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有名人になりたい。将来のこととして、それだけは考えていた。俺という人間が多くの人間に知られてほしいと思っていた。
しかし、一体何になりたいのかは分からない。テレビで見てカッコいいと思ったそれだけで入った卓球部だが、それに特別な才能がないことはとっくにわかってしまって、興味が薄くなってしまった。部活に留まっているのは、まだ興味があるからだ。強くは無いが。
また、勉強が優れているわけでもない。好きな教科は数学だが、それだけで生きていける気はしない。数学者にはなれないだろう。そういうわけで僕にははっきりとした将来の夢が無い。
そんな俺の趣味は読書。中学校の時は図書室によく居た。だから文章、物語を書くのは好きで、思い付いた時はよく書いていた。でも小説で大成する気はしない。李徴のように虎になるつもりも無い、なんて考えている。
今の時代、ネットを使えば誰だって作家になれる。でもそれすら勇気が出ない。反応が来ないと、いや誰も最初はそんなものなのだろうが、俺は耐えられない。
俺は弱い。そう思う度に弱さは増していく。前向きになれず、また自己嫌悪の沼、もしくは穴に落ちて暗くなる。答えの無い「どうしよう」をどうしようかと悩む。
いや、毎日は楽しい。ここまでを見ると真っ暗だがそうじゃない。ちゃんと俺は明るく生きれている。ただそれと同時に闇も抱えているだけなのだ。それがたまたまここで漏れただけで、いつもこんな調子じゃない。今が、誰だって持っている陰の時間だったというだけだ。強がりでもなんでもない。俺は明るい。
今日は勉強する気が起きない。明日の部活の準備を終えて、あったかい布団に潜り込んだ。
クリスマスイブなのに俺は何を考えているのだろう。冬休みも始まるのに。
そして気が付けば朝になっていた。もう、枕元にプレゼントなどは無い。
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