第63話 甘い愛央とタルト・タタン
たく「っしゃー終わったーさーけえんべけえんべ腹減った」
あお「たっくん、今日のおやつはなぁに?」
たく「いっ、ぱいのりんご」
あお「それってタルト・タタン?」
たく「あったり。食べる?」
あお「うん!」
愛央の好きなタルト・タタン、俺はいつもの味で作り上げた。デートコーデに着替えた愛央はピアノを引きながら待っている。
あお「美味しい!さすがたっくん!」
たく「よかったよかった」
あお「でも、なんで今日タルト・タタンを作ったの?クリスマスは過ぎちゃったし・・・」
たく「この前のクリスマスさ、君津帰ったじゃん」
あお「うん」
たく「俺手料理振る舞ってねぇんだよ。だから」
あお「そうなのね。たっくんの事だから味変するかと思っちゃった」
たく「普通のタルト・タタンも作れはするけどさ、やっぱこれのほうが口に合うべ」
あお「たっくん・・・・」
たく「あんだよいきなり見つめちゃって」
あお「たっくんに・・・あげるっ♡」
たく「バカ野郎。ココアだけで十分だわ」
そんなこんなでもうお昼になった。少しして愛央はこんなことを聞いてきた。
あお「ねぇそういえば・・・・最近ママ見ないね」
たく「あーなんかよ、離婚したとかしないとか」
あお「えっ!!!」
たく「別に仲悪いだ仲悪くなったってわけじゃねぇんだけんがよ、おかさん曰く海外進出するからもうあなたと会えないって親父に言ってな、海外の事業が落ち着いたらまた帰ってくるって」
あお「じゃあ仲悪くなったってことではないのね」
たく「うん。安心しな」
そう俺は愛央に伝えると、いつものように愛央が外に行こうと誘ってきた。だが、いつもと違った。
あお「たっくん!」
たく「あ?」
あお「おでかけしよっ!」
たく「いいけど・・・その格好・・・まさか」
あお「うんっ!」
たく「ったくあんたってばー・・・・」
あお「ツインテ作ってもらったし、チアリーダーっぽいじゃん!」
たく「元チア部があに言うかと思ったらそれか・・・」
あお「行っちゃお!たっくん!」
たく「どうしよっかなぁ・・・・」
あお「フレフレ!たっくん!」
たく「えっ、愛央?」
あお「悩みすぎちゃうと疲れちゃうから!」
たく「・・・ねぇ、愛央」
あお「えっ?」
たく「おいで」
あお「うん!」
そして二人でいっしょに外に出た・・・と同時に知り合いの運転手さんが来られたので駅前まで乗せてもらうことにした。
紅野「久しぶりだね」
たく「と言っても一週間前乗ったばかりですけどね。オレ一人で。そんときは渡辺さんでしたけど」
紅野「愛央ちゃんと二人で今日はどこに行くんだい?」
たく「いやちょっと夜飯の材料が足りないもんで駅まで少し。ってか開発前始発の便ってありました???」
紅野「今日ダイヤ改正してさ、開発前始終着を1時間に一本作ることになったんだ。方南車庫まで行く必要があるけど車庫まで乗る人はいないってことでさ」
あお「そうなんですねっ」
たく「つっても方南の方々にはずーっとお世話になってますからなぁ。あ、じゃあここで降りますね」
紅野「了解〜」
方南バスの社員の方々は優しい方々が多い。俺らはいつも助かるのだ。そして駅について駅前スーパーに向かった。愛央は春用の服を欲しがった。
たく「着いたー天川中央〜」
あお「やったね♪」
たく「さてさて、夜飯の材料を・・・」
あお「たっくん!」
たく「あにいきなりぎゅーして」
あお「愛央の服買って〜ねぇお願〜い」
たく「ちっ・・・まじかよ・・・」
あお「むぅ・・・じゃーあ、がんばれーっ!たーっくん!」
たく「ったく・・・いいよ。買いな」
あお「やったぁ〜!!!」
たく「でも何着たいんだよ」
あお「わたし、ワンピース一個しかないから・・・」
たく「まぁ予算1万で買えよ。愛央のほんとうに着たい服を」
あお「でも、一緒に選ぼっ。たっくんがいてくれると私助かる!」
たく「ったく。でもいいよ」
夜飯の買い物はあとにしてまずは愛央の服を見ることにした。愛央は何がいいかめちゃくちゃ迷っていたが、なんとか買えていた。
あお「これとこれ、どっちにしよう・・・」
たく「チェックと花柄か・・・・愛央はどっち着たい?」
あお「うぅ・・・わかんなーい!」
たく「じゃあ、愛央がポンポンを持ったとして着てみたら?」
あお「そうすると・・・制服風のチェック柄が可愛いかな?」
たく「めっちゃ」
あお「あいちゃん、なんていうかな?」
たく「すごいって言うだろあの子のことだもん」
あお「そうね!」
たく「あっ、やばい」
あお「えっ、、どうしたの?」
たく「あと1時間でバイト始まる・・・」
あお「これでいいから買って早く帰ろっ」
たく「飯結局買ってねぇ・・・」
あお「だいじょうぶっ」
そして急いで家に帰ってバイトへ行った。遅刻は回避。というか20分前についたので丁度いい。それから2時間レジに入っていると・・・
たく「んー、あー肩痛い・・・」
あお「たーっくん♡」
たく「ま・・・さ・・・か・・・」
あお「応援しに来たよっ」
たく「まったく・・・」
あお「でもチアのリボン忘れちゃった・・・」
たく「無くてもいいよ。ってか、あいちゃんは?」
あお「寝ちゃってた」
たく「親父の部屋かそしたら・・・」
あお「愛央暇になっちゃったし・・・」
たく「仕方ねぇ、閉店まで1時間だからあとで飯行こっか」
あお「たっくん、ありがとうっ」
電撃デート確定。アホな俺は言ってしまった以上行くしかないのである。1時間後に上がると愛央がマフラーを巻いて待っていた。
たく「わりーなまたせちゃって」
あお「大丈夫っ!たっくんはパーカーだけで寒くないの?」
たく「年中これだし全然余裕だよ」
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡愛央風邪引いちゃうからたっくんにくっつくー♡」
たく「ったく。あに食うんだ?」
あお「愛央、お腹に優しいものが食べたい・・・」
たく「腹に優しいもの?あー、来たなさては」
あお「うん」
圧倒的にイチャイチャカップルである。だけど兄妹だから俺はいいやって思っているのだ。
あお「何食べようかなぁ・・・」
たく「食べられる分だけ食べていいから」
あお「じゃあこれがいい!」
たく「これ食って帰ろっか」
あお「うん!」
たく「ねぇ最近あじしたの?あんたずっとぎゅーってしてくるけど」
あお「愛央ね、たっくんが不安になったりしてるんじゃないかって思ってるの」
たく「だからぎゅーってするんだ」
あお「さっきのたっくん不安になってたし。愛央がぎゅーってすれば落ち着くでしょ?」
たく「まぁ・・・」
あお「ぎゅーっ。だーいすきっ」
たく「ったく・・・」
あお「あ、来たよっ。ふたりで食べよっ!」
たく「お、おう」
出てきたのは結局タルト・タタン。これを二人で食べて帰ることにしたのだ。
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