第22話

でも・・・、ヨシオ君は申し訳なさそうに言いました。

心配をかけた両親と姉、それからなおちゃんのご両親には、本当のことを知らせたいのです。

わかった。造作もないことだ。

王様、よろしくお願いします。

ヨシオ君が頭を下げました。

では、暗くなったら出発しよう。



なおちゃんが、ヨシオ君に携帯を渡しました。

込み入った話になるから、今のうちにお父さんたちに電話で説明した方がいいんじゃない?

そうだね。

ヨシオ君はそう言うと、家に電話をかけ始めました。

もしもし。お母さん、僕だよ。ヨシオだよ。

ヨシオ君のお母さんは、最初は信じようとはしませんでした。

でも、ヨシオ君とお母さんしか知らないことを話すと信じてくれました。

ヨシオ、本当にヨシオなのね。今までどこにいたの?

お母さん、実はね・・・

ヨシオ君は、長い間話していました。

ヨシオ君はやがて電話を終えて、なおちゃんの下に戻ってきました。

なおちゃんはヨシオ君に問いかけました。

信じてくれた?

渋々だけどね。お母さんと僕しか知らないことを話したら、納得してくれたよ。

もっとも、おばけのたまごの話は、半信半疑みたいだけどね。

そうこうしているうちに夜も更けたので、いよいよヨシオ君の家に行くことになりました。

ヨシオ君となおちゃんは、それぞれの家に、これから帰ると電話しました。

おばけの王様が、手を広げながら言いました。

では、二人とも我の側に来るがよい。

ヨシオ君となおちゃんが、おそるおそる王様の側に行くと、王様の手が伸びて、二人を包みこみました。

二人が驚いている間もなく、王様の、

さあ、行くぞ!

という声ともに、3人の体はふわりと浮き上がりました。

ローチェも隣で浮いています。

4人は、夜の空を飛んでいきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る