第6話
マリはしばらくの間難しい顔をして考え込んでいましたが、やがてこう言いました。
K駅の駅前広場に、よく当たるって評判の占い師のおばあさんがいてね、その人が不思議なことにもとっても詳しいんだって。
なおちゃん、一回その人に観てもらわない?
なおちゃんは渋々うなずきました。
それから3日後、なおちゃんはK駅の駅前広場に来ました。ところが、占い師のおばあさんは店を出していませんでした。
それでも、なんとなくあたりを見回していると、突然後ろから声がしました。
ヒッヒッヒ。お嬢ちゃんは珍しいものを持っているね。
それは、おばけのたまごじゃないか。
なおちゃんが振り返ると、そこには背が低くって小太りで、ジャラジャラとネックレスや指輪をたくさん身につけたおばあさんが立っていました。
なおちゃんは驚いて声も出ません。なぜなら、あの不思議な石はポケットにしまっていて、おばあさんには見せていないからです。
おばあさんはなおちゃんの驚きには気づかないように、なおもたたみかけます。
お嬢ちゃんがおばけのたまごを持っているってことは、あんたは昔死にかけたことがあったね。
そして思い人に助けられたが、その思い人は行方不明になってしまったね。
なおちゃんは驚きのあまり固まってしまって、もう声も出ません。
な、なんでそれを。私あなたにあの不思議なたまのこと、話していませんよね?
ヒッヒッヒ。あたしにはわかるんだよ。
ところで、お嬢ちゃんが命を助けられたのは、いつ頃の話なんだね?
ちょうど10年前になります。
おばあさんは目を丸くしました。
ちょっと待っておくれ。それじゃああんたは行方不明の思い人を10年間片時も忘れることなく思い続けてきたってのかい?
浮気はおろか目移りすらしなかったってのかい?
それで、つらいとは思わなかったのかい?
なおちゃんは、少しほぼを染めると言いました。
ううん、だって私の命はヨシオ君に助けてもらったんだもの。
いつかきっと会えると思っていたから、その時が楽しみだと思っても、つらいなんて思ったことはなかったわ。
はぁ、そうかい。
お嬢ちゃんは、おばけのたまごについて何を知っているのかい?
ほとんど何も。ただ命を助けられたことと、ヨシオ君がいなくなったことだけ。
そうかい。じゃあおばけのたまごについて教えてあげよう。立ち話もなんだから、あたしの家に来ないかい?お茶でも飲みながら話そうじゃないか。
すぐそこだから、ついておいで。
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