第15話 料理バトル当日(1)
日曜日なのに俺達は学校に居る。
それだけでは無い。
テレビ局まで来ている。
これは所謂、付き物、と言えるかもしれないが。
でも丁度良かったかもしれない。
なぜかといえばこの勝負は.....絶対に負けられない。
そして.....広く知れ渡る必要性がある。
料理勝負なのだ。
そんじょそこらの話では無いのだ。
つまり.....俺を巡っての話になるので、だ。
「因みにクラスメイトに協力してもらうぜ」
「どういう組み合わせだ?」
「俺らのクラスじゃない中山、橋本、佐藤、富山、高橋.....とまあその5名だ。俺の知り合いだが.....まあ料理練習の話をバラしてないんでこれで良いかなって思う。何も知らないと思う」
「.....まあ妥当な所か.....」
「.....ハンデは起きさせない。.....真昼にも生中継で協力してもらうぜ」
「.....だな。.....まあやってみるか」
そうして家庭科室が映っている中。
そして.....連絡した山中。
それから勝負に完全に乗った黄泉山。
そうして最後に幸菜。
この3人が現れた瞬間に生中継は盛り上がった。
かなり多くのメディアにこの情報をぶち撒けたらしく。
ドコドコ動画とか盛り上がっている。
真昼さんのアカウントすげぇな。
「これで決まるんだよね。春樹」
「.....そうだな。黄泉山。.....これで良いな?決めるのは」
「.....うん。大丈夫。邪魔なんかさせない。私と春樹の関係に」
「.....随分な自信だな。でも.....確かに料理得意だったよな。今もそうなのか」
「まあ.....そうだね。テリーヌとかラタトゥイユぐらいなら作れる」
「らた.....え?.....なんて?」
俺は困惑する。
すると黄泉山は、フランス料理。アッと言わせるよ君を、とウインクした。
そしてコメント欄に死ねクソ男とかブーイングとかファ◯クと書き込まれる。
なんで俺はこんな目に遭っているのだ。
ついていけないしメンタル弱い人ヤバいぞ。
「で?対する相手は何を作るんだ」
そう言いながら達は2人を見る。
山中と幸菜は頷いてからこう話す。
日本料理を作る、と。
よく見ると幸菜は人混みに慣れてないせいか震えている。
大丈夫かな。
「大丈夫か。幸菜」
「負けられないから」
「.....え?」
「.....私は春樹を世界で一番愛しているから」
「.....この場所でそれを言うなよ.....」
ドコドコ動画のコメ欄が(マジDIE)(浮気)(クソ野郎)(マジ◯ァッカー)と書き込まれていく。
埋め尽くされていく。
もう一度言うが俺だけ?
俺だけが悪いの?これ.....。
「でも良く考えたら一人対二人だぞ。良いのか。黄泉山」
「私が日本食に負けると思う。.....絶対に負けない」
「.....そうか。なら.....良いが」
そして.....先程の試食係5人が奥の用意された席に座り。
廊下の方からテレビカメラが侵入して来た。
クルー達も、だ。
俺達は酷く緊張したが。
黄泉山と山中と幸菜はそれどころでは無い程に燃えていた。
その熱で酔いも覚める。
俺は唾を飲む。
真昼さんも緊張しているのか眉を顰めていた。
すると達が両者を見て言う。
「.....んじゃ制限時間は事前に通達していたが1時間な。.....良いか」
「「「うん」」」
「.....じゃあ始めてくれ」
そしてスマホで1時間のタイマーをセット。
それからバトルが始まった。
そうしてから食材を使い始めて作り始め.....た瞬間。
テレビクルーの奥からまた別の人が.....あれ?
「.....うわ。すげぇな。.....確か.....」
「斎賀亮平だよな?.....確か俳優の」
渋い感じの男がいきなり現れる。
サングラスを取る。
50代ぐらいの白毛などをオールバックに決めた髪型の男。
スーツをビシッと着ている。
そして俺達を見据える。
クルー達が愕然としていた。
予想していたのかしてなかったのか。
かなりの驚きである。
「さ、斎賀さん!?どうしてこの場に!?」
「番組の収録が急遽休みになってね。.....君達がこそこそ何かやっているのも気になったのでテレビ局からタクシーでこっそり付いて来たのだよ。.....私の近しい黄泉山が何やら面白い事をする情報を手に入れてね。.....今の状況はそこら辺の番組より面白いではないか」
「.....し、しかし.....いや.....無断で抜け出したら.....」
「構わない。.....私は面白い事しか興味が無いのでね。面白くなければ投げても良いのでは無いかと思う」
「.....しかしそれは.....」
その話は他所に。
真剣な感じで話は進んでいく。
その中でドコドコ動画も大騒ぎ、Twitterも大騒ぎになっていた。
全てのメディアが注目している様だ。
斎賀さんが現れて、だ。
「テレビ局を投げるっちゃ凄いな。あの人」
「.....確かにな。達。.....有名人ってそんな感じなのか」
「よー分からん」
「分らねぇのかよ」
そんなツッコミを入れながら料理は進んでいく。
そして凄まじい速さで前菜を作った。
誰がといえば当然ながら黄泉山。
どうやらコース料理で挑む様だが。
思いつつ見る。
「キノコのテリーヌです」
「.....家庭科室で.....マジかよ」
「.....うわ.....凄いな」
料理が光り輝いているのだが。
俺は驚愕して.....舌舐めずりをする。
どうするんだこれ。
勝ち目無い気がするぞ。
「.....美味いなこれ」
「お前な。達。何食ってんだよ」
「いやそりゃ俺も判定員だしな」
「ハァ!?」
真昼先輩に頭を叩かれる達。
うつつを抜かさずに真面目にやれ、と。
そうして会話していると.....日本食の小鉢が出来た様だ。
コース料理に挑む気かよ。
いやいや無理があるだろ!?
「ほうれん草のおひたしと切り干し大根の和物.....です」
「.....美味しそうだ.....」
「だな」
みんな水を飲んでからほうれん草のおひたしと切り干し大根の和物を食べる。
それから採点する為に考えている様だ。
目の前のドア付近に居る斎賀さんも楽しげに見ている。
俺は.....眉を顰める。
勝ち目あるのか?これ、と思いつつ居るとボソッと呟きが聞こえた。
「だが残念だ。恐らくこれは.....黄泉山は負ける」
と。
え?、と思いながら斎賀さんを見る。
斎賀さんは俺の目線に気が付いた様に苦笑する。
それから.....黄泉山を見る斎賀さん。
俺は?を浮かべながら見つめる。
どういう意味だ、と思いつつ、だ。
「.....君は確かこの噂の種になっている子だね」
「.....はい。.....多賀島って言います」
「.....多賀島君。.....君は気付いたかな」
「.....何がですか」
「.....彼女の料理は.....完璧すぎるから駄目なんだ」
「え?!」
美味しいんだよ。
確かに彼女の手料理はね。
でも.....君にしか向いてないせいで.....荒波を越えられない。
完璧すぎて中身が無いんだ。
今も残念ながらそんな感じだ。
と言う.....斎賀さん。
「それに気付けるかが勝負の鍵だ」
「.....そうなんですね.....」
「.....外側だけを完璧にするのは良くないな。愛情は誰にでも分配するべきだ。.....気付けるか。.....黄泉山」
そしてジッと黄泉山を見据えた斎賀さん。
黄泉山は.....その視線に気付く事なく。
料理を作っていた。
俺は.....その事に少しだけ.....何故かホッとする。
あれ?なんで俺はホッとしているんだ?
幼馴染は後輩になりました。それがまたエッチなもので困っておりますがどうすれば良いんでしょうね アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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