第7幕 ヒラリー邸

ヒラリー

「えーと、レター、レター、レター。おーおあった、あった。午後7時、バラの花咲くテラスじゃったな。」「うひょひょひょひょ」「おっと誰か来たな」

(レターをポケットに入れる)


オヤッサン

「お邪魔します。ヒラリー様」


ヒラリー

「いらしゃい。さて、どちら様かな」


オヤッサン

「いえ、ちと昨日、奥様と阪急百貨店で知り合いまして、今日の夜会に呼ばれたドミノと申します」「ちょっと前を失礼」(ポケットからレターを取る)


(モレル入場)


モレル

「きゃー、あなた昨日の、どうしてここにいるの。あなた、早く追い出してください」


ヒラリー

「なんだお前の招待客ではないのか」「さあ、帰った帰った。お前の来るところでない」「まったく人騒がせな奴だ」


オヤッサン

「おっと、失礼しました」


モレル

「あなた、今日の夜会でちょっと紹介したい人がいるの。午後7時に鏡の間にいらしてくださいね」


ヒラリー

「午後7時!」「えっと確か7時には約束が・・・」

(ポケットに手を入れ)「あれ、ない、どこへいった?」


モレル

「どうかなさいまして」


ヒラリー

「いや、なんでもない。7時じゃな、7時」

「おっとそうじゃ、誰か来る予定だったと思うのだが・・」


バーバラ

「いえ、その時間にはみなさんお揃いですよ。パレス夫人も」


モレル

「あなた、よろしいですわね」


ヒラリー

「わかった。わかった。わかりましたよ」「それにしても、おかしいな。どこへやってしまったか」


夜会・鏡の間


ロビン

「モレル夫人、お招きありがとうございます」


マリー

「こんにちは、モレル夫人」


モレル

「ようこそ、ロビンとマリー」


バーバラ

「昔はケンとメリー」「今はロビンとマリー」「わからないかな~」


モレル

「バーバラ、そんな古いこと言っても誰もわからないじゃない。第一、コマーシャルもやっていないわ」


「ロビン、マリー、紹介するわ、主人のヒラリーです。」「あなた、ロビンとマリー、さっきあなたにお願いしたのは、マリーの歌を聞いてもらいたかったからよ。つまり、オーディションを」


ヒラリー

「オーディションじゃと。夜会の席じゃぞ、皆さんもたくさんいらっしゃるのに」


モレル

「だからこそ余計にいいのよ。みなさんにも聞いてもらって」


ヒラリー

「いや、わしは反対じゃ、それに ちと用事を思い出した」


ロビン

「そういえばヒラリー卿、先ほど、こんなものを拾いましたが、ここでご披露してもよろしいですか」

(胸のポケットから手紙を取り出す)


ヒラリー

「あ、それをどうして」


モレル

「あなた、どうかなさいまして」


ヒラリー

「いや、何でもない。あ、うーむ。」

「する、する、する。オーディション、する」

「やってくれ」


(ステージ 歌の準備)


ロビン

「マリー落ち着いて。いつもの調子で」「楽団のみなさん、よろしくお願いします」

(マリー オーケストラボックスから上がる)

マリー

 スワニー河 熱唱 スポットライト


全員 拍手


ヒラリー

「見事だ。こんなすばらしい歌を聞いたことはない」


ビリー

「私も同感。ぜひ私のパートナーとしてお願いしたい」


モレル

「決まったわ、良かったわね、マリー。ようこそ、シーサイドへ」


マリー

「ありがとう、ありがとうございます。」「ロビン、ありがとう」


ロビン

「おめでとう。マリーならきっとシーサイドの星になるよ」


パレス夫人

「ヒラリー卿、私、今日はもう失礼するわ」


ヒラリー

「パ、パ、パレス夫人・・。」「トホホホホ」

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