第6話 魅力1 読書傾向から伺える、みのりんの可能性

 ここで少し、みのりん小説の論評から外れ、そのベースとなる文学少女・一之瀬みのりの読書傾向について、考察してみます。


 文化祭の後のトロピカる部での回想を聴けばわかるが、幼少期から物語が好きで、空想することも好きであったと述べている。

 確かにこれが何かの政治裁判の前の検察側の取調尋問であれば、そりゃあ、額面通りにとれないことも多々あろうし、何より、他者との間の齟齬も普通に発生するであろうから、はいそうですねと簡単にこちらも、ということにもなるでしょう。ですが、まあ、ここは、いたいけな女子中学生の仲間内相手の回想であって、そこまで裏取りしてどうこうとする程のことでもない。

 ですから、ここは彼女の弁を額面通りとれば問題ないでしょう。

 これより、みのりんの読書傾向は小説や物語が多いということが導き出されます。いつぞやの「名探偵みのりん」などはまさに、その象徴ともいえる回ですな。

 間違いなくあの場面は、みのりんが大人も読むようなミステリー小説も読んでいることの何よりの証明であるといえましょう。

 言うまでもないだろうけど、あのモデルは、名探偵ポアロシリーズ、アガサ・クリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」がモチーフであります。


 ~で、みのりんパパのおっさん(わしやねん)はどうだったかというと、あのくらいの年ごろに、松本清張の「点と線」を読んでいました。1982年、中1のときですが、舞台は1957年でちょうど25年前、生まれてもいない頃のお話。

 でもね、どんな状況であるかは、容易に想像がつきました。

 それもそのはず、鉄道がらみの本を散々読んでいましたからね。たまに乗り物絡みの図鑑もみていたから、飛行機についても幾分はわかっていたし。

 さて、ここはやっぱり、鉄道の話でね。舞台の一つとなる7列車「あさかぜ」ですけど、いわゆる「ブルートレイン」にまだなっていない時期でした。

 この翌年、1958年10月に20系固定編成客車が登場するわけで、その前のお話です。西鉄ライオンズの選手・首脳陣一同は第5戦に平和台球場で勝ちを収め、その新型客車の二等寝台に乗込んで、まあ、食堂車の酒を全部飲んだという豪快な話もあるけど、あれはさすがに話が盛られ過ぎていて報道陣が飲みまくっていたようだけどさ。

 それはともあれ、いよいよ、その新型客車に乗込んだ西鉄ライオンズの野武士集団は、東京は後楽園球場に再度乗込んでいって、その後2連勝。

 かくして、3年連続日本一を勝ち取るわけです。

 忘れもせん。鉄道研究会の例会に行って、先輩に連れ出されて大学近くの喫茶店に行ったのですが、その時なぜか、松本清張の「点と線」を持っていたことを思い出しました。その時既に岡山大学の鉄道研究会にスカウトされていましたからね。

 その先輩とも思い出もかれこれありますが、ここでは控えます。

 

 さてここからは、みのりんの可能性について述べます。

 結論から言えば、Hugっと! じゃないけど、無限大ですな(せやろ)。


 みのりんは確かに、小説を書くという仕事、じゃないけど、まあ、その、そういう世界を選んでそれに邁進していたわけですが、彼女は単に、古今東西の小説や物語ばかりを読んでいたというわけでもないことは、他の回を観れば明らか。

 いつぞやの、校則違反を摘発せんとする風紀委員とのやり取りで、あおぞら中学校の校則、たいていは生徒手帳にこまごまと書いていそうなシロモノを、きちんと読みこなして、自らの仲間たちの「弁護」というべきこともしています。彼女がもし法学を学んで法曹あるいは官僚などの世界に進めば、大いに活躍できる素養はあるね。

 ただし、政治については、いろいろな人物との利害調整とかありますからな、もっと鍛えが入らないといけないだろうが、それはまあ、ちょっと、危惧させられるところはあるにはある。でもまあそれは、これからでも十分間に合うね。

 ま、しかしだな、保育園の子らに桃太郎の読み聞かせして、あの淡々としたみのりん調は、いかんですな(苦笑)。「人を見て法を説く」という視点が、彼女の課題である。これはまた、稿を改めて書こうと思うので・・・。

 押忍!

 夜露死苦!


 他にも、水族館の回ではなんと、「クラゲ」の図鑑と思しきシロモノを持参して、水族館でクラゲを観察するシーンが出て参る。おそらく彼女はそういう世界に行くことはないだろうと思料しますけど、それでも、いろいろなことを幅広く、浅くてもいいから知っておくことは大事ですからね。

 ~そういえば、私も、子どもの頃は漫画はほとんど読んでいなかったが、科学漫画や歴史漫画なら、結構読んでおりましたからね。あと、子ども向けの図鑑、それこそ、今回みのりんが水族館に持参したクラゲの図鑑のようなものも、読んでいた記憶がありますよ。そう考えると、水族館でクラゲを観るみのりんちゃんは、何だ、昔の自分を観ているような気がして、ならんのよね(いやマジ、親馬鹿大炸裂~苦笑)。


 以上より考察するに、みのりんのこれまでの読書傾向であるが、単に小説や物語ばかり、好きなものばかり読んでいるのではなく、かなり幅広く読書にいそしんできて、現にたゆまずいそしんでいることが、伺えます。

 もっともこれは、親馬鹿が過ぎる解釈に過ぎているかもしれんけど、彼女のこれまでの読書は、間違いなく、どんな世界に進もうとも、一之瀬みのりという女性を救うどころか、ますます盛り立てていくことは、間違いありません。


 アニメのキャラクターでしかし、ここまで、読書の効用を発揮できている人物は、そうそういないかもね。

 というか、そこの部分をきちんと描き切っている制作者各位に、プリキュア御意見番より、ひとこと。


 あっぱれだ!

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