第十六話 林原めぐみ氏 ~「声優は消えないわ。私が守るもの」~
私は林原めぐみ氏のレギュラーデビュー作『魔神英雄伝ワタル』を見ていた。
そこで、林原氏は『ヒミコ』という、最近の林原氏しか知らないアニメファンが見たら驚くぐらいハイテンションなキャラを演じていた。
以前紹介した『クラマ』役をした山寺氏も確かデビューしたてだったと思う。
私が小学生低学年の頃の話だ。
私は、四十代になった。
最近、瞼に人生初の染みが出来た。
小学校低学年の頃は考えもしなかった『老い』と言うものが近くなってきた。
会社では、年長者で初期入社の中では唯一の女性社員になった。
その間に、多くの俳優(声優)が『向こう』の世界に行ったり、引退された。
『林原めぐみと言ったら綾波レイでしょう?』という人もいるだろうし、代表作であり、
でも、私が中学生(だったような)時代に『絶対無敵ライジンオー』というアニメに出てきた(面白いですよ)合体担当の『泉ゆう』の超根暗バージョンに見えた。(個人の見解です)
考えてみると、林原氏は実に不思議な俳優(声優)だ。
今や、顔出しが当たり前の声優(俳優)が多いのにテレビやネットではほとんどでない。
では、昔気質のベテランか? と考えると、それも違う。
実際、声優が『俳優の裏街道』と蔑まされた頃からラジオパーソナリティーをやり、アニメの主題歌や個人名義のCDを出し、エッセーなども出している。
そんな彼女のナレーションを聞くことが多くなった。
まあ、アニメ以外で「キテ〇ちゃん」の声としてスーパーのゲームコーナーにあるポップコーンの声などは聞いている。
むろん、明るいものもあるだろうが、私が聞いた『ザ・ノンフェクション』のナレーションは意外なものだった。
内容如何によって声の明るさを変える、というのはよくあるが印象まで変えるのはそうはないと思う。
主役に過度に寄り添うわけでもなく、視聴者に媚びるでもなく、聞きやすい声で淡々と語る。
では、エヴァの綾波レイに似ているかと言われるとそれも違う。
テンションは低いが感情がないわけではない。
むしろ、豊かだと思う。
今、『声優』の定義が非常にあいまいだ。
『俳優』との境目が、それこそ、『旧エヴァンゲリオン』の人類補完計画よろしく無くなっている。
このことが、「単なる『アイドルになるための踏み台』」として声優を志願するものを生む。
そして、それが変なイントネーションや奇抜な声が『個性』と勘違いし、とんでもないことを起こす。(その『とんでもない事』に関して後日)
もちろん、マイナスなことばかりではない。
世間の認知度、理解度などは過去には考えられないほど進んでいる。
『オタク』という言葉も大分印象が違っている。
ただ、それに対しての『対価』つまり資金が常に枯渇状態なのは今も昔も変わらない。
林原氏は、そう考えると最後の声優らしい声優なのかも知れない。
声優というマイナーな職業に就き、今では伝説と化した先輩たちに鍛えられ、名作のキャラをやり、一大ブームを起こし、今や林原氏自体が伝説である。
そして、声優という殻を破った。
ただ、その是非は改めて書きたい。
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