅葉の責任者のことです」


鹿狩瀬「神影のやつが厄介事持ってきた感じか……。ここは冬泉の闇組織だ。ここでエージェント契約をしてもらって、世界平和の為にその命をそれこそ御国の為に削ってもらうことになる」

鹿狩瀬「その分金と保険は結構もらえるけどな。おじさんは若い頃の貯金でここで飲んだくってばかりよ」


シノブ「ダメなおじさんは置いといてー、はい。契約書。読んでも読まなくてもいいよ」


▶カウンターからシノブと呼ばれた少女がやってきて、契約書を1人づつに渡していきます


幣原「わ、私たちは、結局何をするんですか……?お国のためって……」


シノブ「そこのボードあるでしょ?そこから好きな依頼を受領して、お金をもらう感じよ。流石に1人単位じゃお仕事渡せないから、今いる人達で小隊を作ってもらって小隊として仕事受けてもらうことになるわ」


みあ「へーすごい、ゲームじゃんもう!」


▶シノブの目線の先を自分達も見ると、無駄にでかいコルクボードがありますね。張り紙のようなものがそこそこ貼られています


鹿狩瀬「あのクレイジーサイコレズと会ってるなら知ってると思うが、そこそこ命がけの仕事だ。あいつが受けてた仕事を代わりにこなしたってのなら……これくらいもらえるな」


▶鹿狩瀬は張り紙をしげしげと見て、その辺においてあるスーツケースをスライドして澪和の前に置きます


澪和「これは……?」


鹿狩瀬「開けてみ」


▶スーツケースをおずおずと開けると、札束がギッチリ詰まっています


シノブ「今回の報酬になります。6人で分けますので……大体1人250万円くらいでしょうか」


澪和「250まん……えん……」

幣原「モンスターを狩るゲームと任侠のゲームの両方の世界がある……」


シノブ「取敢えず契約書にサインしていただけますか?」


澪和「あっはい……」

幣原「すごく面白そうだし別にいい、かな。じゃ書きますね」


羽生「で、君は書くの?書かないの?」


みあ「あー待って待って、今書く書く。……これ本名じゃないとだめ?みあはみあがいいんだけど」


シノブ「別にいいですよ。契約は契約をしたという事実が重要になりますから」


みあ「やっりぃー!じゃあ長谷川みあ、っと。よろしくね!」


空「ふぅ、全員書きましたね。逃げ出されなくて助かりました」

凜「そうだ!ねぇねぇ、今回助けてあげた……助けられもしたけど……。――ということでー、りんたちにかわいいお洋服かアクセサリー、買ってくれないー?」


澪和「ご、ごめんなさい……。お金、どうしたらいいかわかんない……」


シノブ「ありがとうございます。次の出勤日は10月2日になります。最低でもこの日には必ずこちらに来てください」

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