第4幕 ヒラリー邸、ヒラリーの部屋
ノッポ
「へへ、どんなもんだい、これくらいの鍵ならお茶の子さいさいだ。でも今日限りでこの稼業はおしまいだ。三人で約束したからな」「おっと誰か来る」
「えーと、どこへ隠れようか、このクローゼットの中だ」
ヒラリー
「モレル、わしじゃ、そんな浮気なんかしてないよ。」「信用してよ、お願い」
モレル
「いいえ信用できません。あなたを信用して何度裏切られたことか。今度もきっと。」
「メイドのバーバラがあなたとパレス夫人が親しく話しをしているところを見ているんですよ。これが証拠で何が違うのですか」
ヒラリー
「誤解だ。誤解だ。明日の夜会にどうぞと招待していたんじゃよ」
「バーバラのやつ、余計なことを言って、このおしゃべり」
バーバラ
「あのお言葉を返すようですが、ダンナ様、私、他にもいろいろと・・」
ヒラリー
「わかった。わかった。この間言っていた新しい服を買ってもいいぞ」
バーバラ
「ほんとうですか。わっ、ありがとうございます」
モレル
「まあ、なんてことを。」「私のはどうなりまして!私などこの1年あまりクローゼットの服を取っ換え、引っ換え着て、新しい服など一着も持っていませんよ」「これ、この通り」
(クローゼット開ける。ノッポ、釣り下がった洋服に隠れ、上からそっと顔をのぞかす)
ヒラリー
「わかった。わかった。いいよ、いいよ。一着でも十着でもどうぞ。」
モレル
「わっうれしい」「そうと決まったらバーバラ。さっそく阪急百貨店へ買いに行きましょう」
ヒラリー
「やれやれだわい。それにしても危ないところだった。今のうちにパレス夫人からもらったラブレターをちょっと拝見。
(クローゼットから出たノッポがヒラリーの後ろからのぞく)
手紙
明日の夜会、午後7時、バラの花咲くテラスで待っています
ヒラリー
「うひひひひひ、やった!ついにパレス夫人とデートが出来るぞ!」
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