ちょっと積極的になった気がする藍白

 週末が終わり、現在月曜日。いやー、こんなに学校に行くのが楽しみな気分になっているのはいつぶりだろうか。これなら休日いらないくらいだわ。あ、やっぱそれだとデートできないからダメでした。


 と、あまり調子に乗りすぎるとキモいので、気持ちを切り替えよう。


 頬を叩き、教室に入る。


 藍白あいじろはすでに席に座っており、教室に入った瞬間、俺と目があった。


 すぐに藍白の顔は紅く染まり、控えめに手を振ってきた。


 あまりに可愛いのと恥ずかしいのとで、俺はうつむいてしまう。

 

 これはあれか? 付き合ったらかなり積極的になるのか? そうだとしたら俺の心臓が持たないっ! いやでも、藍白が俺に甘えてきたりしたら……………………はっ、いかんいかん。


 もう一度気持ちを切り替えるために、両頬をばしっと叩く。あと少しで妄想の世界に入ってしまうところだった。


「お、おはよう」


 や、やっぱり駄目だ。藍白の顔を見るだけで心臓が………。


「あ、あの、安尾君」


 席に座り、二人の間になんだか気まずい沈黙が流れるなか、藍白が口を開く。


「ん? ど、どうした?」


「あの、えっと、その………」


普段ももじもじしていることが多い藍白だが、今はそれ以上に緊張しているようだ。


「その、昨日のことって、本当、だよね?」


 なぜいちいち掘り返すっ!? 


 恥ずかしさで死にたくなるだろっ!


「それって、その、告白のこと、か?」


 そしてなぜ俺も分かりきっていることを聞き返してしまうんだっ!?


「そ、そう、だよ」


 あー、でも藍白の顔がさらに紅くなって可愛いっっ!


「あ、ああ、本当だよ」


俺が答えると、下を向いていた藍白が俺の方を見て、それはそれは嬉しそうな笑顔をうかべる。


 ヤバい、もう、駄目かもしれない…………可愛すぎて。


「そ、それなら……………もう一回、言って?」


「え? な、何を?」


「その…………私のことが…………好きって…」


 『私のことが…………』からは声がめちゃめちゃ小さくなっていた。


「えっ? い、今ですか?」


藍白はブンブンと首を縦に振る。


いやいや、そんなことしたらお互いのためにならないって! 周りのクラスメートに聞かれて噂にでもなったりしたら藍白、絶対嫌だろうし。


「あ、あの、今はちょっと…………」


「駄目……………?」


か、悲しそうな顔をしても絶対に屈しないからな! そろそろ藍白の可愛さにも慣れておかないとこれからやっていけないし!


 俺は無言で頷く。


「じゃあ…………いつなら、言ってくれる?」


そ、そうきたか! いやそもそも、あんな恥ずかしいことあんまり言いたくないんだけど。


「えっと、そうだな…………あんまり周りに人がいないときなら」


「…………分かった……………じゃあ、今日の放課後一緒に帰ろう?」


それは『今日の放課後は言ってね❤️』ということですか!?


「あ、ああ」


もうこうなったら言うしかない……………よな。 でも放課後までは時間がある。それまでに覚悟を決めておこう。



 覚悟を決めるのに時間がかかりすぎて、その日の授業は全く頭に入ってこなかった。


 この日から、藍白は俺と一緒に下校するときは、度々告白を求めてくるようになった。


 ある日の放課後、藍白が突然こんなことを聞いてきた。


「安尾君の家って、どこ?」


「え、えっと、学校からそんなに遠くないところにあるけど」


な、なぜそんなことを聞くんだ? ま、まさか藍白、恋人になってから一番最初におうちデート?


「………今週末、安尾君の家に行ってもいい?」


やっぱりキター!!











 

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