第2話 読書好きな子の典型~「書く」という世界に

 この一之瀬みのりちゃんは、典型的な「読書好き」の子ですな。

 そこは、説明の要もないとは思われるがね。

 男女ともに、一定そういう子はいるものですが、読書好き女子としては、もう、絵に描いたような感じの子です。

 そ、そうか、そもそもアニメだから、絵にかかれている子だったか。

 ま、それはいいとしまして・・・、


 冷静で、一見無表情に見えるけれど、よく見ると実は、表情豊かな少女。


 これが、このプリキュアにおける一之瀬みのり像です。ただ、キュアパパイア、すなわちプリキュアに変身すると、それがそれこそ spark = ハッチャけちゃう、ってことになるのですが、それは、人間、あるアイテムと接触したら普段の、あるいはそれまでの人間性等とは全く別の要素が露見するというものです。


 一人静かに、読書にいそしむ。


 そういう少年少女の代表のような彼女ですけど、かくいう私も、少年時代は、そんな要素を多分に持っておりましたから、よく判ります。


 そして、読書好きな子は、えてして、文章を書くことも得意になって行くものです。彼女もまた、そのうちの一人。そして結局、中学入学と同時に文芸部に入って、さっそく文章を、それも小説を書き始めた次第。

 ~私は、しかし、小説を書きたいと思ったことはほとんどないよ。そんな才能、ないと思っていたからね。書くなら、鉄道紀行とか、評論など。そう思っていた。だからこそ、ノンフィクションを書きたいという思いが強かったのだが、さすがにそれは取材その他のことを考えると、なかなか無理があると思い、結局、小説という手法で自らの思うところを表現していくのが手っ取り早いし、近道であることに気付いたので、こうして小説を書いておる次第なのね。


 で、みのりんは小説を書いた。

 同級生の子たちは皆、おしなべていい方に評価してくれた。

 後の話になるが、夏海まなつ(現在中1)もまた、それを読んで評価した。

 みのりん先輩の物語、トロピカってるー、なのだそうな(苦笑)。


 だが、文芸部の先輩になるとある女子生徒が、彼女の小説を酷評した。

 その論点は、みのりんの回想によれば、このとおり。


1.描写がありきたり

2.どこかで見たような話である

3.自己の経験が全く反映されていない

4.上記1.ないし3.より、頭でっかちの文章であると総括する。


 その「先輩」とやらの指摘、確かに、筆者みのりんとしても、後日、正しいと思えたそうな。

 ただしその後、彼女は物語を一文字も書けなくなったという。

 本は相変わらず読んでいるのだが、書くことが、できない。


 そんな状態で、彼女は進級した。そしてプリキュアというわけですが、まあ、そこは本稿の論点ではないので、省きます。


 さて、かくも酷評された「みのりん小説(以下、この表現を原則用います)」でありますが、本当に、駄目な文章なのだろうか?

 もちろん放送上ではいわゆる「みのりん小説」の一節さえ紹介されていない状態ではありますが、それでも、状況証拠としてプリキュア各回を観ていけば、そうかどうかは、十分に解釈しうると考えられますので、次回より早速、その手法にてみのりん小説を分析し、その魅力と課題を探っていこうという次第であります。


 注:今後の放映内容をさらに反映することで、現段階との齟齬やつじつまの合わなくなる点も出てくる可能性もありますが、そこは原則として書換を行わず、新たな章にて論じて参ります。

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