第5話 幸菜の作戦

潮◯きは無かった。

ついでにお漏◯しも無かったが.....うん。

本当に良かった.....。

危ない感じだった様だ。


しかしながらボヤッとしている状態から戻るにかなり時間が掛かり。

その為に授業に戻るタイミングを見失った。

ああ.....滅茶苦茶にあの校長とか生徒指導部の奴らに怒られそうだ.....。

困ったもんだ、と思いながら俺に寄り添う幸菜を見る。


「ウフフ」


「.....何やってんだよお前。お前のせいで戻るに戻れなくなったぞ。これも計画のうちか?勘弁してくれ」


「さあ。どっちだと思う。.....アハハ」


全くコイツという奴は。

俺は額に手を添えて本当に疲れた様に盛大に溜息を吐いた。

それから幸菜を見る。

幸菜は本当にニコニコしながら俺に寄り添っていた。

嬉しそうに、だ。


「.....そもそもさ。何でそんなにエロくなったんだよお前。.....意味が分からないんだが。何をしているんだ?」


「だって男の子ってエロいの好きじゃない」


「.....そういう極端なもんですか.....お前という.....」


「.....何?何か文句あるの」


「.....無いです。はい」


俺は顔を引き攣らせながらそう回答する。

それから俺は天井を見上げた。

何だか懐かしいなこういうのも。


そうだな何でかと言えば.....。

8年前ぐらいもこうしていたからな。

やんちゃだったよあの頃は。


「幸菜。やんちゃだったよな。あの頃の俺達」


「.....そうだね。確かにやんちゃだった。私もやんちゃだった。こんな髪の毛じゃなかった」


「.....メラニン色素が落ちるのは仕方が無いだろう。お前が引き篭もっていたんだから。でも可愛くなったよなお前」


「まあそうだけど.....って!?かわい.....え?可愛い」


「お前は美少女だからな。.....可愛いに決まっている」


「.....もう。春樹のアホ」


山中の事もある。

そこそこにしておこうと思いつつ俺は天井を見上げる。

しかしそうだな.....音楽室に忍び込んでそして2人で肝試ししたのも懐かしい。


本当に今の様な感じだったから、だ。

懐かしいもんだな。

こうして2人でまた通えるとは思って無かった。


高校の入学式。

対人関係の変化に怖くて歩み出せなかったあの日。

引き篭もってしまったしな。


「.....今は高校は怖くないのか」


「.....期待の方が勝る。私は.....春樹と一緒という期待が」


「.....そうか。それは結構だ。.....でも学年違うけど.....大丈夫なのか」


「.....私は春樹と一緒だから気にしない。.....でも対人は怖いけど」


少しだけカタカタ怯える幸菜。

俺はその姿を見つつ、そうか、と答える。

そして幸菜の頭に手を添える。

ぽんっと、だ。

それから笑みを浮かべる。


「大丈夫か。落ち着け」


「春樹.....」


「.....俺はお前の側に居るから。.....な」


「.....でも春樹は山中と付き合っている」


「.....ぐさっ」


嘘吐き。

私に配慮しないでそんな事を、とジト目。

俺はグサグサ刺さりながら、でもお前が悪いだろ、と説明する。


でも確かにそうだよね、と答える幸菜。

悲しげな顔になる。

俺はその姿に、あのさ、と向く。

それから、山中と話し合った、と答える。


「実はな。.....それなんだが付き合うのを一時停止したんだ」


「.....え。何それ」


「付き合うのを一時停止してお前にチャンスをやる事にしたんだよ。暫く、だ。山中も快く頷いてくれた。.....だからまあ頑張れ」


「.....そうなんだ。.....そんな配慮しなくても良いのに。私は山中から返してもらうだけだった。春樹を」


「そうですか。.....でもチャンスだぞ。お前にとっても」


「.....そうだね。有難う。.....これで心置きなく春樹を襲える」


あのな.....。

俺は汗を流しながら苦笑いを浮かべる。

そうしていると、カンカンカン、と音がしてきた。

まさか、と思って俺は青ざめる。


もう生徒指導部の奴らが!?

そして.....現れた人物!

それは!


「.....矢部?」


「.....え?.....誰だ?」


誰?

そこに立っていたのは。

矢部という黒髪のボブの少女。

俺は?を浮かべながら.....幸菜と矢部という少女を交互に見る。

矢部は俺と幸菜を見てから胸に手を添える。

頭を下げた。


「せ、先生が探している」


「.....ふーん。.....そうなんだ」


「.....だ、だから戻らない?真白さん」


「.....戻らない。.....私は春樹と一緒が良い」


「.....そ、そんな事言わないで.....」


オドオドしながら目を〇〇みたいな感じにする矢部。

俺は矢部に、君はクラスメイト?、と聞く。

すると矢部は、は。はい、と答えた。

それから.....胸にまた手を添える。

そして不安げに俺達の顔を見てくる。


「.....」


「.....矢部。私は帰らない」


「.....か。帰ろう。お願い」


「.....矢部。何で君はそんなに俺達に関わってくるんだ?」


「.....私は.....お、お友達.....だか.....ら」


声が小さくて聞き取れないが。

お友達、と聞こえた気がしたのだが。

俺は???を浮かべながら幸菜を見る。

幸菜は、イヤ、と言いながら俺に縋ってくる。

そしてジト目を矢部に向けた。


「.....帰って」


「.....で、でも」


「.....じゃあお友達の提携は破棄する」


「.....じゃ、じゃあ帰ります.....」


そして矢部は回れ右をして帰って行く。

俺たちを困惑して名残惜しそうに見ながら、だ。

何だったんだろうか.....、と思いつつ幸菜を見る。

幸菜。どういう事だ、と話し掛ける。

すると幸菜は、あの娘は私と友達になりたいんだって、と話す。


「.....でも私は春樹以外の知り合いは要らないから」


「お友達になってやれよ。可哀想だ」


「イヤ。だって信用出来ない」


「.....」


まあ.....うん。

そう言うなら仕方が無いな。

しかし.....そうやって思ってくれる女子も居るんだな。


俺は思いながら矢部の事を思う。

するとバシィ!と思いっきり叩かれた。

痛いな!!!!?


「何すんだお前!」


「.....春樹のアホ。.....私だけ見ていれば良いの。他の女子を見ない」


「.....あのな.....」


思いっきり背中を叩きやがってコイツ。

俺は怒りつつ盛大に溜息を吐いた。

それから.....幸菜を見ると。

幸菜は、あの娘。私と趣味を似せようとラノベとか読み始めた、と俺に向く。

それは.....また。


「.....しかし良かったよ。お前の様なボッチでも優しく構ってくれる奴が居る事に」


「.....!.....別に」


恥ずかしがる幸菜。

俺はその姿に、やれやれ、と思いつつ苦笑いを浮かべた。

そして時間が経つのを待つ。


だがその前に俺達は生徒指導部の教師に見つかり。

こっぴどく叱られてしまった。

全く.....と思う感じだったが。

まあ有意義な時間は過ごせた気がする。

そう思いつつ.....矢部の事を考えながら教室に戻った。

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