(5)

「えっと……手伝いましょうか?」

 俺は、さっき倒れて、あっと云う間に回復したおっさんに殴られたデブを救護しようとしている「正義の味方」(多分)に、そう声をかけた。

「あ……すいません。あっと、こっちの人も、しばらく安静なんで2人とも医務室まで運びます……。あ……」

「運ぶのが2人だと、手が足りませんね。おい、そこのお二人さん、手を貸してもらえるか?」

 俺は、「昔は羽振りが良かったが、今は零落おちぶれてる」風の精神操作能力者のおっさんと……何故か「パワー」はモノ凄いのに他は駄目っぽい同業者魔法使いに声をかけた。

「は……はい……」

 同業者魔法使いなのに、あっさり「精神操作」にかかった三〇前後の男は……まだ、目が微妙に虚ろだ。

「では、私で良ければ……あれ」

 ピ〜、ピ〜、ピ〜。

 何の音だ?

『充電切れまで約一〇分です。充電をお願いします』

「えっ?」

「あの……吐前はんざきさん……」

 「正義の味方」の1人らしき奴が、精神操作能力者のおっさんに声をかけた。

「あ……すいません。出港前に充電を忘れてて……」

「何やってんですか。バッテリーが切れたら、ロクに動けなくなるの、判ってるでしょ」

「す……すいません……」

 な……何だ? 何がどうなってる?

 充電? 動けなくなる?

 このおっさん……サイボーグか何かなのか? いや……でも……そんな技術、実用化されてたっけ?

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