第8話
明くる日、なおちゃんは早速K駅前広場に行きましたが、おばあさんはいませんでした。
何日たってもおばあさんはいませんでした。
なおちゃんは思い切っておばあさんの家に行ってみましたが、窓は暗いままでした。
ひと月ほど通ってだめだったので、もうあきらめかけた頃、おばあさんの家の窓に灯りがつきました。
なおちゃんは思い切ってドアを叩いて言いました。
おばあさん、私です。直子です。
いるなら返事をしてください。
ああ、お嬢ちゃんかい。ちょっと待っておくれ。
おばあさんはそう言うとドアを開けてなおちゃんを招き入れました。
おばあさんは、ひどく疲れているようでした。
ちょっとやっかいなことがあってね。えらく時間がかかっちまったのさ。
悪いけど、今日は休ませておくれ。
なおちゃんたちは、おばあさんを心配しながら家に帰りました。
それから3日ほどたって、なおちゃんはおばあさんを訪ねました。
この間は、悪かったね。おばあさんが言いました。
さて、何から話したものやら。このやっかいごとにも関係があることだからね。
そうそう、まず世界の裏側の世界について話そうか。
世界の裏側の世界?なおちゃんが首をかしげました。
ヨシオ君も知らないようです。
あたしたちの住んでいる世界を、この紙の表側だとするね。
あたしらは、この紙の表面で暮らしていて、この他に世界があるとは思いもしていない。
ところで紙には裏側があるだろ。
裏側はどうなっていると思うかい?
まさか、別の世界があるんですか?
そう、あたしはそれを世界の裏側の世界と呼んでいるよ。
紙の裏と表のように境界で隔てられた、最も近くて最も遠い世界だよ。
おばあさんはそこに行ったことがあるの?
なおちゃんが聞きました。
ああ、あるともさ。
そこは、どんなところなんですか?
一言じゃあ言えないね。話が長くなるから、今日はここまでだよ。
また今度にしてかおくれ。
なおちゃんたちは仕方なく帰りました。
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