第十五話 細野晴臣氏 ~絶望はない、希望もない。ただ、やれることをできるまでやるだけ~
NHKがとかく、「税金の無駄使い」などと揶揄されがち。
なるほど、日本を卑下しまくり、最近の大河ドラマも面白くない……
我が母曰く「NHKは当りもないが外れもない」
いい得て妙である。
その中で『結構税金使っているんだろうなぁ』と思う番組がある。
『大科学実験』
――私たちが学ぶ科学や自然の法則は本当に正しいのだろうか?
――じゃあ、やってみればいい
という、身も蓋もないことを多くの人の手を借りて実験する番組である。
民放だと「○○の法則は×によるもの」なんて押し付けが多いが、この番組は、文字通り「成功するまでやり続ける」
ジャンルは多岐にわたる。
慣性の法則から磁力など多種多彩。
そして、実験が大規模。
NHK中の活用できる人材を集め、時には競輪選手などの専門家を集め、やれ人力(自転車の発電のみで)でメリーゴーランドは動くか? とか 氷のレンズで火をつける(時期は真夏)など文字通り税金が湯水のごとく使われる。
でも、私に後悔はない。
だって、出来た時の快感が、たまらなく楽しいのだ。
細野晴臣氏は声優系の声ではない。
役者的な声でもない。
私の中で細野氏の声は『大科学実験専用』なのだ。
彼の声に絶望はない。
ただし、『成功』以外のことを求めるような過度の期待もない。
ただただ、その実験が成功するまで傍に居続ける。
放送時間が短い(十分)なので余計な情報はない。
何度もリテイクを繰り返しただろう。
何度も大事故になりそうになっただろう。
それでも、その法則や科学の知識が証明されたことは、ちょっとだけ大袈裟に書けば信じていた神(って言っていいのかなぁ)がいることの証のようなものだから嬉しい。
実は似たような番組が民放でもあった。
『トリビアの泉』
これは科学というより視聴者の持つ、特に役に立たない豆知識や疑問を検証する番組だった。(例・野良猫は何グラムの魚まで咥えることができるのか? など。個人的にはペッタン人形シリーズが好きです)
ただ、予算的にはネットの隆盛もあって最終的には終ってしまった。
でも、大科学実験は続けてほしいなぁ。
ナレーションはもちろん、細野氏で。
『トリビアの泉』で某公園にいる野良猫に魚を与え(徐々に重い種類にして)最終的には二キロのアイナメまで咥えて歩いていきました。
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