第15話 自警団1
人の手が入らない草原は、狩る力さえあればフォレストラビットが狩り放題だった。
ミーナのレベルを少しでも上げたかった私はどんどん獲物を追い込み街に帰る迄にミーナは10匹のウサギを倒す事に成功していた。
《レベル》3/30 NEXT 魔石(小)00/30
《特技》【ウィンドブレード】3/3【ウィンドシールド】3/3【剣術】【魔石吸収】
その内9匹の【分解】を行って回収した魔石の【魔石吸収】を行った結果、無事にミーナのレベルは3に上がった。
各種能力ステータスのような数値がないので正確な所は分からないが、ミーナは恐らく強くなっている筈だ。
街に戻ったミーナはというと、木の棒に倒したウサギを吊るして肩に掛けながら楽しそうに中央通りを歩いている。
私が以前に倒したホーンラビットに比べかなりの大物で、ミーナの体重の半分位はありそうなフォレストラビットをそうして吊るして歩くと、今までミーナに関心を持たなかった人々が驚いて注目してきた。
「嬢ちゃん、それまさかお前さんが倒したのかい?」
通りを歩いていると、解体済みの肉を扱っている商売人の男が突然、声を掛けてきた。
「うん」
意気揚々と歩いていたミーナだったが、知らない人から声を掛けられるとは思っていなかったようで、少し緊張した表情で言葉少なくそう答えた。
「罠でも使ったんだろうが、それでもその年で大したもんだ」
男はミーナが自力で倒したとは思っていないようだった。
『ミーナ、自警団に持って行きたいから場所聞いて』
宿のおじさんにだいたいの場所は確認してきたのだが、明確な目印のないこの街では、慣れていないと違う筋に入り込んでしまって迷う事になりかねない。
私が上空から確認すれば、方角の確認は出来るだろうが妙な場所に迷い込んで要らぬトラブルに遭遇したくはなかった。
「じけいだんに、もってくの」
ミーナが唐突にそう言ったので、男は一瞬妙な顔をしたが、「ああ、そうだな。自警団なら専属の解体職人がいるからな……それに害獣指定されたそいつなら手間賃も取られねえ」
そう言うと男は右手に見える筋を指して、「そこを真っ直ぐ行けば自警団の建物が見えてくる……建物の周辺は安全だがあまり知らない場所をウロウロするんじゃねえぞ」
ミーナが「ありがとう」とお礼をいって指し示された方角に歩き出すと、「気を付けてな! 余計な場所に迷い混むんじゃねえぞ!」
少し離れてからもそう声を掛けてくれた。
「ミーナ、どうやらこの街の中央通り以外は注意して歩いた方が良さそうね」
私はラロが別れ際に言っていた、「あそこに行けば俺の言う事が少しは分かるだろう」と言う言葉を思い出していた。
「わかった、ビスタ……ちゅういするね」
まだ子供とはいっても、厳しいこの世界で一人で旅するくらいだから私の言ってる事の意味は直ぐに理解してくれたようだった。
ミーナは少し緊張した表情をしながら、自警団の建物があるという通りを歩き出したのだった。
◻ ◼ ◻
暫く歩くとそれらしき建物が見えてきた。建物は正面が完全に解放された状態で武器を持った人々が出入りする様子から、そこが目的の場所だと直ぐにわかった。
建物には門衛のような者もおらずミーナは特に誰からも咎められずにスタスタと建物に入っていったのだが――
「おい! ここは子供の遊び場じゃねえぞ!」
建物に入ったミーナを待っていたのは、若い男の叱責の声だった。
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