現世
地震で『
呪縛から解放された
通りにはたくさんの人間が歩いている。ヒトのほかに鉄のニオイがする見たこともない塊が動いている。ヒトも鉄の塊も数が多く、どれもせわしく移動する。
(見たことがない物が多い。木や土はどこにある?)
以前は食料を確保するのが難しかった。ところが今はその心配はない。食料は地上にわんさかいて、巨大な石壁の中に入っていく。石壁は不思議な造りで、四角い形状をし、石と透明な部分に分かれている。透明な部分からヒトが見えており、どの石壁にもみっちり詰まっている。
石壁はどうやら今の時代のヒトの住まいらしい。かつては植物や石を使って組み立てたものが家だった。長い年月の間にヒトはいろいろな物を混ぜて新しい石を作ったようだ。
ほどなくして、
かつてヒトは闇を恐れて極力出歩くことを避け、用がある場合のみに仕方なく外出し、連れだって行動していた。ところが今は夜でも一人歩きするし、まるで赤子のように警戒心がなくて簡単に食事にありつける。
現状をだいたい把握した
公園を仮の根城から棲み家と決めた
公園には街灯があり、遊歩道は夜でも明るく帰宅途中のビジネスパーソンの通り道になっていたり、ウォーキングする人もいる。深夜近くでも園内を利用する者は多く、ほかにもヒトがいるからと警戒心は薄い。公園は
今夜も犠牲者が出た。
現世では常人の目に映らないモノは存在しないことになっている。都市部の整備されたきれいな公園に
夜の
公園の片隅のヒトが立ち入らない木々の茂った場所で、
地面に着いたら
むかしと比べるとヒトの数は膨れ上がっている。ヒトは無数にいて食うに困らない。
ヒトに
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