アポカリプス
第10話
<
「私関連かしら」
「今の話を聞いてからだと君を爆撃で掃討するというより」
「オウムアムアそのものを破壊、かな」
見えもしないのに空を見上げていたが、いずれにせよ、僕らもどこかへ退避しなくては。
「流石に連続して時間を進める訳にもいかないな。でも、シェルターに逃げ込めたとして、今度は出てこれない可能性が高いし。はあぁ!」
「意外と智和ってアツいよね」
「えっ?」
「そういう味方がいると、私は冷静でいられるから助かるよ」
「………どういたしまして」
もうそろそろ僕としても名誉挽回したいな。
「そうね、ひとまず使われていないはずの『深部シェルター』に行きましょう」
人口問題や天変地異に備えて、人類は進んで地下生活を発展させてきた。それは
今もなお建設は続けられており、より地下に行くほど、政府高官などの選ばれし人間が生活を許される。
またこれは戦時においてもそうらしい。
シェルターが利用されてから、幸いなことにまだ大戦は勃発していないので、真偽のほどは定かではないが、『近衛寮内閣府』には最下層の<
そして掘れば掘るほど、行宮は次なる下層へと作り代えられるとのこと。
そんな土の下の話はよく分からないが、市民に対しては、何らかの避難であれば、すなわち
「さぁ、18番ゲートに行きましょう」
「よく覚えてるね」
「演習の際には、准特等生が指揮するもの、当り前よ」
オウムアムアの落下。
大規模な天体衝突は、局地的な衝突加熱を引き起こしたり、衝撃波を発生させることで知られている。その影響に関しては高科学文明である現代では、天気予報程度の計算で割り出すことが可能だ。
その上で、地球の場合、何が問題となるかと言えば、落下地点が海なら津波、そうでなく比較的浅い水域や陸である場合には、衝突によって舞い上がった粉塵が太陽光を遮断することによって気温の低下を引き起こし、生物の生存安全状態が著しく妨げられる現象である。
たった一回の衝突が竹馬の友を引き裂くように、先史時代で顕著な例は恐竜だ。地上の支配者として君臨した彼らと同じ運命に、今僕らは立たされてるのだ。
おそらく、具体的にどれほどのエネルギーを用いれば、オウムアムアの軌道を強制的に変更することが可能であるかは、それこそ2017年の時点でも分かったはずだ。
でも、現代において、それが可能であるか、すなわち当時からみて『近未来』であり『ユートピア』な今でも、オウムアムアを押し返すことがきっとできないのだ。
だからこそ、彼女が狙われる。
「絶対………」
「迷ってはないけど、信用できない?」
「い、いや」
カツカツと金属の床を進みつつ、僕らは宇宙からほんの数ミリでも離れようとしている。何とも滑稽だ。それでも、絶対に僕は彼女を―――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます