第53話 最後の夏休み。3人の決断。
夏休みになったが俺は週6でバイトを入れ、倒れそうになりながら頑張っていた。愛央もそれを心配してか、毎日朝にいっしょについてきてくれたり、応援してくれたりと。俺はこの夏休み中に職場を決めるための決断をするために考える時間としてバイトをしているのだ。
バイトを終えて家に帰る途中でだいたい愛央から電話が来る。パソコンどうしようとか家の間取り決めようよとか。そんな会話をしながらだいたいバイト後は過ごしてる。
8月7日、朝の9時から5時間バイトをしていた中でとある珍客が来たのだった。まぁ、このパターン俺は予想できたんだが。
たく「いらっしゃいませ~」
あい「たったー!」
あお「たっくん!」
たく「えっちょあいちゃんと愛央あじした」
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「はいよしよし。んで、あじしたん?」
あお「またお水忘れたでしょ?」
たく「 あ っ 」
そう、俺がだいたい忘れ物をすると愛央とあいちゃんがふたりで届けに来てくれる。兄思いの愛央だからこそ、余計に助かるのだ。
あお「はいお水っ。たっくん、最近ほぼ毎日バイトだけど疲れない?」
たく「ありがとね。正直かなり疲れるよ。でも愛央たちが笑顔になるからね」
あお「ならいいけど・・・無理しないでね」
たく「ありがと。あちょごめんね」
あお「あいちゃん、これがたったーとお客さんのやりとりなんだよ。見てようね」
あい「きゅぴ」
たく「いらっしゃいませ。おはようございます。お預かりいたします。ポイントカードはお持ちでいらっしゃいますか?もしお持ちでいらっしゃらない場合お作りできますが。あ、よろしいですか。お会計が5点で2680円でございます」
あお「かっこいいね」
あい「きゅぴ」
店長「たっくん成長したね」
あお「おじさん!?あごめんなさい店長さん」
店長「いいよもう。お隣さんなんだから。愛央ちゃんもチア頑張ってるんでしょ?」
あお「もうすぐ引退しますけど、頑張ってます!」
店長「そっか。今日は何?おっちょこちょいのたっくんに忘れ物届けに来たの?」
あお「そうなんです。たっくんお水忘れちゃって」
店長「そっか。ゆっくりしていきな」
あお「ありがとうございます!」
たく「ありがとうございます。3000円お預かりいたします。お待たせいたしました。お返し320円とレシートです。またよろしくお願い致します。ありがとうございます」
あい「たったー、だっこー」
たく「だっこ?」
あい「今のたったーとねーねーおなじタイミングでおれいいってた」
あお「言われてみれば・・・」
たく「たしかに。言ったよな?」
あお「うん!愛央たち息合ってるね!」
たく「そこ感心するところかよ?」
あお「ふふっ。無理しちゃだめだよ。家で待ってるから」
たく「おっけ。あいちゃんも帰ってねんねしててね」
あい「あい!ばいばい!」
あお「頑張ってね。(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「はいはい。ほんじゃーねー」
そして俺は4時間バイトをしたあと、家に帰って愛央とでかけた。愛央が俺をどっかに連れていきたいって言ったから。
あお「疲れてるのにごめんね」
たく「いーよ。腹減ったべ?」
あお「うん」
たく「おらもだから安心せぇ。だけんが、あにくうべかきめとらん」
あお「たまにはファミレス行こっ。食べられるものが1つや2つあるはずだから」
たく「はぁ」
あお「ねぇ・・・決められない?」
たく「あにが?」
あお「働く場所。最悪、パパのところでいいかもしれないけど・・・」
たく「会社見学、この前予約しただろ?あれ実はよ、親父のところで働こうとしたんだ」
あお「えっ?」
たく「この前土下座されたんよ。んであにしたんだってったら俺のところで働いてくれだと」
あお「でも、たっくん跡継ぎしたくないって」
たく「そーコネで入ったって思われたらおいねぇべ?だから余計に断ったんだけど」
あお「パパ、どうしてなんだろう・・・」
たく「それがあじしたんだってったらよ、愛央と俺が居たらやる気が出るんだって。アホな話をすんなってんだ」
あお「ねぇ、愛央思ったんだけど、私がチアリーダーだからパパのやる気が出るんじゃない?で、たっくんも一緒に働くことで3人でお昼や夜を食べに行けるし、たっくんと愛央の部屋から動かなくて済むってことじゃない?ほら、引っ越すって言っちゃったし・・・」
たく「だからってよ・・・大人でしかも社長の親父が17のガキに土下座するかよ?」
あお「子供たちが働いてくれることによってさらにいい経営方針を思いつくってことじゃない?」
たく「だからかぁ・・・」
俺は正直頭の片隅にぜってーあいつ愛央に応援されたいだけだろって思ってたがあえて口に出さなかった。もうバレバレだし。
あお「パパのところで働いたら、交通費とかゼロだよ?」
たく「あれ?じゃあそう考えると食費もタダ?」
あお「うん♪」
たく「20いくらの給料で、食費光熱費とか持ただと考えると俺と愛央そこで働くことが1番安価なのかな・・・」
あお「不安なのはわかるよ。でも、あたしもふたりで働きたいし、たっくんに応援できるのは愛央だけでしょ?」
たく「ふーん。じゃあ、ここにしよっか」
あお「うん!」
こうして俺らは、見事父親の会社に就職試験を受けることとなった。
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