第十二話 古谷徹氏 ~ニンゲンと言う生き物を見つめて~
最近、古谷徹氏のネットニュースなどを観る機会が増えた。
『名探偵コナン』のキャラクターの声を当てて人気になったらしい。
私がアニメファン現役だった頃。
古谷氏のイメージは前の神谷明氏が俗に『スーパー系』と呼ばれる精神論などで敵に勝つタイプの主人公ではなく、『リアル系』と呼ばれる戦争の悲惨さを物語るタイプの主人公。
最たるものは『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイだろう。(まあ、聖闘士星矢などの熱血系もあるんだけどね)
その古谷氏のナレーションを初めて聞いたのは『サバイバー』(TBS)というアメリカのテレビ番組の日本版だった。
今で言うなら『リアリティーショー』の先駆けみたいな番組で参加者を募り無人島に置き去りにして筋書きのない人間模様を見せる。
そして、週に一回、島から追放させたい参加者を投票で決めて追放させる。
最後まで残った人には多額の賞金がもらえる。
実は、本当に偶然たまたま、参加者だった人に会ったことがある。
「やらせはなかったんですか?」
ストレートに聞いた。
その人は難しそうな顔で言葉を選びながら言った。
「……やらせはないけど、演出はありました」
まあ、そんな後年大惨事を生む『リアリティーショー』のナレーションをしたのが古谷氏。
私はこう思った。
――こんな人間のヘドロのような感情を見せる番組にさわやか青年声が合うか?
観てみた。
そこには「アムロ、いっきまーす!」のような言葉はない。
淡々と静かに、参加者の激情を無視するような声だった。
まるで、無人島というケースに入れられた人間を観察する神の様な威厳すらあった。
観察者。
その言葉がふさわしい。
『サバイバー』は人の負の感情を呼び覚ます。
裏切りや策略が渦巻き、正直、私の精神では耐えられなかった。
私は朝早いため、最近は見ていないが『クローズアップ現代プラス』(NHK)のナレーションもされている。
これは距離が程よい。
古谷氏いわく「少し色気を出している」とか。
コナンの降谷役(結構知っている自分)はダブルスパイ役(たぶん)だが、原作を見る限りさわやか青年のイメージが強い。
期待をいい意味で裏切る人である。
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