第55話 高校生活最後の大会!愛央のチアが止まらない!?
※このお話は前の54話と連動しています。
9月のある日、俺はいつものように夜のバイトを終え、片手にエナドリを持ちながら家に帰ってきた。のだが、今日は愛央の出迎え方がいつもと違った。
あお「おかえり〜♡(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「はいただいま」
あお「ねえたっくん・・・愛央たち次の球技大会でチア部引退するんだけど、チアユニの色に困っちゃって・・・選ぶの手伝って?」
愛央はどうやら次の球技大会で着たいユニフォームが決まらないらしい。これは問題かもと思い、俺は愛央に話した。
たく「あにいきなり。愛央は愛央らしさがあるべさ」
あお「でも・・・赤いベストに白地の赤いスカートはもうなんかつまんなくて・・・」
たく「じゃあさ、愛央が小6まで習ってたチアのやつ着てみいよ今。そっちのほうがいい気がする」
あお「これ?」
愛央に教えたのは小6まで愛央が習っていたチアの教室で来ていたチアユニ。これを着たらどうなるのかなって思った俺の暗示だ。
あお「こんな感じ?」
たく「いいじゃん。愛央は着やすいと思ってる?」
あお「うん!」
たく「ではでは・・・髪をちょっといじりますか」
あお「やった〜!今日は何を作ってくれるの?」
たく「体育祭はツインテールだったろ?今回はハーフアップ」
あお「えっ!たっくん神!」
そう、愛央は小6まで習っていた教室にほぼ絶対俺が作ったハーフアップで行っていた。だから往年の姿を復刻させてやろうと、俺は3分かけてハーフアップを作り上げた。愛央が大喜びしている間に俺はとあるものを持って愛央に渡した。
たく「おい、飲むぞ」
あお「なにこれ?」
たく「普通のレモンティーだけどちょっと濃い目」
あお「美味しそう!」
たく「ではでは」
あお「かんぱーい!」
そう、実はこれかつて俺のばあちゃんが作っていたレモンティー。俺はばあちゃんに作り方を教わっていたから愛央が美味しいと思えるものを作ったのだ。
そして翌日、愛央がチア部として最後の応援をする日になった。夜中3時に俺は起きて愛央にハーフアップを作ってあげた。眠いけどメガネをかけて寝癖解いて、ヘアアイロンで愛央の髪に躍動感を持たせる。そうすることで、愛央がより可愛く応援できるようになるべっていう兄の本音だ。そんなこと考えてたらあっという間に完成した。
あお「たっくん!すごいね!」
たく「最後だからね・・・」
あお「あれ?・・・ねぇやっぱり不安?」
たく「妹だからこそやっぱ気にかけるよね」
あお「うん・・・去年は満塁打ったけど今年は・・・」
たく「毎度競技のときはこんなこと話してるよね」
あお「負けたときのことが記憶に残りやすいんだよね」
たく「もう仕方ねぇけどな」
俺はそう言ったが、愛央は黙り込んじゃった。目には涙。俺は続けてこう言った。
たく「あーおっ」
あお「えっ、なに?」
たく「あーたらしくねぇぞ。あじした?」
あお「負けてたっくんが負の気持ちで終わったらどうしようって・・・」
たく「愛央。ありがとう。お前の気持ちはよぉぉぉくわかった。楽して。だいじょうぶかい?」
あお「ぐすん・・・たっくん!」
たく「おーよしよしいい子いい子。お前がそこまで本気になって心配してくれてんのはよくわかった。今日はもう勝っても負けてもいい。最後だから。ただ中途半端にはやりたくない。俺がいくらスポーツができなくてもね、愛央が応援するから俺はできる。だろ?」
あお「うん・・・たっくん頑張り屋さんだもん」
たく「泣きたいのはわかる。俺も勝てるかどうかはわからない。でも、大丈夫だから」
俺はそう言って愛央と一緒に家を出た。あいちゃんは親父とお留守番をしているから、今日は久しぶりに二人の時間だ。
あお「ふたりのじかん、久しぶりだね」
たく「最近はあいちゃんを連れて歩くようになったからねぇ。ふたりで歩くのも久しぶりだなぁ」
あお「愛央ひとりだから、今日はたっくんにつきっきりでいい?」
たく「いいよ」
あお「じゃあ・・・たっくん♡がんばってね♡」
たく「可愛すぎだろ・・・」
あお「ぎゅーっ♡」
最後の大会は、愛央が一番可愛く応援できるバスケ。俺は本気になってバスケの練習を頑張った。愛央も流石に今日は勝ってほしいと思ってるはず。
たく「ブザーシュート決まっかなぁ今日は」
あお「決めて逆転勝ちしたらすごいよね!」
たく「まぁなぁ」
あお「愛央抱きついちゃうかも。決まっちゃったら」
たく「何いってんだよ。ったく。汗臭くておいねぇぞ」
あお「それでもたっくんは他の人と圧倒的に違うから好きなの」
たく「んならあんでんねぇか」
愛央は今日俺のところにずーっといる気だ。俺は確信していた。しばらくして、試合が始まった。俺は最初っから入ってた。愛央が振るポンポンの音が俺の心までしっかり伝わってる。最後だから愛央は余計に可愛く応援していた。
あお「たっくんいいかんじー!」
たく「入んべこれ!おるぁ!あ、入った」
最初のシュートはまさかのハーフコートシュートが決まり3P。愛央は大喜びだった。
あお「たっくんすごーい!」
たく「入ると思ってねぇよ・・・」
あお「スリーポイント練習してたもんね!」
たく「せやけどさぁ」
その後ひたすら俺は走り続けた。バスケは下手だけど、パスを回したりだとか。愛央も本気になって応援してるから期待は裏切りたくない。そして20分たったのでハーフタイム。チア部の後輩?だよなこれ。と思いながらベンチに行くと・・・愛央が色々教えてくれた。
あお「たっくん、おつかれさまっ!」
たく「ありがと。ねぇ愛央、あれチア部の後輩たち?」
あお「うん。チア部のあれはー、1年生の子たちかな?ぽんぽんの色で学年別になってるはずだし・・・今年結構チア部入ってる子多いよ」
たく「にーしーろーやーで13人くらいおらん?」
あお「うん。今年は13人入ったよ。愛央たちの代が16人だったからそのくらいと考えたら多いよね」
たく「愛央たち含めた今年のチア部って何人いたんだ?」
あお「35人。2年生が少なかった」
たく「そんなかでよっけいに愛央目立つもんな。こういう発表の場だとほぼの確率でハーフアップだもん。今日だってな」
あお「たっくんが作ってくれるハーフアップが好きだからだもん・・・」
たく「そこは愛央らしいね」
あお「ふふっ。あ、そろそろ後半戦だし、フレーっフレーったーっくん♡がんばってきてね!」
たく「ありがと。んだぁ行ってくるわ」
あお「がんばって!」
愛央はポンポンを振って俺を送り出した。後半20分、最後の最後でブザーシュートを決めて勝ってやる。その勢いで後半戦がスタートした。俺はボールをパスされると速攻で3Pラインからシュートを決めたが外し、その勢いでついに大発火。ここから怒涛の点決めを繰り広げる。現時点で67ー61。俺らが3P2本分負けてる。愛央の泣きかけた応援が俺の心に響く。妹を泣かせて終わるか。愛央を泣かせて恥ずかしくねぇのか。んなこと考えてる間に下級生側のファウルが取られフリースローになった。そして打つのが俺。愛央はベンチから俺に言った。
あお「たっくん!絶対決めて!」
たく「え?決めなきゃ恥ずかしいでしょ」
まぁこれをなんと平然と当たり前のように決めた俺は愛央がめちゃくちゃ喜んでる顔を見た。おーよかったよかった。顔から涙が消えてるわ。そして皆様おまちどおさまでございました。いよいよ、その時がやって参ります。19分50秒、俺にボールがパスされた。71-69,次のシュートで決まる。愛央はかなり祈ってる。他のメンバーも祈ってる。俺は目をつぶり、息を吸った。そしてついにブザーがなりそこで俺は思いっきりシュートを打った。その結果・・・・3P成功でなんとIN!逆転勝利を掴んだのだ。
あお「やったぁ〜!!!」
たく「おーよかった。入った」
あお「たっくーん!ぎゅ~!ありがとう!愛央のためにほんとに決めてくれて!」
たく「いてててて。いや入るかと思ってとりあえず打ったら入った(超冷静)」
あお「かっこよかった!すっごーい!あいちゃんもたぶんしゅごーい!って言うと思うよ!」
たく「恥ずかしいわ」
愛央は大喜びでぎゅーってしてくれた。甘えん坊め。でもがんばった分愛央からのご褒美はありがたいのだ。
あお「たっくん、おつかれさまっ」
たく「ありがと。はー、すんげぇつかれる」
あお「花道作ってあげればよかったね」
たく「あそうじゃん。今回チア部の花道無かった」
あお「愛央たちでね、選手にエールを送りたいってのはあったんだけど、愛央がたっくんのこと思っちゃって・・・」
たく「じゃあさ、ここでやっちゃえば?」
あお「えっ?」
実は今回の大会で愛央は自分で花道を作れるのに作らなかった。俺は愛央がはてなになってるのを想定はしていたがやっぱり分からない愛央は考えちゃっている。
たく「やっぱ、すぐには思いつかんよな」
あお「えっ?」
たく「愛央こう思ってたべ。たっくんに可愛がってもらえる花道ってなんだろうって」
あお「うん。チュールスカート着て花道作って、ただ単にぽんぽんを振って出迎えるだけだと・・・」
たく「んだけでええよ。愛央のその丸顔を生かしてちょっとだけ髪変えよっか」
俺は愛央の丸顔がクラスの他の奴らからもモテるってのは知ってた。だからそれを生かして、また髪を変えて愛央に自信を持たせることにした。
たく「ほいあじょうだ!これでええべ」
あお「わ!すごいかわいい!」
たく「おーいいやんべ」
あお「振ってみるね!」
こう言ったあと、愛央はすっごく可愛い応援をあいちゃんと俺の前で披露した。愛央はやっぱ、好きなんだなぁ。
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