第60話 彼女の冬とクリスマス

就職試験が終わったからか俺は余裕ができた。だから休日は家で大爆睡。バイト?今は平日夜だけ行ってる。そんな中、愛央が朝から気合いを入れたのか、俺をいきなり起こしたのだ。


あお「たっくん!起きて!」

たく「んだよ。まだ5時やろ。寝かせろ」

あお「一度でいいからやりたいことがあるの!」

あい「あいたんやりたい!」

あお「あいちゃんとたっくんに手伝ってほしくて!」

たく「ふぁ~、ねっぶ」

あお「起きるの辛かったらまだやらないからいいよ」

たく「腹減ったから起きる」

あお「ご飯食べたら手伝って」

たく「今から買ってくるよ」


俺はそう告げて近くのコンビニまで走った。当たり前だけど、冬だから目が覚める。寒くておいねぇなぁとは思ったが、愛央たちが腹空かせてるから急がないと。


たく「ひー、そとばかおいねぇぞ」

あお「おかえりっ。寒い?」

たく「風がすんげぇひゃっこい」

あお「愛央出たら一瞬でたっくんにしがみつくくらいひゃっこいの?」

たく「んまそだけんが・・・愛央あじした」

あお「えっ?」


気づいただろうか。愛央が方言を喋ったことに。


あお「どうしたの?」

たく「普通に今方言出たんだけど?」

あお「えっ!?出てた!?」

たく「おい。気付けよ」


愛央は天然だから自分の方言に気づかない。というか、愛央は方言の意味を知らずに使っていたようだ。


あお「わたし、方言の意味を知らないで喋ったのかも・・・」

たく「意味知ったらもっと面白いかもな。さ、飯だ飯。あいちゃーん」

あい「きゅぴ〜♡(´。>ω<)ぎゅー♡」

たく「食べよっか」

昭仁「ちっす」

たく「ちっす」

あお「パパ~!(´。>ω<)ぎゅー♡」

たく「あじした?」

昭仁「ふたりとも内定したから。伝えに来た」

たく「はっ!?」

あお「えっ!?」

昭仁「配属は、入社式が終わってから教える」

たく「おっけ」


愛央と俺の内定が決まったところで父親含んで4人揃い朝飯にした。その時に、あいちゃんは俺に話しかけたのだ。


あい「たったー、あしょびたい!」

たく「いいけど何して遊ぶの?」

あお「なら外行こっ。愛央、お買いものしたい」


愛央はそう言って食べ終わると、急いで着替えに行った。数分後に愛央は冬のデートコーデを作って戻ってきたのだ。


あお「つーくって♡」

たく「死ぬ」

あお「むぅ・・・」

たく「可愛すぎんの!あんた化粧変えた!?」

あお「変えてないよ・・・ぎゅーっ♡」

たく「やるからほれ座って」


愛央にハーフアップを作ると愛央はいつものように頬にキス。当たり前だけど普通にかわいい。


あお「寒い・・・」

たく「だけんが冬は冬でいいんだよな」

あお「なんで?」

たく「自販機にいろんなコンポタが並んでさ、ほんで出してるメーカーによって味がちげーんだよ。これがまた美味いんだわ」

あお「それが楽しみなの?」

たく「うむ」

あお「そうなんだね・・・もうそろそろ、今年も終わっちゃう・・・」

たく「はえーよなー。今日がクリスマス2日前。今年も3人で過ごすことになりそうだなぁ。はー、君津帰りてぇ」

あお「ねぇ、今年は君津でクリスマス過ごそうよ」

たく「はっ?」

あお「愛央、君津でクリスマス迎えたことないの」

たく「じゃあイブに君津帰って、当日に北子安のシャトレーゼ行ってケーキ買おっか」

あお「うん!」


そして翌日、3人で初めてクリスマスを過ごすため君津に帰ってばあちゃん家に行った。北子安のシャトレーゼはバスで行けるけど流石はクリスマス、ケーキは残り2つしかなかったのだ。


あお「直径18cmと直径20cmかぁ・・・」

たく「でも食べる分にはでっかいほうが愛央も食べれるべ?」

あお「うん・・・」

たく「あにそんなしんみりした顔して。どしたの?」

あお「なんか愛央、悲しくなってきちゃった・・・」

たく「えっちょっと待ってホントなにした」

あお「クリスマス毎年来てるのに、愛央今年はプレゼントも選べなかったから・・・プレゼント交換できないの!ひっく・・・」

たく「そうとは限らんよ。あいちゃんとばーちゃんが寝たら、あるもの渡してあげるから」


今年愛央はクリスマスプレゼントを俺に渡そうとどうやらしたらしい。ただ何も買えずに困ってしまい、そのまま当日を迎えてしまったのだ。俺もそれは知っていたから、せいぜい愛央にはなにかあげようとして今日隠して用意しておいたのだ。ばあちゃん家に帰ってからケーキを食べると21時になってあいちゃんとばーちゃんは先に寝てしまった。そのあとに俺は愛央を呼んで、あるものを渡したのだ。


たく「愛央っ。おいで」

あお「うんっ。これなに?」

たく「Merry Christmas.はいどうぞ」

あお「えっ、これって・・・」

たく「愛央が欲しがってたリップだよ」

あお「高いやつだよね?」

たく「5万円。でもね、これ特注品なんだよ」

あお「えっ?」

たく「横見てみな」

あお「よこっ?・・・Ao Kotonoって書いてある・・・」

たく「世界に一つだけの愛央のリップだよ。その化粧に合うだろうなと思う」

あお「たっくん・・・・ありがとう!」


愛央はそういうといっつものようにぎゅーって抱きついた。クリスマスだからずっと長く。それからあいちゃんにもプレゼントを渡して、俺らは寝た。愛央とふたりで同じ布団に入った上で。あ勘違いすんなよふたり仲良く寝てんだから。




翌朝25日。あいちゃんが俺のところに来て大喜びでプレゼントを見せてきた。ソレヲエランダノハオレダッテノニ。


あい「たったー!サンタさんきたー!」

たく「おーそれはよかったね。なにがきたの?」

あい「これ!たったーとおなじえんぴつー!」

たく「よかったねー。これでいっぱいお勉強できるね」

あい「あい!」

あお「くぅ・・・くぅ・・・」

たく 「ぐっすり寝とき。まだ帰らないから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る