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冬休みが終わり、一月が過ぎて二月。部活に行き、帰り、風呂に入って夕食を食べ終わった後のこと。母から
「
と聞かれた。やはり俺にはそういった具体的ななりたいものが無いので、困って、暫く黙ってしまった。俺の口は金魚のそれのようにパクパク動いた。
「話してよ」
俺は悩んで、悩んだ結果小さな声でゆっくり
「有名人になりたい」
今の俺にはそれしか言えなかった。すると、
「なんかそんな気がしてた。中学校の時も、文化祭で皆の前で発表したりしてたし」
確かに俺はそのとき漫才をした。どうやら人から見ても有名人になりたいという雰囲気は伝わるらしい。多分親だから余計に分かるのだろう。
そんな感じでなんとなく乗りきったことに少しホッとしていた。しかしそれでは駄目だということも分かっていた。俺は前よりも夢について考えるようになった。
進級までのこの時期は短い。行く月、逃げる月、去る月と言うが本当にそうだと思う。
相変わらず俺の心はプリンのように甘く、軟らかかった。
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