第6幕 阪急百貨店前 

(幕間 パレード にぎやかに通る)

帽子とマスクで顔を覆い隠くすロビン


ロビン

「モレル夫人とこんなに親しくなれるなんて夢のようです」


モレル

「いえ、こちらこそ、あの変な年寄りに言い寄られて困っていたところを助けていただいて、本当に助かりました。バーバラからもお礼を」


バーバラ

「ロビン様がいらっしゃらなかったら、きっと今でも奥様にまとわりついていましたよ、あのじいさん」。

「とっとと消え失せないか。さあこれをやるから早く行け」


オヤッサン

「おありがとうございます。これで当分暮せまさあ」(去る)


モレル

「あー気持ち悪かった。私、ちょっと疲れましたわ」


ロビン

「それなら私の知っている店で少し休んでいきましょう」


バーバラ

「そうしましょ。そうしましょ。早くいきましょう」

(舞台回転)


クラブ・ファランドール


女主人

「いらっしゃい、ロビン。今日はご夫人づれなのね」


ロビン

「マダム、紹介しよう。こちらがあのシーサイドの支配人ヒラリー卿の奥様、モレル夫人、そしてメイドのバーバラさんです」


女主人

「まあ、まあ、それはお見それしました。ようこそ、こんなむさくるしいところへ」「ピーター、ピーター。一番上の部屋へお通しして」

(席につく)


ロビン

「モレル夫人、ひとつ私のお願いを聞いていただきたいのですが、よろしいですか」


モレル

「まあ、ロビンさん。改まって何ですの、どうぞ何なりと」


ロビン

「マリー。ちょっとこちらへ」「モレル夫人、マリーペイジといいます」

「この店で歌っているのですが、先日、シーサイドのオーディションのとき、風邪をひいてせっかく受けたのに失敗したのです。そこでもう一度、彼女にチャンスをいただけるようヒラリー卿にお口添えいただけませんか」


モレル

「まあ、そういうこと。ロビンさんいい人ね。いいですとも。他ならぬロビンさんのお願いですものね、バーバラ」


バーバラ

「ああ、私、失恋しちゃったあ、せっかくロビンさんにモーションかけようと思っていたのに」


モレル

「何を言ってるの。それは私だっていっしょ。だって、ロビンさんは昔のコールマンによく似てらっしゃるもの」

「そうと決まれば善は急げ、マリーさん、明日の夜会にどうぞいらして。そのときに歌ってもらいますわ。私も楽しみにしていますからね」


マリー

「ありがとうございます。夢のようだわ。ロビン、ありがとう」


ロビン

「さ、そうと決まったら風邪を引かないように、大切に、大切に」


バーバラ

「あん、もうやってられない。奥様、早く帰りましょう」


モレル

「ほんとうね。お熱いこと」「ホホホホホ」

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