第98話 討伐本番!

 みんなのHPも回復して気持ちも落ち着いたんで、そろそろリベンジに行きますよ!

 当然、僕だけでいくんやけど洞窟の前までは同伴です。飛んでいきます!


 しかし、骨の数はすごいな!

 これをすべて倒せと言われてもどれだけかかるか。普通は死神に到達するのは無理やな。

 今更ながら、隠密のおかげやね。


「みんなはここで待ってて!

 ちょっと行ってくるから。」


「ユメ!無理すんなや!

 絶対戻ってくるんやで!」


「お頭!戻って来てください!」

「お頭!絶対なんだよ!」

「お頭〜♡」

「お頭〜☆待ってる。」


「うん、無理はしないから。行ってきます!」


 怖いけど、頑張らないと。

 絶対、死神を倒す!


 忍者走りで骨骨族を避けてひたすら進む。

 昨日よりめちゃくちゃ混雑してる。

 警戒してるかもしれん。

 けど、こっちはお構いなしやで!


 いた!死神タナトス!

 僕には呪文は効かへんでぇ!

 向こうには隠密で気づかれてないし、スピードやったら負けへんでぇ!


 ほな、行くでーー!!


 覇斬! ガキーン!


 え?


 覇斬! ガキーン!

 覇斬! ガキーン!

 覇斬! ガキーン!


 えーー!あかん!全然攻撃入らへんやん!


 死神はめちゃくちゃに呪文唱えてるな!

 こっちは効かへんのや!消耗しろ!


 でも、どうしよ?策があらへん!


 覇気!


 やっぱり周りのスケルトンナイトにしか効かへんし!


 大鎌振り回してきた!これ危ないなぁ!


 覇斬! ガキーン! 

 うわ!大鎌危ない!間一髪や!


 覇分身!

 覇斬!覇斬! ガキーン!ガキーン!


 あかん!全然入らへん!

 考えろ!全集中や!


 足払い!痛ーー!あかん、HP減った。

 こかせる事も出来んのかい?!

 なんやねん!この硬さは!


 BPの差は埋められんか?

 圧倒的な差があるもんな!約3倍か?


 あかん!これは一時撤退や!


 元来た道を戻る。

 今度は追ってきてないな。

 ひたすら忍者走り。

 情けない。

 泣けて来た。

 これは無理。

 覇斬が入らんのやから、あと何ができるっちゅうねん!


 洞窟の入り口や!


「戻って来ました。」


「どやった?」


「まったくダメでした……。」


「そっか。」


「覇斬が入らないんです。涙。」


「ほなもう、お手上げやな……。」


「はい……マリアさんに合わせる顔がない。涙。」


「せやな。一旦戻ろか。」


 カグヤ様号で王都まで戻って行く。

 めっちゃ落ち込む。

 どうしようもない。

 まったく策がない。

 エマも落ち込んでるなぁ。

 もう、調子に乗って、これか。

 情けない。


 王都の門をくぐって王城に行く。

 足が重い……。


 何回もすいません。

 また、マリアさんの部屋に来てしまった。

 案の定、聞きつけたニコラス王子も来てる。

 マリアさんは、体調は落ち着いてるけどやっぱり寝たまま。ほんまに申し訳ない。


「マリアさん!すいません!

 死神タナトスの討伐に失敗しました。

 討伐できる策も見出すことができませんでした。

 情けないです。

 本当にすいません。」


 ほんまに情けない。泣けて来た。


「そうですか……ユメさん。

 泣かないでください。

 あなたは何も悪くないじゃないですか。

 むしろ、危険を承知で討伐に行ってくれたんですから無事でよかったです。」


 うー、涙が止まらない。くそー!


「ユメ殿、やはり、BPの差が埋まらないということかい?」


「はい、死神は硬かったです。

 まったく攻撃が入りませんでした。」


「そうか……。」


「マリア!ごめんなさい。

 お頭がダメなら、私にはどうする事も。」


「エマ、大丈夫。

 これが私の運命なのね……。

 

 17年しか生きてないけど、楽しい事もあったから……。


 でも……もっと生きたかったな……。」


 寝たままのマリアの目から涙が溢れた。


 辛い。辛すぎる。

 17年しか生きてないのに。早すぎる。

 なぜ、死神は呪いをかけたんや!

 もっとおっさんにかけろや!


 ほんまに涙が止まらん。鼻水出すぎやろ!



 あかん。もう一回やり直しや。

 レベルを上げるしかない。


「ニコラス王子!

 マリアさんの呪いって、あとどれくらい時間は残ってますか?」


「……。」


 困った顔のニコラス王子の代わりにマリアが答えた。


「ユメさん……。

 もうあまり残ってないと思います。

 自分のことなのでわかりますから……。」


 くそ!なんとかならないのかよ!?




「マリアさん!ニコラス王子!

 本当にすいませんでした。

 もうこれで失礼します。」


 くそー、役立たずだった。

 もっと頑張ってレベル上げとくんだった。

 今更やけど……最悪や。


 マリアさんの部屋。

 もう来ることはないやろな。

 イガタウンに帰ろう。

 もうできることはない……。



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