第13話 花梨の罠
確かに黄泉山は昔.....一緒に活動した覚えがある。
太っていたから.....イジメられているのが気に食わないから。
だからイジメっ子から守っていた、とはいえる。
しかしながら.....それでも。
俺に恋を抱く様な真似はさせた覚えはない。
ましてやこんなに.....可愛くなる様に仕向けたりした覚えはない。
どうなっているのだ一体。
俺は赤くなりながら.....目の前の雑誌の超スーパーモデルになってしまった黄泉山を見る。
俺達はファミレスに来ていた。
それから.....黄泉山も一緒に、だ。
昔の事を聞きたい、という.....項目で来てもらったのだ。
だけどその.....中山は別の目的がありそうな気がするが.....。
俺は苦笑いしか浮かばない。
今の所、黄泉山は変装している為に周りには気が付かれて無い様だが。
俺はそれを確認しながら.....黄泉山に改めて向く。
それから、お前は何も頼まないのか、と聞く。
すると黄泉山は、私は絶食しないといけないから。スタイル保つのに、と答える。
「.....そうなんだね.....」
「.....山中。怖いって。お前の目が」
「.....何?春樹君。告白されて何か文句でも?」
「.....いや。告白じゃ無いだろ.....違うとおも」
「いや。告白だけど」
割って入って来るスーパーモデル。
俺はその言葉に山中を顔を引き攣らせて見る。
山中はツーンとして、しーらない、としていた.....。
困ったなこれ.....。
特にアイツ(幸菜)に知られたら.....マズイんだが。
更にこの場が修羅場になりそうだ。
「私がどうしたって?」
「.....うぁっわ!!!!!!!!!?」
辺な声が出ただろ!
な。な。な!?
何故、幸菜がこの場所に居るんだ!?
どうなっているんだ!
矢部はどうした!
「その娘は.....何かな?春樹」
「.....矢部はどうした。その前に」
「.....別れた。.....途中で用事が入ったからって」
「.....おま.....まさか.....」
誰かバラしたなコイツに。
俺は.....山中を見る。
山中の手にはスマホが握られていた。
コイツか!!!!?
なんて事をするんだ!
ツーンとしている山中を他所に.....遂に攻撃が始まった。
「.....どうでも良いけど春樹。.....誰。コイツ」
「.....コイツと言われる筋合いはない。.....貴方こそ誰」
「.....私は春樹の幼馴染だけど。.....女狐さん」
「.....女狐.....はぁ.....口が悪い。.....春樹に近付く資格無し」
貴方.....ムカつくね。
と、どんどんと目からハイライトが消えていく幸菜。
お前.....そんな表情も出来るんだな?
俺は顔を引き攣らせつつ山中に耳打ちした。
なんて事するんだ、と。
「だってこの事は戦友にも知らせないと」
「だからって今.....それは無い」
「.....今でも昔でも.....関係無いよ?春樹君。アハハ」
「.....」
何てこった。
殴り合いでも始まるかもしれない。
俺は考えながら.....幸菜を見る。
黄泉山は、春樹。この娘と私とどっちが綺麗と思う?、と聞いてくる。
いきなりだな。
今の言い争いでか。
「決めれる訳無いだろ。あくまでもその娘は俺の幼馴染なんだから」
「でもいくら幼馴染でも君を養う事は出来ないよね。私は貴方を養える様に成長した。.....これから先の全てを計算したから」
「.....無茶苦茶だ.....」
「考えてみて。春樹。私は10億円持っている。.....貴方はこんな暴言の女の子に寄り添うの。それはおかしい」
「あのな。.....俺は10億だろうが100億だろうが。.....俺は付き合う気はない。お前とはな。.....お前の事は好きだけどそんなやり方と言い方は気に食わない」
ふーん、と言った黄泉山。
何をしでかすのやら、と思ったら。
次の瞬間に帽子を脱いだ。
そして周りに目を向け.....た。
次の瞬間。
「うぉ!?黄泉山花梨じゃね!?」
「あのスーパーモデルのか!?」
「.....すっごい!綺麗!」
ファミレス中が大騒ぎになる。
何をしているんだ!?
俺は愕然と黄泉山を見るが.....途中でハッとした。
まさかコイツ.....スキャンダルを作ろうとしてないか?、と。
つまり.....黄泉山と俺が付き合っていると周りに大きく伝わらせれば。
取り返しがつかなくなる。
それを狙っているのではないか、と思ったのだ。
「握手して下さい!」
「わ、私も!」
当然の事ながらマジな大騒ぎになった。
そうしていると俺の手を握る。
黄泉山が、だ。
それから何を考えているのか高らかに宣言した。
私。この人と付き合っています、と。
「.....なぁにぃ!!!!?」
「マジで!?花梨さんに恋人!?大スクープじゃねーか!」
「ヤベェ!」
やはり間違いない。
この大衆を狙っている。
黄泉山は、だ。
お陰で圧力で威圧している。
誰がかと言えば.....2人が、である。
そしてその様子に前を見てから更に言葉を続ける。
「.....私は多賀島さんの為に生きてきた様なものだから」
そこまで話を続けてから。
更にとんでもない事を言った。
何を言ったかと言えば.....全て作戦の様にこう告げたのだ。
私は芸能界を引退します、と。
俺は見開く。
「.....花梨ちゃん!?嘘だろ!」
「え!?マジで!?」
「テレビ呼んで!急いで!これ大スクープですよ!」
大騒ぎ。
しかしこれも全部算段だった様だ。
この様に宣言してしまえば。
つまり.....世の中に刻めば.....そんな簡単に俺を奪い返す事は出来ないだろう。
そういう事か.....!
「黄泉山!止めろって!俺は.....」
「駄目。春樹は私のものだから」
「クソッ!」
いやちょっと待て。
どうしたら良いのだ。
店員まで慌てているし。
サイン求めて来ているし。
もう滅茶苦茶だ。
勝ち目が無い様な。
つけ入る隙が無い様な感じだ。
「.....春樹.....の馬鹿.....バカ.....」
そう呟く様な声がしてから。
人混みに幸菜はそのまま消えて行った。
それを追う様に山中も行く。
途中で振り返って俺に眉を顰めた。
「.....駄目だよこんなの」
と言う。
それからそのまま駆け出して行った。
後に残された俺は.....どうしようも無く。
そのまま抵抗が出来ずに.....居た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます