〜小山若犬丸の乱〜 広がる戦火。9
私達はそのまま二人の方へ走って行くと、火矢が無数に刺さっていて、そこら中が炎に包まれていた!
炎の物凄い熱気で、息をするのも辛い。
そして無数に転がる味方の敵の死体。
人が焼かれる匂いで吐きそう。
『ここにも居たぞ!』
『て、敵っ!?』
『ちっ!』
花月が一気に敵を斬った。
『おっ! 己ぇ〜!』
奥から更に敵が現れる。
だが花月は華麗に敵を薙ぎ倒した。
『大丈夫かい!?
さあ、サクラ! 早く二人を探すよ!』
『う、うんっ!』
襲い掛かる敵を斬り倒し、私達はひたすら走り抜いた。
その先に敵に囲まれた斑鳩と五郎さんを見つけた!
『斑鳩っ! 五郎さんっ!』
『サクラ!?』
『サクラ殿?』
私と花月は敵に襲い掛かった!
私達の奇襲を受け、怯んだ敵の囲みが解ける!
『さあ二人共っ! 逃げるわよ!』
私達は二人の手を強引に引っ張って、奥へと逃れた。
『か、花月! どうしてサクラを連れ出さなかった!』
『やっぱりアンタ達を置いて逃げるなんて出来ないよ!』
『斑鳩も五郎さんも死に忙がないで! 生きるのよ!』
私の真っ直ぐ向けた感情に二人は沈黙する。
『そうだな……。
すまなかったな、サクラ。』
『そうですね……。
ではサクラ殿、
※殿、味方が退却する時に、最後まで残って敵の進撃から味方を守る事。
『追えぇ〜〜っ!』
『逃げたぞ!!』
『絶対に逃すなぁ〜〜っ!』
敵が殺意を剥き出しにした掛け声と共に一斉に私達を追いかけて来た。
私達は更に奥へと走り出す。
その先には逃走用の秘密の出口がある。
その時だ!
前方からも物凄い数の敵が現れた!!
しまった!
囲まれてしまった!
出口はもう直ぐ先なのにっ!
私と花月が前方の敵と、斑鳩と五郎さんが追って来た敵と対峙する!
何としても逃げないと!
私達は必死で戦った。
敵も何としても私達を殺そうと必死だ。
『はあ、はあ……。』
流石の花月も肩で息をしていた。
『こ、これで、前の敵は何とか倒したね。
斑鳩っ!! 後は逃げるのみよ!』
私と花月が前方の敵を倒して、背後の斑鳩と五郎さんに声を掛けた時だった。
『ご、五郎殿ぉ〜〜っ!!』
私は、えっ? っと思い後ろを振り向いた。
振り向いた先には、胸から刀を突き刺された五郎さんの姿があった!
五郎さんの影に隠れて、突き刺した者の姿は見えなかった。
五郎さんは刀を抜かれて真っ紅に染まって倒れ込んだ……。
そして、倒れ込んだ先にはあの娘の姿が在った……。
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