第23話 知らぬ間にパーティーを作る猫1
四人と私は程なく街を出て草原と街の間にある刈り込まれて広場のようになった場所に到着した。
街中で私の姿が見えると分かり、途中でミーナが串焼きを買いたがったので何本か購入して、とにかく少し話をしようと急いで中央通りを無言で進み、昨日の狩りでミーナが拠点にしていた広場までやって来たのだ。
「私の名前はビスタよ。皆の事は知っているので改めて名乗る必要はないわ」
そうは言ったが一応挨拶めいた事は行って私は本題に入った。
「注意して貰いたいのは、今まで私の姿が見えたのはミーナだけだったのよ、あなた達と初めて出会ったのはあの3人に絡まれていたのをミーナが助けた時だったんだけど、目の前に現れた私に何の反応もしていなかったよね?」
あの時、私はかなり無警戒に悪人ども3人と子供達の間に割り込んでいたのだ。【ウィンドシールド】を張る目的があったので、ある程度は仕方のない行為であった。
「あの時は見えていなかったと思います。ビスタさんの存在に気がついたのは、自警団の建物を出る直前……ミーナさんが私達の狩りの参加を了承して頂いてからのような……」
思い出すようにそう答えたセナの言葉に、私はある事に気がつき再度、3人を【鑑定】し直した。
《名称》セナ
《年齢》10歳
《種族》ヒューマン
《レベル》1/30 NEXT 魔石(小)0/10
《職業》魔法使い
《特技》【ウォーターアロー】【短杖術】【盾術】【心話】
《特記事項》フォフナー騎士爵の長女 ゲストユーザー パーティー中(魔石経験値共有)
《名称》ヤン
《年齢》10歳
《種族》ヒューマン
《レベル》1/30 NEXT 魔石(小)0/10
《職業》狩人
《特技》【索敵】【弓術】【短剣術】【心話】
《特記事項》フォフナー家従者 ゲストユーザー パーティー中(魔石経験値共有)
《名称》マナ
《年齢》5歳
《種族》ヒューマン
《レベル》1/30 NEXT 魔石(小)0/10
《職業》巫女
《特技》【癒し】【浄化】【心話】
《特記事項》フォフナー騎士爵の次女 ゲストユーザー パーティー中(魔石経験値共有)
思った通りだった。【鑑定】で今まで表示しなかった様々な情報が一気に追加されている。ミーナとは違うところが多々あるが、ゲストユーザーだからだろうか?
セナからの「私達もその狩りに参加できないでしょうか?」という依頼に対して、「うん、いいよ」の一連の会話のやり取りとミーナの一緒に狩りをする者という意識がパーティーとして私の管理下に3人を参加させる結果になったのかもしれない。
4人は今、私が木の皿に盛り付けた串焼きを嬉しそうに食べている。すべて【合成】スキルで作ったものだ。
昨日ミーナが食べていた串焼きをさっき追加で1本購入して貰い【収納】して置いたのでレシピとして登録され簡単に【合成】出来たのだ。
製作可能なレベルの物は【収納】する事で学習され登録される。基本的な物は登録されているが、学習の機能が生きていたのはありがたかった。
調味料や肉は【合成】時に選択出来るので、全く同じものではないのだが近い物が作られる親切設計だった。肉の候補に大量に残っていたフォレストウルフも表示されていたが、今回はパスし森で狩ったホーンラビットの肉にしたのだ。
短く刈り込まれた、広場に狼の皮の敷物を広げて皿に盛られた串焼きを見て驚いていたが、ミーナが当然のように座って食べ始めると食欲に負けたのだろうマナがミーナに並んで食べ始め、セナとヤンもそれに倣った。
「精霊って不思議な力があるんですね……他の人に見えないのも不思議ですが良いことなのかも知れませんね。こんな力があると知れば狙われるかもしれません……」
セナはやはりこの中でも大人びていて、危険性に気が付いたようだった。
「私の事は当面は秘密でお願い」
セナとヤンは頷いたが「誰にも言わないよ!」という幼いマナが一番心配だった。
何故こんなところで朝からピクニックのような事を突然始めたかというと、考える時間が欲しかったからだ。
《特記事項》ゲストユーザー パーティー中(魔石経験値共有)
この子達のスキルに【魔石吸収】が無く(魔石経験値共有)という表示がある。都合良く解釈するならミーナが魔石を吸収すれば経験値が3人にも与えられるのだろうが……ミーナを【鑑定】すると――
《名称》ミーナ
《年齢》7歳
《種族》ハーフキャットピープル
《レベル》3/30 NEXT 魔石(小)0/30
《職業》剣士
《特技》【ウィンドブレード】3/3【ウィンドシールド】3/3【剣術】【魔石吸収】【心話】
《特記事項》契約ユーザー パーティー中(魔石経験値共有)
やはり特記事項にパーティー中(魔石経験値共有)が追加されている。レベルのNEXTに変化がないということは、パーティーを組むことで経験値の減少やペナルティ的な魔石必要数の増加等はないのかもしれない。
とにかく色々試して見ないと分からない事が多すぎるのだった。
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