第31話 忍者小僧、合流する
「ママ〜、あの子猫と……ムグムグ」
「しっ。ダメよ指さしちゃ行くわよ!!」
腕を引きその場から立ち去る親子。
しかし彼女らだけではなく道行く人々すれ違う人達が同じような反応を彼に示す。
しかし彼はそんなのをお構い無しに歩きながら猫と話していた。
「なぜ故に教えてくれないのですか?」
「なぁ〜!!」
「しかしそれは仕方がない事、餌は有限でありましょう??」
「なーん……」
落ち込むような鳴き声のあとすぐに何かを閃いたのかの様に甲高い声で鳴いてくる。
「半分とはこれまた強欲な……いえ猫ですからね強欲であるべきですね」
「にゃん??」
「良いでしょう……。しかしこちらからも一応条件として対処後の呪いは数十年は残りますのでそれらが正常になるまでは残ってもらいますそれぐらいの条件は宜しいでしょう?」
「にゃ〜ん♪」
膝を付き片手を前に出す。
「契約成立です。これは前金いえ前呪いです受けとって下さい」
一枚のどす黒い禍々しい雰囲気を醸し出すを符を出すとおもむろに真っ二つにする。
「にゃにゃ〜ん♪」
「五十年分です。お気に召しましたでしょうか?」
「にゃん♪」
気持ち良い返事をしながらも視線は呪いに巧みに尻尾を動かしながら漏れ出る呪いを手繰り寄せ煙のようにゆらめくそれを圧縮し口に入るサイズにするとそれを口に運ぶ。
吸収できたのであろう一瞬だけだが尻尾が増えた様に見えたがすぐさま元の一本のみに戻る。
身体を伸ばし顔を洗うという猫らしい動作をし終えると口を開く。
『 !!』
あくび……にしても先程身体を伸ばしている時にしていた。
そんな時だった。どこからともなく数匹の猫たちがわらわらと現れる。
全ての猫が道明と呼んだであろう猫に挨拶をするかのように身体を擦り付けそれが終えると道明と猫の前に並び座る。
あぁ〜あれは声に鳴らない鳴き声でしたか。
出来れば拙僧にも聴こえる声の方で集合かけて欲しかったですね。
「にゃにゃ!!にゃ〜ん」
「にゅあ!?」
「にゃーにゃにゃ!!」
「…………んあ〜」
どうやら餌が無くなることに対しての抗議らしいがどうにかなだめようとすると
「にゃん!!」
今日一デカいであろう声で鳴くと一瞬で静かになる。
続けざまにちゃんとした報酬もあることを説明をしてくれるとこちらに振り向き「何をして欲しいか説明しろ」と鳴く。
「うむ。今から見せる人達の案内役をお願いします」
そうして取り出すは三枚の写真とこの街の地図。
写真は先程会ったばかりのエルフの三人。
「ここら辺の裏道でこの御三方がいるでしょうからその御三方の道案内を頼みたいのです」
「にゃー」
「目的地ですか?そうですね……。ではこの街を覆う呪いの根源に近い所でみんなが合流出来そうな場所でお願いします」
「にゃん!!」
そう鳴くと他二匹も立ち上がり道明らの周りをぐるりと回ると一斉にエルフ達がいるであろう方に向かい姿を消した。
「さてとりあえずする事はしましたので時間でも潰しましょうか。どうです??お昼でも?」
「にゃう♪」
そうと決まれば行動が早く良さそうな飲食店に入ると一人と一匹は皆が忙しそうにしている中で優雅に昼食にした。
「……あ。天城殿にも案内つけるのを忘れてたけどまぁ大丈夫でしょう」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
道明と別れ一人呪いの痕跡を辿りながら道を探す。
「さて、何ヶ所か目星はつけていたのですが……これは当たりでしょうか」
目の前には魔法により認識出来ない様にされてる道があった。
境目にある術式を確認する為に近づく。
……劣化防止に何だろう印だろうか?それが無いとただの鉄柵によって通行防止されたただの水路に見えるのかな?
あぁでもこれは魔力が一定値以下の人限定仕様って感じかな?
一定値がどこかまでは読み取れないけど別に完全に封鎖されている感じはしない。ようはただのハリボテですかね?
一瞬通行防止の幻覚の術式が組み込まれているのを見て他の組が心配をしたが必要なさそうだ。
しかしかなり昔からあるんだろうな他の部分の術式は大部分が苔等に覆われているが劣化防止の術式だけが少しだけしか覆われていなかった。
ということは未だにこの道は使われているとみて良いって事だろう。術式の解読を止め先に進む。
進むこと数十分……。
「あかん……。完全に迷った」
あの先がまさか、まさかのこんなに入り組んでいるとは思いもしなかった。
「途中からおかしいと思ったんだよ……。そりゃそうだよね迷路の罠ぐらいは組み込むよね普通に」
あぁ〜数十分前の僕バカ〜!!!ちゃんと全部読み取っててよなぁ〜!!!!
…………ハァ。
……まぁ今更過ぎた事を悔やんでいても仕方がない。別にこの程度の罠なら簡単に抜けれる訳だし……。
この手の魔法で作られた迷路の抜け方はどれも変わらないが術式を組み込んだ人間によって難易度が激変するのだが……。
「ここはブラフ魔力すら無しだから簡単かな?」
所詮は魔力を使用してできたただの迷路……。
入口と出口は魔力によって繋がっている。それさえ感知すれば後はそれを頼りに進むだけで良い。
これが熟練した術師になると答えの魔力を見られる事を当たり前と思ってる為ブラフまで張るから厄介極まりない。
まぁ今回はそんな物ないので適当に辺りを練り歩き道標となる魔力を見つけ出すだけっと……。あったあった。
後は入り組んだ迷路をすいすいと進むと出口の下水道の前にたどり着いた。
……下水道といってもこの世界ではスライム処理という便利な物があるからだろうか下水って感じはしないただただ透き通った水って感じでしかない。
さてここからは感覚を研ぎ澄ませながら呪いを辿ろう。下水道の中を進むと二手に分かれ道。どっちだ?
……こっちか。
迷いという言葉が無いかのように即座に正解の道を選び進む。
ある程度進めば分かれ道にまた分かれ道。
長い事小さい明かりを頼りに暗闇を進む。既にどれだけの時間が経ったかは分からないが気配は確実に強くなっている。
「…………?」
本当に微かだが話し声のようなものが聞こえる。
咄嗟に明かりを消し気配も同時に隠しながら話し声の方に忍び寄る。
そして角を曲がればそこに居る程の至近距離にまで近づき警戒しながら話し声に聞き耳を立てていると明らかに聞いた事ある声達だった。
「ねぇ〜猫ちゃん達ここに何かあるんですか?」
「明らかにここに誘導してた割にはそれより先には行かせてくれないのはなんでだ?」
「まず猫に誘導という道案内されてる今の状況もおかしいけどなそれも別々に行動してた三組共ここに集められるって」
エルフ組たちの声だ。
各々が警戒しながら暇そうに話し込んでいた。
そして扉の前に陣取る猫達のせいかそこより先に行けないでいる。手に持っていた武器をしまい皆の前に飛び出す。
「皆さんどうしましたか?そんな所で立ち往生して」
急に声をかけられ一瞬にして空気がヒリつき数人が武器に手をかけるが即座にこちらの顔をみてヒリついた空気が解けた。
互いに状況整理をする。
どうやらエルフの三組達は濃い呪いの痕跡を探しながら探索している所に急に猫達が現れついて行った結果がこの場所だったらしい。
「ほ〜ん。なるほどね。というとここが目的地なのかな?」
扉を見る。
今日一感じられる呪いの気配。
「……道明は?」
「まだきてないですね」
一人が答えると他の人達も続けざまに答える。
ん〜確か監視つけてたような。
どこだ?キョロキョロとある物を探す。
あったあれだ。
「見てるでしょ皆揃ったので早く来てくださいよ!!」
急な大声にビックリする皆を他所に虚空を見つめていると何かが遠くで燃える。
それは燃えながら人の形になりながら次第に寄ってくる。そして人の形をした炎は目の前まで来ると収束し見知った人間に変わる。
「お待たせしました皆様」
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