別れのベルが鳴り響く朝

君はやっぱり意地悪だよね

電車の時間を一本ずらして伝えるなんて

泣いてるとこみられたくないって

強がったのに結局泣いたりするとこも


ねえひとりで抱え込まないで

私がいるのに頼ってもらえないとね

私は君の力にはなれないって

言われてるみたいで少しだけ寂しいの


だけどよかった、見送れて

駅の中に響き渡るメロディ

何度となく、何度となく

私たちはこれを聴いて育ってきたね

いつも別れを意味する旋律だけど

今日はまた少し特別な別れになりそうね


次はいつ帰る?

わからないよ

どこに行ったら会える?

わからないよ


きっと君にも答えられないこと

わかっててこんな質問しちゃってさ

ごめんねきっと私も意地悪なんだ


「ここで待っててもいいかなあ」

そんな卑怯な質問に答える術なんて

君が持たないのわかってるくせにね


ボロボロと溢れる涙が朝陽を通して

煌めいて朝靄の中にキラキラ光るの


ああ、せめてシャワーのように

君を祝福する光になりたかったな


どんなに遠くに行ったって

絶対忘れてなんかやらないと

私は精一杯意地悪に笑うの

このまま時が止まればいいなんて

そんな浅はかな気持ちを胸にしまって

電車が君を乗せてゆっくりと走り出す


少しずつ確実に離れていく

私と君との間にあるものは

これまでの全ての愛と

全ての信頼だけなんだ


ねえ待っててもいいかなんてさ

やっぱり弱虫で意地悪過ぎたよね


「そこで待っていてよ」


私は必ずこの足で自分の道を歩んでいく

立ち止まったりしないで追いついてみせる 

そのとき堂々と君の横に立てるよう


離れても いつかの未来でまた会える

その時こそ涙を祝福のシャワーにして

親愛なる友よ 愛する人よ

また会おう また会おう

行き先は ふたりが共に笑える未来だけ

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