第32話 忍者小僧、呆れる。女エルフの受難

 

「んお?呼ばれましたかという事は……」


 片目を瞑り視界を変える。

 揃ってるの確認すると


「移動しますが来ますか?というか来てくれると助かります。あなたのお仲間が通せんぼしておりますので」


「にゃ〜……。にゃ〜ん」


「ありがとうございます。それではあちらに着いたら自由にして良いので。では少々抱えさせてもらいます」


 嫌がる事も無く抱き上げると懐から二枚の符を取り出しそれを頭上に放り投げる。


「転移」


 そう言うと同時に炎が全身を包み込むと一瞬にして視点が暗くなり目の前に天城達とエルフ組が現れる。


「お待たせしました皆様」




「とまぁこんな感じ??」


 飄々とさも当たり前の様に言うが……。


「は?じゃあ、え??僕達が探索している間は」


「はい。昼食を済ませて皆様が揃うまで暇つぶしを少々」


 頭を抱えながら大きなため息をつくが……。

 いやまぁそれでも一応仕事はしてるんだからとやかく言うのはお門違いなんだろうが……。

 それだったら最初っからそうしてれば無駄な時間を短縮できたのではないかと考えるが既に過去の事と割り切るしかないと自分に言い聞かせた。



 そんな世間話をするかのように見知らぬ道を警戒さえせずに進む二人を他所に困惑の色を見せるエルフ組の一人に声をかけられる。


「……ここがどんな場所なのか知ってるのですか??とても初めて来た感じの雰囲気ですので気になって」


 その言葉に天城と道明はほぼ同時に首を傾げる。


「「いや、知らないけど??」」


「な!?だったらもう少し慎重に行くべきでは!!」


「お気持ちは分かります。しかし慎重に行った結果相手に逃走される可能性が大きくなり迎撃の準備までされてしまう可能性まで出てきてしまいます」


「あぁもちろん大丈夫です。これまで通過した部屋には誰もいませんでしたのでここを制圧した後に調べるのが効率的でしょう」


 一瞬どうやって!?かと思ったが本当に微かに感じられる魔力で探知をしている事に気付く。

 見た目は暗殺者で物理職って感じなのに……。

 普通の人間はどっちかのみに特化するってのが普通なのにどうやって魔法の技術まで習得したのだろうと考えたが他人の能力を勝手に推測なんて無粋だ。忘れよう。


 彼ら二人の言葉を信じとりあえずは最低限の警戒だけをして各々世間話をしながら進んでいると天城さんが手で止まるように指示を出す。


「分かれ道ですね。どうしましょうか?」


 そこには上下に分かれる階段とその正反対の位置にはまっすぐに伸びる通路があった。


「失礼、天城殿。行きたい所に指差しで良いかとこれといって脅威になり得る存在は居ないですし」


「う〜ん。それもそうだね」


 なんて緊張感の無い……。

 本当に今私たちは敵対勢力がいるかもしれない場所にいるのだろうか。というか私たちは居る必要すらあるのかすら疑問に思えて来た。

 とりあえず言われた通りに各々行きたい方向を示す。


 大多数が階段の方に別れその内の一人が意外にも天城さんとずっと一緒にいた道明さんだ。

 ちなみに天城さんは通路の方を選んでいた。


「少々偏りましたがまぁ良いでしょう。道明、頼みましたよ」


「……えぇ。そうですね下はお任せ下さいませ」


 平然とした態度に言葉使い。余程観察などしていなければ気づかない程に小さい変化。

 ……何だろう??道明さんと天城さんの言葉に少しだけ怒気の様なものを感じられる。

 それにここに来てからずっと下の方を凝視しているし確実に下はヤバいという事なのだろうか。

 しかし私が行くのはそっちでは無く通路側……天城さんと一緒だ。

 一度私たちはその場である程度準備を済ませると自分たちが決めたルートの方にむかった。




 長い長い廊下……。

 灯りは等間隔に置かれた魔石ランプのみ。しかしそれも何個かは既に切れており最小限のみの数しか点灯していなかった。


「御二方はなぜこちらを??」


 急な質問にビックリした。


「なぜ?なぜ……でしょうか。何となくですがこっちが一番呪いの影響が少ないからでしょうか。見る感じ何処も呪いの残滓でまともな感じではないのですがこっちだけやけに少ない感じがして」


「俺は純粋に何となくだな。ただ気持ちが悪い感じが少ないからだな。冒険者としては勘は優先しろってもんだからな」


「なるほど。随分と幸運ですね御二方」


 幸運??何故だろう。


「一番危険が少ないからですよこっちが」


 気づけば目の前には扉がそしてそれを警戒することなく天城さんは開けた。

 そこに広がるは沢山の書物と乱雑に積まれた紙束。どこにも人の姿はない。


「それではこちらにここにある書物等を詰め込んで下さい」


 渡されるは魔法の鞄。

 しかし彼の手には何も持っていない。もしかして自分は何もしないつもりなのだろうかと思いつい反抗的態度を取ってしまった。


「申し訳ございません。しかし僕にはやる事があるんですよ」


 何も無いところに勢いよく進む様子を見ていると彼は急に何かをガッツリと掴む。

 その瞬間、何も無い所から苦しそうにもがく男性が現れる。


「なっ!?なぜきづいた!!」


「カメレオンコートですか。良くもまぁ地味にレアな物をお持ちで。知ってます??それ探知の魔法に普通に引っかかるんですよ。まぁ余程熟練度が高くないと分からないのです、がっ!!」


 もう片方の手を襟に回し勢いよく地面に叩きつけ手際よく腹ばいにし拘束する。


 あまりの事に戸惑うがすぐさま冷静を取り戻す為に深呼吸をする。

 とりあえず私達は私達で言われた事をする彼については後で質問すればいい。

 本棚から手当り次第に鞄に入れていく。

 しかし地下の施設にしては異様に本の数が多い。それにどれも医学関係の本ばかりどうゆう事だろう。鞄に入れるのをやめ少しだけ中身を読む。


 ……普通に医学書だ。

 なんだってこんな場所に……。そう思いながら近場の机にある書類の山から適当に一枚掴み取る。

 それは名前に生年月日といったその人の個人情報がのった物であり

 下の方にはつらつらと難しい単語が並んでいた。


 診療簿って奴だろうか?しかしなぜ??

 なんの為にそんな物を作る必要がある。治療の為?いいやそんな優しい感じはしない。ただただ記録の為か?しかし何だろう。この違和感は……。

 次々と書類を漁る。そこでようやく何かに気付く。

 ……子供しかいない。どれもこれも十歳にもいかない子達。

 誘拐??でもこれだけの子供が消えたなんて事があれば依頼が沢山ありそうだけど……。

 まじまじと色々な書類を見合わせると作成日がどれもバラバラ。かなりの年数をかけて国に悟られないようにこれだけの子供を誘拐したという事か。


 あぁ〜。なんか嫌なもの見てしまった。録な事件じゃないじゃんこれ。

 見ていた書類を今の感情と一緒に鞄にぶち込む。

 ……でも誘拐だけでこんなに呪いが蔓延るだろうか。

 子供は確かに呪いを作るのにはもってこいの素材になるだろう。しかしだからといってこの量の呪いを作れるといったら答えはノーだ。

 そう呪いの基本となるのは負の感情。

 ここで感じれるのはどれだ?孤独?いいや、書類を見た感じそれは比較的ないだろう。ならば恐怖?孤独になりにくい以上これもそこまでだろう……。

 ならば何だ?。


「なぁ。これどう思う?」


「……なにが?」


 不意に話しかけられ彼の手元の本を見て嫌な汗を一瞬で掻いてしまう。

 冗談じゃない!!一瞬で自分の頭の中で今一番想像するべきではない事が浮かび上がってしまった。


 医学書……。


 複数の子供……。


 街全体を覆う呪い……。


 そして『誰でも理解できる人を百倍痛めつける楽しい拷問をする方法』……。


「まじで!!最悪!!すぎる!!!」


「……やっぱそうだよな」


 一緒に本の回収をしていた男も想像してしまったらしい。

 確かにそれは私達の想像だ。しかしここには物的証拠がそろいすぎている。

 すぐに尋問している最中に割り込む。


「いますぐに答えなさい!!あるんでしょ!!あなた達が拷問する為の部屋が!!」


 椅子に縛り付けられているそいつの胸倉を掴みながらそう怒鳴る。

 自分でも感情的になっているのは分かる。でもこれはそうなっても仕方がないだろう。


 ……だってこいつらは自分達の手で甚振るのではなく誘拐した子供たちにさせている。その可能性があるのだから。


「……な、なんの事だ。俺は何も知らない」


「そんな事ないはずよ!!ここにはあまりにもそれを意識させる為の物が多すぎるのよ!!」


 今にもこいつを殴ってでも口をわらせようかと拳に力を入れていると天城に肩を叩かれる。


「大丈夫。場所は判明してますあちらの先に」


 指差す場所には一枚の布に覆われた場所。

 その指差す場所と椅子に縛り付けられている男を交互に見るとどうやら本当のようだ。

 かなりの動揺した様子で慌てだした。


「その先は何もねぇ!!ただの壁だデタラメで仲間をおちょくるとは随分な奴だなお前!!」


「いいえ。その先にあるでしょう?見えてないとでも??」


 男の胸ぐらを離し急いでそこに駆け寄り布を引っ剥がす。

 確かにそこには壁しかない。

 隠蔽魔法か?確認の為触るが透過しないならばこの壁は本物である。耳を当て音がするか確認するが何も聴こえない。

 ちがう。隠蔽魔法であってるけどこれは……。

 壁に対して魔力を流し込むと今ままで欠片も感じなかった魔法の気配が強くなった。


「……知らない魔法式。何これかなり古いわ」


 右往左往しながらどうにか解除出来ないか色々な方法を試していると天城さんが隣に来た。


「あぁ〜神代式ですねこれ。宗教団体の奴らは好きですからね自分たちが祀る神の術を使うのが……」


 彼は少し見ただけでそれを解明しすぐに行動に移した。


「神代式の面倒臭い点というべきでしょうか。彼らの魔法式の全てに共通しているのが贄を要求する事なんです」


「……贄ですか」


 その言葉に戸惑った。

 贄がどれほどの物を要求されるかも分からない下手をすると人一人を要求されるかもと頭を過ぎる。

 そんな私を見てただろうか彼は安心させるかのような答えを出してくれた。


「まぁ今回のはそこまでの物は要求されないみたいですね」


 彼はそう言いながら中央に手を置きその場から動かなくなる。

 次の瞬間、彼は腰に下げていた鋭いナイフを取り出しそれを壁に押し当てている手に目掛けて思いっきり突き立てた。

 あまりの突然の事に一瞬身体が停止するがすぐさま我に還ると彼の怪我した手を勢いよく掴んだ。


「何してんの!?急に馬鹿じゃないの!!」


「しかしここの要求が新鮮な血液でしたから」


 彼は特に痛がる素振りすら見せず淡々と答える。


「だからって貴方が怪我をする方法をとらなくても……」


 ポーチからちょっとした医療用の道具達を取り出し応急処置をしようとするも……。


「……なんで、明らかに貫通してたのに。それにこの血だってまだ乾いてすら」


「そういうものなんですよ。僕達という人間は」


「……でも心配してくれてありがとうございます」


 彼は少しだけ嬉しそうな笑顔を見せるがすぐに目の前の壁を見つめる。

 壁にヒビが入りポロポロと崩れ出す。

 しかしそれと同時に嫌な匂いが鼻にまとわりつく。一人を除きここにいる人間全員の顔が歪む。


「……これは少々予想外ですね」


 知っている風な感じを出していた彼でさえこの匂いは予想外らしい。


「……知っていたのでは??」


「いいえ。壁に対して何かしらの魔法が組み込まれているってのは探知している時に気づいていましたが……。これはちょっと」


 何かを言い続けようとした時だった。壁が完全に崩れ落ち空気が繋がる。

 布で顔を覆いできるだけ匂いを遮断していたが私はその場で思いっきり吐いてしまった。

 今まで色んな匂いは嗅いできた腐乱臭だってそうだ。しかしここから流れてくる匂いはそれを何倍にも凝縮し長い間熟成させたと思わせる程に酷い匂いだ。

 頭が痛い涙も出てきた匂いのせいっdまともに呼吸もできない。

 他の二人は……大丈夫なの??。


 天城さんはかろうじて耐えているみたいだ。しかしその顔には今まで隠していたであろう果てしない怒りが顕になっていた。

 そして後ろで椅子に縛り付けている人の監視をしてた人は私同様思いっきり吐いていた。

 ……縛り付けられている奴の身体の上に。


 どうにかしてこの匂いを消さないと……。

 でもこんな状態で魔法を使えるほど私は器用じゃない……。


「くっさいんじゃ!!ボケがっ!!」


 ものすごい怒声と共に風が吹き荒れる。

 横を見ると天城さんが風を起こし匂いを風と共に移動させているようだ。

 しかし先程まで丁寧だった人の魔法とは思えない程風と口調が荒々しくなっている。余程だったのだろうまぁ気持ちは分かる。


 数分が経ちようやく匂いもある程度我慢出来るまでになり私達は意をけして壁の向こう側だった場所を確認した。



 私はただただ後悔した。

 見ることをやめればよかったそう思えてしまう程の光景を目に焼き付けてしまった。

 一瞬で血の気が引くのが分かる。呼吸も小刻みになり動悸も激しい。

 これはダメなやつだ。直視しちゃいけない。すぐに逸らさないと……。

 頭でハッキリとそう身体全身に指示を出すも言う事をきかない。


「あ……だ、だめ。ダメなの……お願い。あま、ぎさん」


 辛うじて動く口で必死の助けを求める。


「大丈夫ですか!!」


 彼の声が聞こえると同時に視界も彼の手で遮られると見なくよくなったからか私の身体は一気に力が抜けてしまい重心が安定しない状態になるがそれを彼が受け止めると抱きかかえてもう一人の近くに座らせる。


「何があったあそこに……。ここからだと死角なんだが」


「……録なものじゃないですね。見るのはオススメしませんよ。僕だって正直見たくありませんが……」


「ここから先は僕が処理しますのでそれの監視とその人の面倒見といて下さい」


「分かった。何か手伝って欲しい事があれば呼んでくれ!!」


 彼はそれに応えるかのように頷くとすぐその場を後にし隠し部屋の中に向かった。


 私は膝を抱えその場でうずくまる。

 なんて情けないのだろうかアレと眼が合った瞬間身体が拒否反応を見せてしまった。


「……中に何かあるのか??」


「……子供の死体だと思う」


「それぐらいなら……多少見た事あるだろ?この仕事している以上」


「……そりゃそうだけどね。普通じゃないんだよ。分かる??明らかに死んでないとおかしい状態なのに私はそれと目が合ったんだよ」


「……そ、そりゃお前さんの恐怖での錯覚じゃねぇのか?」


「……それの眼があっちこっち動いてこっちを捕らえたてジッ見つめるのが錯覚なんて言える??」


「…………」


 彼は言葉は発さないが私が何を見たのかを想像したのか少しだけ奇っ怪な顔をしたまま俯いてしまった。

 それからお互い特に話すこと無く私はある程度休憩し調子がある程度元に戻るのを確認すると最初に言われてたこの部屋の物の回収作業に戻ることにした。

 ……もちろん回収中私はあの部屋には一切近づくことはなかった。



 どれだけの時間が経ったか分からない。しかしあと少しで全ての回収が終わろうとした時例の部屋から天城さんが出てきた。


「おや、もう大丈夫ですか?」


「はい。ある程度は」


「それは良かった」


「……それで何か収穫はありました?」


「そこそこですね」


 彼は鞄を叩き主張する。

 それは良かった。さて話している内にこちらの回収もいつの間にか終わる。


「終わったみたいですね。それじゃその人も連れてとりあえず集合位置に戻りましょう既に皆さん戻ってきてるかもしれませんから」


 そうして私はいくつもの鞄をもう一人は犯人の一人をそして天城さんは……布に覆われた子供位の大きさの何かを抱えて私達はこの部屋を後にした。

 道中天城が質問する。


「……なぜあんな事をした?」


「…………」


 答える気はないみたいだ。そういえばあそこが開いてからずっと無言を貫いているがどういうつもりだろうか?

 ……気になる。


 気づけば元の位置まで来ていた。

 ほとんどの人達が帰ってきていると同時に子供達が増えていた。

 どこに居たのかと聞いてみるとどうやら地下にいた生きていた子達だけでも連れてきたらしい。

 ……生きていた子達だけその言葉で地下に何があったのかは安易に想像出来てしまった。

 道理で皆して顔色が悪く空気が重いわけだ。

 私達もその場に座り込み一休みする。

 もう精神的に疲れた空も見れないから時間も分からない……。

 早く帰って宿屋のふかふかのベッドで寝たい。

 そんな事を思いながら視線をあの二人に向ける。なんの話をしているのだろう。

 このまま今日は中断にならないだろうか……。


 どうやら話し合いは終わったのか天城さんが突然上の方に急ぎ足で消えていくがすぐに戻ってくるとこちらに駆け寄り例の男に詰め寄る。


「何か企んでたのは知っていましたが……。なるほど上にお仲間さんがいたんですね」


「……なんの事かな」


「まぁ実の所僕達の以外にも上にまだ待機していましてね。確認した所全員確保済みまたは死亡との事です」


 その言葉に男の顔は今にも叫びそうな感じの顔になると地面に頭を自ら叩きつける。


「あぁぁあああ!!!!クソがクソが全てが台無しだ!!せっかく!!せっかくの供物が台無しだ!!」


「……供物。何に対してですか」


「教えてたまるか!!クソッタレの冒険者風情が!!」


 彼はそう言いながら地面に頭を叩きつけながら自分の舌を噛みちぎりそのまま窒息したのち絶命した。


「……バカだなぁ」


 彼は確かに小さい声でそう呟く。

 そのあまりにも冷たい雰囲気が怖くなり彼がこちらの視線に気づいたのか視線がこっち向くが逸らしてしまった。


「……仕方がない。証人がまだ完全に居なくなった訳ではありませんからねとりあえず皆さん上に行きましょう」


「……上?」


「えぇどうやらこの上は地上の食事処らしいのです。そこからならこの人数で細道で戻るより簡単に戻れるでしょう」


 確かにそれもそうか。

 みんなが重い腰をあげくたびれながら階段を上がり扉を開ける。

 確かにそこは言ってた通りの食事処。

 まぁかろうじて分かる程度にはだけど……。


 ここからはとんとん拍子で事が進んだ。

 上に待機してた人達と合流しギルドに戻る。

 道中は既に夜中であった為人に遭遇する事無く騒がれずに済んだ。そしてギルドでは既に色々な手配が済まされており子供達は一旦ギルドに引き取られる形に。

 犯人達はと言うと既に待機していた憲兵達に留置場に連行されていった。

 そうしてかなりの人数がギルド内を行ったり来たりと大慌ての中私達もとりあえずここで解散する事になった。

 この状態で報酬等の計算が出来ないためとどうもまだ天城さん達二人は仕事が残っているかららしい。

 そういう事なら仕方がない。依頼主が一時解散と言うならそれに従うまでである。


 ようやく解放され各々が泊まっている宿屋に足を運ぶ。

 いつもであればそこかしこで雑談が交わされ笑いあったりするが今回はそれらが一切聞こえることは無く今日はただ足音のみが響くのであった。

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