第14話 春樹の作戦=料理で勝負を仕掛ける

最悪な事態になった。

というか.....黄泉山がとんでもない事をしたが為に俺達はマジに最悪な状態になっているのだが。

この事は高校にも伝わっている。


どう収集したら良いのか分からない状態だ。

黄泉山は俺が好きだから、と。

それだけだから、と。

そう言ってくる。

猛烈なスキャンダルだな.....。


「で?お前どうすんの?美少女のスーパーカリスマに告白された訳ですが」


「どうしようも無いだろ.....」


デートはご破産になった。

その日、俺は助けを求める様に達に頼る。

達は、しかしそりゃ本当に最低だな、と怒っている。

いくらカリスマモデルでも、だ、とも。


まあそうなんだが.....正直。

独り占めしたいって意味もあったんだろうと思う。

だけどな.....限度を知ってほしい。


「.....取り敢えずその女殴るわ」


「.....殴るな。それで解決するなら問題が起こらないだろ」


「.....ムカつくわ。マジに」


「.....それはそうなんだけどな」


結局、黄泉山は引退する様だ。

俺の為に、だ。

その事は.....もうネットニュースにもなっているし。


どうでも良いのだが。

問題は俺達の関係性だ。

ニュース記事になっている。

そうだな。

こういうタイトルで、だ。


(カリスマ美少女モデルとお付き合いしている男子高校生と仲間達の関係性!)


というスクープで、だ。

困ったな.....本当に困った。

思いながら頭を抱える。

俺は別に自宅をバラされようがどうでも良いけどよ、と言いながら達は話す。

でも今の関係性と山中の関係性が破綻するならかなり許し難いんだが、と静かな怒りを俺に打つけてくる達。


「.....その黄泉山に会いたいんだが。絶対に許せん」


「.....落ち着けって。.....今会っても怒りを打つけるだけだろ」


「お前は良いのかこれで」


「.....良くないけどさ」


そうしていると電話が掛かってきた。

その人物は.....幸菜だ。

俺は見開きながら、もしもし?、と出る。

幸菜.....あのまま帰っちまったから。


『春樹。.....私は.....要らない存在なの?』


「.....そんな事は無い。.....お前も落ち着け」


『.....春樹は.....あんな女の何処が良いの?.....嫌だよこんなの』


「だから落ち着けって。.....良いか。取り敢えずなんとかするから。今は息を整えろ。それから待っていてくれ」


『.....春樹。お願い。あんなのに惹かれないで。負けないで。山中もきっと思っているから』


俺は頷く。

それから、分かってる、と返事をした。

そして俺は、なあ。幸菜。お前は俺が好きか、と聞く。

すると数秒考えてから、大好き、と幸菜は答えた。

俺は目を閉じてから、そうか、と答えて、それが聞けたら十分だ、と答える。


「.....どうするんだ?お前は」


「.....黄泉山に回答する。.....俺はお前とは付き合えない、と」


「.....でも日本中に知れているぞ。どうすんだ」


「.....勝負を仕掛ける。.....黄泉山に」


「.....何の勝負だ」


「.....勝ったらお前と正式に付き合うという.....勝負だ。負けたら取り下げてもらう。全てを」


何で勝負すんだよお前は。

と苦笑いを浮かべる達。

それは勿論.....あれしかない。

ずっと練習を重ねてきたんだから。

料理の勝負だ。


「.....黄泉山と料理で勝負するんだ。.....判定者は不公平の無い様にランダムに選ぼう。何も知らない学校の連中とか」


「.....そりゃ良いかもな。.....でもやるとするなら何処で?」


「学校しか無いな。.....取り敢えずあの強面の校長に頼むしか無いかもしれんが」


「.....ふむ.....だったら真昼を勝負に加えようか」


「.....え?真昼さん?」


「.....ああ見えて情報通なんだよ。.....SNSとかに実況で全てを流そう。料理写真とかを投稿するんだ。.....どっちが料理が上手か.....投票してもらおう。それは決選投票という事で。そしたらメディアも拾うんじゃねーか?」


それは良いかもしれない。

どうせ個人情報が今となっては脆いしな。

俺は考えながら.....顎に手を添える。

それから.....電話を掛ける。

それは.....先ず幸菜に、である。


『もしもし.....どうしたの』


「幸菜。.....料理は作れるか」


『.....作れるっちゃ作れる様になったけど。.....それが』


「良いか。黄泉山に攻撃を仕掛けようと思う。.....料理で勝ち負けを決めて.....俺を取り合う事にするんだ」


『.....で、でも.....負けたら本当にもう.....春樹は.....』


「.....お前が負ける訳ねぇ。.....ずっと俺の為に頑張ったんだから」


何かボッと音がした。

赤面しているのか、あう、としか声が出ない。

俺は、頼む。やってくれ。俺は.....お前達との関係性を壊したく無いしな、と言う。

するとやる気でも出たのか、うん。じゃあ頑張る、と声がした。

それで良いんだ。


「.....でもさ。黄泉山がやる気になるのか?先ず」


「.....アイツは乗ってくる。確実にな。.....俺を無条件で勝てば誰の邪魔もせずに付き合う様に出来る訳だからな。.....っていうか乗ってくるさ。俺の頼みだし」


「.....やれやれ。自信家だなお前は」


「.....後は中山だな.....そして黄泉山か。.....取り敢えず急ごう。そうとなったら」


そして俺達は。

料理で俺を取り合う勝負をする事になり。

黄泉山も納得して、じゃあ勝ったらもう誰にも文句は言わせない、と言ってくれた。

絶対に負けられない戦いになる。

これで全てが決まる。


「.....頼むぞ」


俺は.....幸菜と山中にそう祈りながら。

決戦の当日になった。

日曜日に高校の家庭科室を借りて、だ。

まさか借りれるとは思ってなかったが.....強面の校長が、まあ黄泉山さんなら宣伝にもなるし、と貸してくれたのだ。

有難い様な.....うーん。

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