第54話 高校生活最後のチア!今日はたっくんが大活躍!?

※このお話は次の55話と連動しています。



9月に入ると、方南高校のチア部って忙しくなるの。愛央たち3年生が次の球技大会の応援で引退するから。だから、3年生の集大成と後輩たちへ愛央たちからのエールって意味でこの球技大会は応援するの。今年の愛央たちチア部のユニフォームはノースリーブの赤いベストに白と赤のプリーツスカート。これで応援していたの。でも合ってるのかわからなくなっちゃったから、バイト終わりのたっくんに聞いてみたんだ。


あお「おかえり〜♡(´。>ω<)ぎゅー♡」

たく「はいただいま」

あお「ねえたっくん・・・愛央たち次の球技大会でチア部引退するんだけど、チアユニの色に困っちゃって・・・選ぶの手伝って?」

たく「あにいきなり。愛央は愛央らしさがあるべさ」

あお「でも・・・赤いベストに白地の赤いスカートはもうなんかつまんなくて・・・」

たく「じゃあさ、愛央が小6まで習ってたチアのやつ着てみいよ今。そっちのほうがいい気がする」

あお「これ?」


たっくんが指したのは愛央が小学6年生の時に習ってたチアユニ。体育祭のときには赤だったから、次は名前と同じ色を着てみたら?っていうたっくんからの教えに感じたの。


あお「こんな感じ?」

たく「いいじゃん。愛央は着やすいと思ってる?」

あお「うん!」

たく「ではでは・・・髪をちょっといじりますか」

あお「やった!今日は何を作ってくれるの?」

たく「体育祭はツインテールだったろ?今回はハーフアップ」

あお「えっ!たっくん神!」


それから3分後、たっくんの早すぎる手さばきで愛央の好きなハーフアップが完成!三編みしてそこから作って大変なのに・・・と思っているとたっくんがなにかもってきてくれた。


たく「おい、飲むぞ」

あお「なにこれ?」

たく「普通のレモンティーだけどちょっと濃い目」

あお「美味しそう!」

たく「ではでは」

あお「かんぱーい!」


たっくんが作ってくれたレモンティーはかなり美味しい味。紅茶好きの愛央はほっぺが落ちるくらい美味しいって思ったの!


そして翌日、愛央にとって高校生活最後のチア披露日。たっくんは夜中の3時に起きて愛央のためにハーフアップの準備をしてくれた。寝起きなのにメガネをかけて、愛央の寝癖を解いて・・・ヘアアイロンで髪がふわっとなったときにはすでにハーフアップが完成してたの!


あお「たっくん!すごいね!」

たく「最後だからね・・・」

あお「あれ?・・・ねぇやっぱり不安?」

たく「妹だからこそやっぱ気にかけるよね」

あお「うん・・・去年は満塁打ったけど今年は・・・」

たく「毎度競技のときはこんなこと話してるよね」

あお「負けたときのことが記憶に残りやすいんだよね」

たく「もう仕方ねぇけどな」


流石のわたしも今日は負けてほしくない。たっくんが笑顔で終われるように・・・って願っていると・・・


たく「あーおっ」

あお「えっ、なに?」

たく「あーたらしくねぇぞ。あじした?」

あお「負けてたっくんが負の気持ちで終わったらどうしようって・・・」

たく「愛央。ありがとう。お前の気持ちはよぉぉぉくわかった。楽して。だいじょうぶかい?」

あお「ぐすん・・・たっくん!」

たく「おーよしよしいい子いい子。お前がそこまで本気になって心配してくれてんのはよくわかった。今日はもう勝っても負けてもいい。最後だから。ただ中途半端にはやりたくない。俺がいくらスポーツができなくてもね、愛央が応援するから俺はできる。だろ?」

あお「うん・・・たっくん頑張り屋さんだもん」

たく「泣きたいのはわかる。俺も勝てるかどうかはわからない。でも、大丈夫だから」


たっくんはそう言った。愛央も泣いてられないと思って、白と赤のポンポンを持ってたっくんとふたりでお家を出た。今日はあいちゃんがお留守番。パパと一緒に過ごすんだって。


あお「ふたりのじかん、久しぶりだね」

たく「最近はあいちゃんを連れて歩くようになったからねぇ。ふたりで歩くのも久しぶりだなぁ」

あお「愛央ひとりだから、今日はたっくんにつきっきりでいい?」

たく「いいよ」

あお「じゃあ・・・たっくん♡がんばってね♡」

たく「可愛すぎだろ・・・」

あお「ぎゅーっ♡」


最後の大会は、愛央の応援が一番届くバスケ。たっくんはこの日のために一生懸命練習していた。愛央はね、たっくんに勝ってほしい。今日はそんな気もちなの。バスケは一回の試合。たっくんは最初っから動いていた。3年生と下級生の対戦。2年生から3人と1年生から2人。愛央たちチア部はベンチ付近で応援。でも愛央はっ・・・たっくんのとこで応援するの♡


たく「ブザーシュート決まっかなぁ今日は」

あお「決めて逆転勝ちしたらすごいよね!」

たく「まぁなぁ」

あお「愛央抱きついちゃうかも。決まっちゃったら」

たく「何いってんだよ。ったく。汗臭くておいねぇぞ」

あお「それでもたっくんは他の人と圧倒的に違うから好きなの」

たく「んならあんでんねぇか」


こんな会話をしているうちに試合が始まった。愛央はたっくんのベンチでいっぱい応援したの!心の底だと負けてほしくないけど、すっごいたっくんは動いてる・・・。愛央のために、頑張ってるのかな。試合開始から5分、たっくんにボールが回ってきたところでたっくんがハーフコートシュート!結果は・・・


たく「あ、入った」

あお「やった〜!」

たく「やったわ。先制ゲット」

あお「たっくんすごーい!」

たく「いやでも入ると思ってねぇよ・・・」

あお「スリーポイント練習してたもんね!」

たく「せやけどさぁ」


その後もたっくんはひたすら走り続けてボールをパスしたりしてた。そして気づけば20分。たっくんが戻ってきて色々聞いてきたの。


あお「たっくん、おつかれさまっ!」

たく「ありがと。ねぇ愛央、あれチア部の後輩たち?」

あお「うん。チア部のあれはー、1年生の子たちかな?ポンポンの色で学年別になってるはずだし・・・今年結構チア部入ってる子多いよ」

たく「にーしーろーやーで13人くらいおらん?」

あお「うん。今年は13人入ったよ。愛央たちの代が16人だったからそのくらいと考えたら多いよね」

たく「愛央たち含めた今年のチア部って何人いたんだ?」

あお「35人。2年生が少なかった」

たく「そんなかでよっけいに愛央目立つもんな。こういう発表の場だとほぼの確率でハーフアップだもん。今日だってな」

あお「たっくんが作ってくれるハーフアップが好きだからだもん・・・」

たく「そこは愛央らしいね」

あお「ふふっ。あ、そろそろ後半戦だし、フレーっフレーったーっくん♡がんばってきてね!」

たく「ありがと。んだぁ行ってくるわ」

あお「がんばって!」


愛央はポンポンを振ってたっくんを送り出したの。決め所は一番最後のブザーが鳴ったときにたっくんがゴールに入れるところ。愛央はそれを祈ってる。フレっフレっ、たっくん。頑張れっ。


後半戦が始まってたっくんはいきなり猛ダッシュ。怒らせるとまずいたっくんはこういうときに火がついて点を入れやすくなるんだって。私は勝てないかもって思って泣きそうになりながらたっくんたちを応援したの。そしたら少しして、下級生側のファウルが取られてフリースローになった。それを打つのは・・・えっ!?たっくん!?


あお「たっくん!絶対決めて!」

たく「え?決めなきゃ恥ずかしいでしょ」


そしてたっくんはフリースローをなんと当たり前のように決めたの!愛央はポンポンを輝かせてたっくんにエールを送ったんだ。やっぱお兄ちゃんってすごい!私は泣いていられないと思って、可愛く応援した!フレーっ♡フレーっ♡って!そしてついにその時が来た。愛央はすっごい祈ってる。


お願い!入って!


愛央の願いは試合終了のブザーと同時にたっくんの本気のシュートにこもっていたようで同じタイミングにゴールへボールをシュートした。71ー69から・・・たっくんはブザーシュートを成功させたの!スリーポイントになって逆転勝利!


あお「やったぁ〜!!!」

たく「おーよかった。入った」

あお「たっくーん!ぎゅ~!ありがとう!愛央のためにほんとに決めてくれて!」

たく「いてててて。いや入るかと思ってとりあえず打ったら入った(超冷静)」

あお「かっこよかった!すっごーい!あいちゃんもたぶんしゅごーい!って言うと思うよ!」

たく「恥ずかしいわ」

あお「大好きだよ!たっくん!」

たく「今言う必要あるかよそれ」


40分の試合で一時はどうなることかと思ったけど、たっくんは本当に決めてくれた。たっくん、ありがとう♡


家に帰ってくるとさすがに40分も走ったたっくんはお疲れモード。それでもやっぱあいちゃんや私の相手はしてくれる。さすがたっくん。エナドリ片手にあいちゃんの遊びに付き合ってる。あいちゃんは遊びたくてしょうがないからだって。でも私はたっくんにこう伝えたの。


あお「たっくん、おつかれさまっ」

たく「ありがと。はー、すんげぇつかれる」

あお「花道作ってあげればよかったね」

たく「あそうじゃん。今回チア部の花道無かった」

あお「愛央たちでね、選手にエールを送りたいってのはあったんだけど、愛央がたっくんのこと思っちゃって・・・」

たく「じゃあさ、ここでやっちゃえば?」

あお「えっ?」


愛央は言われてることがよく分からなかったの。花道を作れなかったから、ここでやっちゃう?って・・・


あお「どういうこと?」

たく「愛央はさ、花道作ってたっくん頑張ってーって言うの好きだろ?」

あお「うん。たっくんが頑張るから」

たく「だからさ、あのとき愛央が花道を作らなかったとき愛央はやりたくても出来なかったんじゃねぇのかって」

あお「うぅ・・・」

たく「図星だな。当たったろ」

あお「うん・・・」

たく「じゃあ持ってさ、んで俺一回外出るから花道作って出迎えて?」

あお「えっ、作っていいの?」

たく「逆にあんたが作りたいんじゃねぇの?」

あお「作りたいけど・・・」


たっくんは愛央が花道を作らなかったことを文句も言わず、逆に作っていいって言ってくれた。愛央はそれにまた甘えちゃうことになるんだけど、たっくんに1番かわいがってもらえる花道って何かなって思ってると・・・


たく「やっぱ、すぐには思いつかんよな」

あお「えっ?」

たく「愛央こう思ってたべ。たっくんに可愛がってもらえる花道ってなんだろうって」

あお「うん。チュールスカート着て花道作って、ただ単にぽんぽんを振って出迎えるだけだと・・・」

たく「んだけでええよ。愛央のその丸顔を生かしてちょっとだけ髪変えよっか」


そしてたっくんは愛央の髪を持って、ハーフアップを解いたあと、ポニテを作ってくれた。


たく「ほいあじょうだ!これでええべ」

あお「わ!すごいかわいい!」

たく「おーいいやんべ」

あお「振ってみるね!」


わたし、やっぱりたっくんの応援団になってよかったかも。

フレフレたっくん。これからも頑張ろうね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る