第24話 竜娘、巻き込まれる

 

「り、、、竜がっ!!!!竜が出た!!!!」


 そう叫びながら飛び出した子供を皮切りに次々と子供達が現れてくるのを受け止めながらも何故か子供の言った事に対して蟹丸と天城が一斉にこちらを振り返った。

 なんだ何だ二人して?何でこっち見るのさ私じゃなくて今はその子の……が…………。

 ……あ、あぁ。


「は?二人とももしかして私疑ってる!?」


「いや」


「だって」


「「ねぇ???」」


 やめろ!!やめろ!!!!示し合わせたかのように言うんじゃないよ!!!!!!

 全く……


「うちの達が無闇矢鱈に人を脅かす訳がないでしょう!!」


 冗談にも程がある。

 その考えにあまりにもぷんすかしている私を見て二人は謝罪してくれる。

 まぁ、二人だって本気なわけでは無いことは分かっていたし怒ってない事を伝えとりあえずは今するべき事をすることする。


 さてこれで全てなのだろうか?

 そんな事を考えながら子供達の人数と状態の把握する。男の子が四人に女の子が二人と……。

 見る感じ全ての子達が泣いてはいるがその内の三人は残りの小さい子を宥める事が出来るぐらいには冷静っと……。

 しかし何だろう?この違和感はこれで全員なのか?本当に??

 そんなモヤモヤした気持ちを払拭するかのようにすぐに答えが現れた。


「おい?お前らだけじゃないだろ?教官役はどうした。」


 少しだけ口調を強めて蟹丸が問う。

 そして質問された内容でさっきの違和感を理解した。

 大人が居ないんだ。


「お、俺達を逃がすた、為に……」


「……まずいな。」


 蟹丸はすぐさま立ち上がり皆についてくる様にと言うとすぐさま行動に移す。

 自分で歩ける子達自分で歩きグズって動かない子達は抱えて私達もついて行く。

 早足で歩く私達を横切る人達のほとんどが見る。その中にはなんだろう?とキョトンとする者。子供達の顔を見て異変だと気づく者。そんな色んな人達を過ぎ今回のまとめ役と合流した。


 まとめ役さんも私達同様で子供達に剣の扱いなどを教えていたが、私達を見てすぐさま異変に気づくと他の人と代わりこちらに駆け寄ってきた。


「……なにがあった。」


「付近に竜の出現。場所は不明。教官役の生存不明。っと簡単に言うならこんな感じだわ。」


 ……た、端的すぎる。


「子供達は……見た感じ怪我はないか。」


「すぐさま森に居る奴らを戻ってこさせここら辺一帯の警戒態勢を強化。そして救助部隊を作り教官役を保護しなければ。」


 おぉー!!あれだけで理解したとかこの人凄いなぁ。それにすぐ行動する辺りマニュアルがあるのかな??


「しかし竜か……困ったなこの人数じゃ撃退する事すら……」


 そこで蟹丸が待った!!の合図。


「それなんだけど探索と竜に関してだが俺らだけでやらせてもらっても良いか?」


 何を言い出すかと思えば訳のわからん事を言い出した。子供達の相手をしながら見ていた私は急な事にあわあわしながら天城を見るとと……。

 天城は天城で何故か先程の動きやすそうな服装からガッチガチに固めた忍者っぽい見た目に着替えていた。


「おいおい……俺達だけってこの森自体そこそこ広い上に緊急も緊急だ。たとえお前が強くたってこればっかしは冗談にしても面白くもないぞ?」


 ふっふっふっと言わんばかりに蟹丸がニヤつく。


「普通ならな!!しかし安心すると良い!!なんせこの二人はその道のスペシャリストなんだからな!!」


「まずはこの天城から!!こいつのジョブは忍者だ。正確な所属等は俺は言えないが主に探索、調査を行う所にいる。だから竜の居場所についてはすぐ見つかる。なぁ、そうだろ?」


「……だろうなと思いました。はい、大丈夫です。そうですねこの森の広さなら五分も掛かりませんね。それでは自分は時間も惜しいでしょうしすぐにでも」


 彼はそう言うと何かの印を結ぶと彼の影が実体化+分裂それが終わるとすぐさま彼らは散り散りえと森に消えていった。


 すっご……。あれって【影身】だよな?にしては人数が多かったけどということはあの装備は【影ノ装束】かな?地味に入手方法が困難な奴じゃん。私も昔欲しくて挑戦したけどクエストクリア出来なくて諦めたんだよなぁ〜。


「そんでコイツだが、見ての通り竜人だがそれを除いても竜に関しての知識と戦闘に関してコイツの右に出る者は居ない」


 羨ましながら飛んで行った天城を眺めていたら急に話題に出てきたせいで変な声で返事をしてしまった。


「え?あ、あぁ!?」


「できる……けど。ちょっと耳かせ」


 彼には聴こえない音量で話す。


「おっま!?こちとらつい最近来たばっかだぞ!!無茶ぶり過ぎないか!?」


「いや〜大丈夫だろ〜w今回出た竜がどんなのか知らんけど余裕だってそれに自分のステータス見て気づいてると思うけどこっち制限とか無いから……これの意味分かる?」


「いや、だろうなと思ったけど……あ、そうかという事は契約数に限度が無いのかもしかして!!」


「そっ。こっちでは魔力を譲渡し合う事での契約だからな。この馬鹿みたいに有り余る魔力だほぼ制限無しと見ていい」


 まじか!?ゲーム時代は契約数が100体だったから泣く泣く契約解除した個体とか居たけど……。


「え……ということは今回の子……貰っていいの!?」


 それを聞くと蟹丸の眩し程の笑顔とものすごい勢いのサムズアップが繰り出された。

 その瞬間、蟹丸を押し退けて……


「喜んでしましょう!!どんと構えてここに居てください!!すぐに解決しましょう」


「あ、あぁすまないが頼むよ」


 若干顔が引き攣っていた気がする関係ないね。あぁ、イカンいかん顔がニヤけてるしまう。どんな子が居るのかな楽しみだな〜早く見つけてくれないかな〜。


「……あれは元からああいう奴なのか?」


「うーん知ってる限りでは一番とは言わんけど基本は常識的な人なんだけど……うん、超弩級が付くほどの竜狂いなんだよね」


「さっきちょっと有益な情報あげたらああなっちゃった」


 ごめんねと言わんばかりにまとめ役の肩を蟹丸は叩く。


 そうしてまとめ役そしてついさっきまで近くにいた子供達から物凄い変な人だなと奇っ怪な目で見られているとも知らずに彼女はただただ興奮しながら妄想していると途端に視界が急上昇する。


「うおぉ!?」


 あまりにも一瞬の出来事に一瞬だけ思考がバグってしまったがお腹周りをガッツリホールドした状態で抱えられてる事だけは分かったが……。


「待て待て待って!!!!急すぎない!!?もうちょっと声をかけてからとか!!」


「…………。」


「返事ぐ……らい」


 ……これ【影身】だ。多分。

 諦めて身を任せる事にしたが……。いかん、前も見えなし何処に向かってるか分からないが……これ視界が……上……下に揺れすぎてぇぇぇえええ!!?


「あかん!!あかん!!!!本当にダメだってえぇぇえええ!!!」


 また急上昇される。


「ダメだまじで吐きそう……。ってアレって」


 これまた急に視界が一気に下がる。そして地面ギリギリの所で視界が止まるが一瞬だけ間が空くと次の瞬間には無作法に地面に叩きつけられる。


「ぐえっ!!」


 そして頭上から何故か天城の声が聞こえる。


「……いや、うん自業自得だよ。反応しない貴女が悪いです」


「それって、どう……ゆう」


 そして顔を上げるとそこには天城と件の竜が臨戦態勢で立っていたがそんな事より……。


「いや、まじでごめん。少しだけ……」


 ここに来るまでの物凄い不安定な体勢、上下に揺れる視界そして前が見えない事によっての三連コンボそして最後に急に頭を動かしてしまったせいもあってか二人そっちのけで二人が立つど真ん中で私は盛大に吐いてしまうのであった。

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