第十八話 屋良有作氏 ~「まるこぉ~、今から大間に行ってマグロ釣って来るぞ!」~
ある日の夕食後の話。
父は、ある報道番組を居間で見ていた。
母と食器を洗い終え、合流する。
なんか、どっかの国と何処かの国が緊迫状態にあるらしい。
と、母が言った。
「ナレーションがいいわね。誰なのかしら?」
そこで無視することもできたが、私はポツリ言ってみた。
「屋良有作さん。ちびまる子ちゃんのお父さんの声だよ」
「え?」
父と母が一気にテレビから私に視線を合わせた。
「マジか?」
父が問う。
「そうだよ。ちょっと待ってて……ネットで調べると載っているから……」
私はスマフォを動かしてWikipediaで屋良氏を検索し、両親に渡した。
慣れないスマフォ操作だったが、最後には「本当だ……」
これと同じことがスポーツジムでもあり、トレーナー陣が驚いたのを覚えている。
まあ、確かにガッチガチに硬い報道系とゆるっゆるの父ひろしの温度はかなりある。
ただ、そんなに声自体を変えている雰囲気はない。
あと、私の場合には同じ報道系でも夕方のニュース番組で、やれ和牛を使ったコロッケだのと言った『夕方の庶民のグルメ系』なども記憶している。
さて、そんな脳みその私が、ある日、映画を観た(コロナ前)。
有名芸能人が多く出ていたが、個人的にはナレーション好きのツボを付いた吹替キャストだった。
その前日、私は屋良氏のナレーションでどこかの下町商店街のメンチカツがどうしたこうしたというナレーションを聞いた。
全く関係ないのに屋良氏の声が劇場内に聞こえるたびに『今夜、メンチカツ買って帰るかなぁ』などと思ってしまう。
エンドロールが流れ、会場が明るくなった時、私の脳と舌にはメンチカツで埋め尽くされていた。
他にもシルベスター・スタローンなどの吹き替えや年末テレビ東京でやる「マグロ特番」のナレーションもされている。
多分、だけど、前に書いた内海賢二氏の後任と思われる。
でも、やっぱり、多くの人の屋良氏の声のイメージって「父・ひろし」なんだよなぁ。
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