二・五話 藍白の嘘
彼女は安尾と別れた後、一人で家に帰り、悶えていた。
誰も住んでいないような
疲れているからではない。あまりの嬉しさに自然と体が倒れたのだ。
そばにあったクマのぬいぐるみを抱き締め、顔をうずめる。
安尾君、優しかったなぁ。面倒なことのはずなのに「明日も頑張ろうな」って言ってくれたり、家まで送ってくれようとしてくれたり…………本当は送って欲しかったけど、こんなお世辞にも綺麗とは言い難いところに住んでることが知られたらなんて思われるか怖くて、断っちゃった……。
明日も放課後一緒にいられるんだ…………これなら、一年中テストがあっててもいいのに。
……………でも、嘘ついちゃったな。
本当は、
だって、今日から金曜日までの五日間、毎日勉強教えて欲しかったんだもん。
だから、無意識にそうできる方法を探してたんだと思う。
二教科なら流石に五日間も必要なかったから、つい自分から、「全部赤点だったから追試までの放課後、勉強を教えて欲しい」なんて言っちゃった。
謝った方が良いのかな? 安尾君の時間を奪っちゃってるんだし…………。でもそれを知ったら怒るかな? ああどうしよう、怒らせちゃったら。
嫌われたり、しないかな…………。
この日、藍白弥子はこの問題について一時間ほど真剣に考えてしまい、いつもよりも寝る時間が遅くなった。
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