第2話
俺は身を燃やす寸前の爆発を眺めながら走馬灯を見た。
それはとても残酷な走馬灯だ。
仲間達の最後の言葉
「私に、絶望しかなかった私の人生に光をくれてありがとう!」
あいつは、断頭台の上で追いかける俺に笑って死んだ
「お前がどんな業を背負おうとお前らの胸の中に俺がいる!! 世界一頑丈な俺がだ!・・・! お前らも俺を忘れないでくれ」
あいつは、俺らを逃すためにモンスターの大群を一人で相手にしながら笑って叫んだ
「お前に全部、託す。俺の大事な物、全部だ。守ってくれ。頼む」
あいつは、仲間を救うため俺と敵地に乗り込み、俺に笑って託した
「私は貴方の、皆んなの笑顔が好き。あの時、私に笑えって言ってくれてありがとう。」
あいつは、人体実験に巻き込まれて救おうとした俺に笑って消えた
「坊っちゃま、いえ、マサ君。私は貴方が好きです」
あいつは、……俺が愛したあいつは、親友に殺される寸前俺に笑って告白した
死に際の弱々しい仲間たち。
俺を置いていった仲間たち。
冷たくなっていくあいつらの目は忘れられない
「先に死んでんじゃねぇよ。馬鹿ども、あの世でもまた馬鹿やろうぜ。」
あいつらと比べれば本当にくだらねぇ最期。
それでも、俺は歓喜した
ようやくこの地獄が終わるのだと
爆発は俺の身を焦がし、俺は消滅した・・・はずだった。
俺は気がつくと、見知らぬ場所で見知らぬ男の前に立っていた。
「ハハハハハハ、本当にお前は愚かだな。助けられた命を復讐のために捨てるか」
白い影が俺を笑ってくる。
俺はそいつを無視して周りを見渡す。
何もない。
真っ白な世界
ここがあの世ってやつなのか?
そんなものが存在するとは。
「・・・・」
「本当に誰かこいつの担当変わってくれないかのう」
さっきとはテンションが違い、何故かため息をついて悩んでいる。
「お前は誰だ」
「偉そうに聞かれるのは21回目、説明するのも21回目。もう面倒臭くなってきたのう」
「訳の分からないことを言っていないで名乗れ」
俺は、白い影に指を差し命令する
「はぁ、このやりとりも21回目。」
俺はその態度に腹が立ってくる
「さっさと名乗れ」
怒りを鎮め、聞く
「我はオーディン。ただの人工知能だ」
人工知能?神ではないのか?
「旧世代の遺物と考えてよい。汝、次のタイムリープで望むものはなんだ」
「・・・俺は何回もタイムリープしてて、次のタイムリープで何か持っていける?ってことか?」
「そうだ」
馬鹿げた話だと自分でも思ったが、的中してしまった
訳がわからない
俺はどうなった?
「俺は死んだのか?」
「そうだ」
この現状を落ち着いていられる人間は何人いるだろうか
それに何故か質問を交わすたび、苦しくなっていく。それが、心の焦りを助長する
「はぁはぁ。くっそ」
「その苦しさは、疑似神である私と言葉を交わした影響だ。格が違いすぎるあまり、苦しいと感じている」
早く言えよ
「・・・・」
「ほう、他のことは聞かなくてよいのだな?」
聞く前に死んじまうわ!!
と叫びたかったが、そんな余力はない
俺は、体力の限界を感じて、地面に座り込む
「無礼な。まぁよい・・・・・・、我が名はオーディン。マサト・ホロ、貴様に使命を託す。貴様自身であの世界を救え!!」
意味わかんねぇ!!
!!?
声が出ねぇ
「ほれ、能力をさっさと選べ」
俺は、文句を言うために立ち上がろうと地面に手をつくと『脳』という項目があった
「うむ、決めたな。じゃあ、送り返すぞ」
ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!
俺の体は白い光に包まれ消えていく
「はぁ、これで何回目じゃ?創造主よ」
「うふふ。21回目ってさっき言ってたじゃない。でも、今回は当たりを引いたみたいでよかった」
創造主と呼ばれる女はどこからか現れ、オーディンを茶化す
「がんばってね。愛しい愛しいご主人様?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます