第6話
何にも楽しみの感じられない毎日を過ごしているんですもの、素敵な作品なんて書けるわけがないのです。
それより「自分」として生きていることで精一杯でした。
東北の大震災があったり、良いことなど何もないのが人生なのかな、などと思っていたところ、新しい部署の先輩が私に言いました。
接客が主な職種でしたが、異動先は後方勤務で事務仕事が主軸でした。
「水無月さんは、生きていく上で何か目標とかあるの?」
目標――?
今の目標は、毎日普通に生きて食べて寝ることです。
それほどボロボロだったし、考えることもままならない状態だったんですが、その質問がきっかけで私は改めて考えることになりました。
作詞も出来ない、好きだった文章も書けない、私は一体何を目標に生きているんだろう。
読書も、読んでいても頭に内容が入ってこないため、本当に何にも出来なくなっていたので自分に対して何の価値も見いだせない日々。
考えることすら出来なくなって、その先輩に逆に質問をしてみました。
「先輩の目標は何ですか?」
「私は、新しい世界に飛び出したいから、どうにか道を切り開いてるところ」
その言い方は輪郭がはっきりしなさすぎて全く分からなかったけれど、要するに仕事を辞めて違うことをしたかったのだなと受け取ることにしました。
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