第5話

同時進行で手話教室にも通ったり、好きな作品の二次創作も書き始めました。

やる気に溢れているときはいくらでも何でも出来る気持ちになり、実際出来てしまっていました。

作詞講座のおかげで、思いついたネタを瞬時にまとめ上げ、ものすごく短い時間で書き上げる力も養うことができました。

プラスの波に乗っているときは、何が起きても乗り切れてしまうのです。

二次創作の方は、記念に一冊だけ本にしました。

手元に届いたときは本当に嬉しかった。

中身的には誤字が多かったりして反省点も多く色々と不出来でしたが、感動を味わいました。


けれど仕事で疲れていようがお構いなしに締め切りはやって来ます。

酷いときは三つ以上のコンペに時間差の締め切り。

一時期は寝る暇も無いほど忙しかったです。

何百という作品の中から選ばれるのはたった一つしかない。

それはまるで、人間が産まれるときに似ているんじゃないかと思いました。

選ばれた一つの作品以外は消えていくしかなく、対価も支払われません。

そのうちにメンタルを壊してしまい、残念ながらその戦いを続けることが難しくなった私は、知り合いの作曲家さんの依頼でちまちまと仮詞を書くことだけは続けていました。

仮歌さんと呼ばれる歌手の方がレコーディングしたものをサンプルとしていただきたものを聴くと、仮詞でも作品になった気がして嬉しかった。

何曲もありますが、著作権の関係で表に出せないので自分だけが楽しんで聴いていました。

そんなことを続けてはいましたが、メンタルがボロボロなのは回復しておらず、仮詞ですら思うようなものが書けなくなってきました。

あんなにバンバン嘘みたいな勢いで書けていた二次創作もまったく出来なくなってしまいました。

何にも書けない、何にも思いつかない。

以前なら目の前にサーッと広がってきた物語の映像が、何一つ見えなくなりました。

その頃好きだった東方神起もゴタゴタしており、救いがどこにもなくなった私は、仕事の異動願いを出しました。


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