第62話 なかよしふたご
あお「今日は・・・えーっと、英語と現代文だけだね!」
たく「んでも40分授業だから秒で終わるべさ?」
あお「帰ったら愛央はチアでたっくんはバイトでしょ?」
たく「やね、バイトが今日休みなんだわ何故か」
あお「やったね!」
たく「だけんが家でやるこたねぇんだなぁ」
あお「たしかにっ。ねぇたっくん、愛央の髪さらっとしてる?」
たく「うん。つやつや。可愛いよ」
ふたりの通学になって約2週間。愛央はお気に入りのグレーのマフラーを巻いて俺にひっ付く。外の気温はマイナス1度。そら寒いし手やら何やらひゃっこいからね、したがねぇって。
あお「やっぱたっくん、あったかーい♪」
たく「体と手だけはひゃっけーぞ」
あお「ばかっ。今日お昼どうするの?」
たく「あいちゃんが幼稚園お休みだし食いに行こ。金は俺が出すから」
あお「やった!たっくん大好きっ!ねぇねぇ、制服で行こっ。着替える手間省けるから!」
たく「テメーが単純に制服デートしてーだけだろ」
あお「寒いからっ・・・」
たく「顔赤いぞ。さては当たってんな」
本心をどつかれると愛央は顔が赤くなる。それがまた可愛いのだが若干恥ずかしいと思ってんのかなって俺は思ったりする。学校に着くと俺が前、愛央が後ろに座る。そして愛央が話しかけてくるのだ。
あお「たっくん、ここの文ってどうするの?」
たく「んだぁこれ、あー。これは簡単だな」
あお「なんでっ?」
たく「そらだって、バカでもわかるくらい簡単だもん」
あお「やり方は?」
たく「主語動詞述語の順。そしたらわかりやすいでしょ?区切ってみんべ、んだぁこうしてこうしてこうなるんだわな。んだ、わかった?」
あお「ありがとっ!」
それから約2時間後、授業が終わるとポンポンを両手にまた引っ付く愛央。そんな愛央の横で俺は英語の復習をしていた。
あお「ふぁいとだよっ」
たく「ありがとっ。寒くねぇか?」
あお「手はひゃっこいかも・・・」
たく「そらおいねぇ」
あお「ぎゅーってしていい?」
たく「おいで」
愛央はどこか必ず冷えてるときがある。マフラーやタイツで寒さは凌いでいるが手の冷たさだけはどうにもならないらしい。そこで愛央はいつも引っ付いて、暖めているのだ。家に帰ってくるとそそくさパソコンに向かう俺とは対象的に、愛央は着替えてからパソコンデスクの俺のところで応援するのだ。その時愛央はおだて上げ、最後に可愛くエールを送るのだ。
あお「たっくんってすごいね!」
たく「いやすごくはないよ」
あお「もっとすごいことできるの?」
たく「えっ?まぁ・・・」
あお「たっくん、がんばれっ♡」
たく「ありがと。おーそうだ、飯食ってないからさ作ってやるよ」
あお「大好きなたっくんのお昼ご飯だ~!」
たく「あれ待て、飯食いに行くんだっけ・・・」
あお「いいよっ。おうちでたっくんの料理食べたい!」
あい「ふぁぁぁぁぁぁぁぁ~」
たく「起きた起きた。ただいまあいちゃん」
あい「たったー!(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「あいちゃんは俺のご飯食べたい?」
あい「あい!たべたい!」
あお「じゃあ、ふたりで待っちゃおう!」
あい「あーいー!」
あお「なにつくるのかなぁ」
あい「たったー、はやくたべたい!」
愛央とあいちゃんはワクワクしながら待っていた。
俺は一人でずっと包丁片手に具材を切る。今日はあいちゃんでも食べられるカレーにするのだ。
それから約15分後のこと。無事に昼ごはんが完成した。もちろんあいちゃん愛央は大喜び。下手くそなのにおかわりおかわり言ってよく食べる。愛央に限らず女子はダイエットしがちだから、そこにも配慮してある。
あお「たっくんこれ美味しいのに太らないってほんと?」
たく「うん。食ったあとはそりゃ増えるけどにさんちしたら元に戻るようなバランスにしたよ」
あお「男前~♡」
たく「あにいってんだよ」
そんなことをいいつつも、なんとすっからになった。愛央たちはお腹いっぱいになったし、よかったよかった。
昼過ぎの14時、シフトを見ると今日は17時からバイトだった。だからやることは風呂に行ってバイトに行くことだ。
あお「ねぇ、今日バイト?」
たく「バイトー。でも今日品出しの方だし閉店19時だからすぐ帰ってくるよ」
あお「バイト終わったら、愛央とデートしてっ」
たく「いいよ」
愛央は1月と言えど、ふたりの時間がほしいらしい。だから二人でどこか行くことにしたのだ。
19時になって4時間働いたあとの定時上がりをした時に、愛央が寒そうにしながら待っていた。俺に気づくと愛央はぎゅーって抱きついて、まずは夕食を食べに行くことにした。
たく「待たせて悪いね愛央」
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡ねぇ、ご飯食べに行こっ。あいちゃんはパパに預けたから」
たく「あいつに預けちゃおいねぇ気がするけど」
あお「あいちゃんはパパと楽しそうにご飯食べてたよ!わたしたちは二人で・・・」
たく「分かったって。ほらいくどー」
愛央はどうやら俺が来るちょっと前に来たらしい。だからご飯を食べたくてそう言ったらしいのだ。
あお「ねぇ・・・」
たく「あに?」
あお「私、たっくんと同じ会社就職してたっくんのお手伝いできるかな?」
たく「愛央は愛央の任された仕事をやってればいいよ。俺の手伝いなんてやらんくていいよ」
あお「でもわたし、たっくんが苦しんでるところ見ちゃうと・・・」
たく「そんときだけ手伝って。ぎゅーしたりだとか」
あお「うん」
極度の心配をしてくれる愛央には感謝しかない。愛央はそれだけ不安なのだった。
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