第5話 課題1 題名がマブくないぜベイベー!

 さて、幼少期から鉄道、じゃなくて(わしやねんそれ、ごめん~わっはっは~)、クラゲ投手でもなくて(おったやろ)、人魚の物語に興味を持った少女みのりんの処女作というべき作品が、その名もずばりであったことはすでに述べました。


 マーメイド物語


 改めて題を掲げて、じっくり考察してみますね。

 まず、この物語の題自体が、「ベタ」、つまりすなわち、ありきたりなわけよ。

 ちょっと、マブさに欠けておるねぇ(わっはっは)・・・。

 この時点で、文芸部の先輩少女ならずとも、嗚呼、確か子どもの頃読んだな、あれか、って、思うじゃん。

 クラスメイトやまなつ君あたりはまだしも、仮にも文芸部に入って、彼女並かそれ以上に本を読み、曲がりなりにも文章を書いているであろう小娘、もとい先輩さんには、そのくらいすぐ見透かされる格好の餌食? となってしもたやろな。

 あるはずの意外性も、隠れてしまうってわけや。


 まんじゅうつぶしてアンデルセン(セーラームーンミュージカルでのセリフね)

 なんのこっちゃ(わっはっは)。

 それはともあれ、こしあんでも粒あんでもええけど、あんの入ったまんじゅうをつぶせば、あんが出るわな。

 バラの木にバラの花が咲いて、犬が西むきゃ尻尾は東(横浜銀蝿の歌ね)

 当たり前でも「マジ」でっせ、ってことね。


 まあ、矛盾もどきの披露はこのくらいにして、みのりん小説のもととなったであろうあの人魚姫の話ね。

 これ、アンデルセンの作品ですね。悲恋の名作よ。


 で、人魚ってよぉー、実在違うぜベイベー(ツッパリ風に)!

 ・・・・・・

 ~こら! そこのおきゃん人魚! 静まれ! 静まれ(わっはっは)!


 わしに言わせれば、そこから工夫が必要だったように思う。

 むしろ、「パパイア物語」にでもして、ギミックを前面に出した方がよかったか。まあ、そればかりが答えでもないとは思うけどな。

 それゆえにこそ、キュアパパイアになるという話なのかとも思うが、当たらずと言えども遠からずであろう。少なくとも、下種の勘繰りではないはずだぜ。


 でな、その先輩、みのりん小説の題を目にして、どんな風に思ったやろな。


 あ、一之瀬さん、人魚姫か何かを題材にして書いてきたわね・・・。

 小さい頃から物語ばっかり読んできたみたいだけど、さあ、どれだけ書けているのか、お手並拝見っていこうかしら・・・。


 そんな感じで読み始めたであろうことは、容易に想像できますな。

 表題に意外性がなさすぎるとね、まあ、奇をてらったり大向こうを張ったりすればいいってものでもないけどさ、その後の印象が良くも悪くも、平凡になってしまうのよね。


 それこそ、さっきの例じゃないけど、

「横浜銀蝿とセーラームーンは矛盾するか?」

みたいな、意外性のある組合せを提示すれば、

 え、何?

って話にもなろうものです。

 そして、それがネタで話も進められようというものなのですよ。

~ちなみに、この話を聞いたある女子生徒の母上様より、「矛盾しています。どちらかにしなさいと伝えるように!」との伝言をいただいたこともあるよ(苦笑)。


 しかしまあ、「人魚物語」とでもしとけばよさそうなものをだなぁ、「マーメイド物語」なんてねぇ、わざわざ人魚の部分を英語にしてカタカナ表記にしたシロモノを見せられたあかつきには、どうでしょうか?

 ただでさえベタなことに加えて、わざわざ、英語名をあてがっているのよね。

 これでは、人によってはむしろ、「あざとさ、小賢しさ」を感じてしまうでしょうよ。生意気という方向の意味ではなくて、ここでは、なんか小細工をして賢く見せているなというようなイメージで解釈していただくとよろしかろう。


 ともかく、小説の題ってものすごく大事であるということを、私自身が、娘(=隠し子)のみのりんによって、改めて教えられました。

 わしに相談してくれたら、もちいと、マブい題をつけてやったのになぁ(わっはっは)・・・。


 え?

 こんな酔っ払いのヘボ文士親父なんかに聞いたらろくなことないって?

 うるせえ!

 ほっとけ(うわっはっは)!

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