第二話 大塚明夫氏 後編 ~血と魂を引き継ぐ者~
今回は、大塚明夫氏(以下、明夫氏)と、その父である故・大塚周夫氏(以下、周夫氏)の話。
周夫氏については、後々語りたいが、明夫氏が芝居を始める前の関係は決して良好な関係ではなかった。
特に明夫氏が幼少時代に周夫氏はゲゲゲの鬼太郎の『ねずみ男』を演じていて虐めにあった。
しかし、演技に興味を持ち始めアニメなどに出演するようになると見方が変わったという。
最初のうちは「あの○○ってアニメに出るんだけど何かアドバイス無い?」程度のものだった。
だが、終戦直後から演劇をしていた父は、そのアニメをちょい役でも出てれば見て、短いながらも的確な助言をした。
偉大な父を知り、明夫氏は周夫氏の前では正座するようになった。
私は基本的に性格や技能は遺伝ではなく周りの環境や人々で変わると思っている。
皮肉な言い方だが、『名馬と名馬の間に駄馬が産まれ、駄馬と駄馬の間に名馬が産まれる』。
科学的に言えば、遺伝はランダムで親の遺伝子の配合で決まる。
私の場合、祖先にロシア人がいたらしく、目が茶色で(今は染めているが)髪の毛は変な紫のような黒だった。
これは母方の遺伝子によるもの。
個人的には黒目、黒毛がよかった……
いくら有名選手や芸能人が結婚して子供が生まれて絶好の環境でもスポーツに興味を示さなかったり美人ではないかもしれない。
まあ、最近は脳の機能障害(発達障害とか言われる)が遺伝によるものだと言われているから完璧に遺伝子が正確に関与していないとは言えない。
本題に戻ろう。
どんな絶好の環境でも本人にやる気や興味が無ければ無意味だ。
だが、明夫氏にとって最高の師匠が父だった。
周夫氏は「俺は教えるのには向いていない」と声優学校(というのもどうだ?)で教鞭をとったことは無い。
ただ、物凄く研究熱心であり演技にはとても厳しかった。(その分、サービス精神旺盛)
メディアの前で自分を語ることはあまりない。
一子相伝という言葉がある。
武道など自分の技や心得を高弟一人にだけ教えること。
それを無意識ながらも周夫氏は明夫氏にしていたのかもしれない。
そして、それを明夫氏も受け取った。
『マルチタレント』とメディアは騒ぐことがある。
大抵は演技もトークもコメント力も中途半端で面白くもない芸能人が多い。
でも、明夫氏は違う。
『俳優』として、味方も悪役も軽い役も重い役もアニメも実写も吹替も超一流。
まさに『
最後にある本で語った父・周夫氏が感動した出来事を書こう。
ある日、周夫氏が息子の明夫氏にこう言った。
「何も(遺産を)残せなくてごめんな」
だが、明夫氏は反論した。
「いや、大切なものをもらっている」
「何を?」
「血です」
やっぱ、技能とかって血が関わっているのかなぁ?
おまけ。
個人的には夢枕獏の『荒野に獣 慟哭す』の薬師丸法山やってほしいな。(アニメで)
あと、妻夫木聡の「サッポロ黒ラベル」の大人エレベーターにも出てほしいなぁ。
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