第21話竜娘、街の外に出る

 

 …………ん〜〜

 朝日でまぶたが明るくなるもそれを遮断しようと毛布にくるまる。


 …………熱い。

 全身が熱いというより一部特にお腹周りにものすごい熱が篭っている。

 意識が覚醒するにつれそれは耐え難いものに変わっていきついには我慢の限界で物凄い勢いで毛布を捨てるかのように起き上がりそして原因が分かった。昨日から一緒に行動しているケットシーが先ほどまでエスタスが寝てたいたお腹のあたりで丸まりながら寝息を立てていた。

 ……くそう、人が気持ちよく寝ている所を邪魔しやがって。そんなことを考えながら洗面台に行き顔を拭い洗面台から出ると同時に部屋の扉がノックされる。


「お客様起きてらっしゃいますでしょうか?」


「はいはい 起きてますよどうしました?」


「おはようござます、朝食の時間なのですが今すぐご用意しましょうか?」


「そう……ですね。はいお願いします。」


 そうして扉が閉じそうになった時にケットシーの事を思い出し追加の注文する。

 イカンイカン、ずっと独り身だったしペット何ていなかったから少し間が空くと忘れてしまう。

 さて、朝食が来る前に身支度を終わらせてしまおう。シャワーを浴び、昨日から着ている服から汚れても良さそうな服に着替えを済ませる。

 …………いや、芋いな。確かに汚れても良いけどさジャージはやりすぎたかな?いや、いいや〜どうせ誰も見ないでしょ〜。

 洗面所から出ると丁度朝食を持った従業員が扉を開けるのと被る。


「申し訳ございません。返事が無かったものなので勝手に開けさせてもらいました」


「では朝食の方はこちらに置いときますね。食器の方はそのまま置いてもらってて大丈夫ですのでそれでは」


 彼女はそう言いながら部屋の隅にあるテーブルに朝食を置いていくとそそくさと部屋を出ていく。彼女を見送り席につくそして目の前に運ばれた朝食は以外も以外まさかの和食定食!!

 焼き魚、卵焼き、みそ汁にホカホカのしろごはん!!!なんとまぁ異世界でこんなものが食えるなんて思ってもいなかったよ!!


「猫さん ごはんだよ~」


 その言葉にベッドで寝てたケットシーの耳が動き身体を伸ばしそしてあくびをしながらテーブルの上に登ってきた。


「それじゃ、いただきます」


 はぁ~うまいな朝はやっぱり白ごはんだよね~。そういえば昨日蟹丸と約束したけど何時集合か決めてなかったような……??

 ま、いっかこれ食ったら外で待ってよっと。

 そういえばいい加減この子に名前を付けるべきなのだろうけど……


「君はこっちの言葉は分かるんだよね?なんかあるんじゃないの?名前が」


「……にゃぁ」


 溜め息の様な声を出しながら彼は尻尾の先を光らせるとそのまま空中に『メンダクス』の字を浮かばせる。


「それが君の名前??」


「にゃぁ」


「そっかそれじゃあ宜しくね」


 ご飯を食べるケットシーもといメンダクスの頭を軽く撫でそのまま朝食を食い終える。

 ふぅ……食った食った。

 美味しゅうございましたわ作ったシェフに感謝ですわね……なんて少し良い部屋もあってかそんな冗談を浮かべながら食器を机の上に綺麗に並べるとそのまま部屋を後にするそして階段を降りている途中で昨日出会ったカーマと目が合うとそのまま声をかけられた。


「おはようございます 昨日は良く寝れましたか?」


「えぇとても快適でしたわ」


「それは良かったです」


 そして軽く雑談を済ませその場を後にする前に追加で1週間の宿泊できないか聞くとカーマは快く了承してくれたのでその分の料金を支払いを済ませるとそのまま雑談が続く。


「お客様この後はどのようなご予定で?」


「そう……ですね。と言っても今日は友人がここを案内する〜って感じです」


「そうなんですねそのご友人はこちらが地元なんですか?」


「ですね〜」


 そうこう雑談をしていると扉が開く音がし、そちらを振り向くと蟹丸がそこに立っていた。

 ……脇に女性を携えながら。

 軽く挨拶をすると蟹丸が頭を掻きながら


「悪いな今日行くとこなんだが場所変しても大丈夫か?」


「構わないけど……そちらのお嬢ちゃんはどちら様で??」


「俺の娘」


「ふぁ!?娘だぁああ!??いやいや満喫してんなお前」


「そりゃ……ねぇ」


「まぁいいだろ!!とりあえず紹介するな娘のアズールだ」


 そう言いながら娘のアズールを抱きかかえて私の前に出してくる。


「お姉ちゃん宜しく」


 差し出された手を掴み握手をする。


「初めましてエスタスだよ宜しくね」


「それで?何処に行くの??」


「まぁそれは移動しながら教えるよ時間もねぇんだ実は」


 そのまま宿屋を出るとそのままの勢いで歩きながら蟹丸が説明する。

 どうも本当なら今日は自分のお気に入りの訓練場に行くはずだったが毎週ある子供達に剣や魔法を教える授業の担当だった人が風邪をひいてしまい急遽代理として呼ばれてしまったとの事。


「ふ〜む それは私行ってよいのか?」


「一人ふえたぐらいなんともないさそれに教えてもらうのは初歩的な事だろ?なら丁度良いさ」


「まぁそれならいいけど」


 ジーーーー

 蟹丸と話している中ずっと視線を感じる。誰からだろうと思ったらアズールからだ、何を見ているのだろうと思い視線を辿ると手元で抱えているメンダクスに視線が刺さっており注視されてる本猫もそれに気づいているのかずっとアズールの方を見ている。


「触ってみる?」


「……良いの??」


「良いよ〜いっぱい可愛がってあげて」


 抱えてたメンダクスをアズールに渡す。メンダクスが嫌がると一瞬思ったけど意外と大人しいというか寧ろ猫なで声上げながらアズールに甘えている。お前それを蟹丸に対してもそうしてやれよ。そして私にも優しくしなさいよ何度もぶたれた事忘れてないんだぞ!!!

 ……グギギギギ!!!!はっいけないいけない冷静になるんだ私。

 ほら見たまえ女の子と猫がじゃれている様子を……最高ではないか♡

 二人を見ながらデレデレしていると人とぶつかってしまう。


「す、す、すまねぇわざとじゃ叩かないでくれ……」


「え、え、ちょっと大丈夫ですか??」


 そこには長年剃ってない髭にボサボサの髪そして特徴的な灰色の瞳を持った男性がいた。

 彼はぶつかった拍子にその場に座り込みながら何故かこちらに頭を下げながら許しをこいている。止めてやめて人の目がすっごい気になるから本当にやめて欲しいというかなんでこの人はこんなに怯えているのよ見たこともないしそれに言っちゃ悪いけど小汚いし臭いしで関わりたくない人種なんだけど……。


「あの、別に気にしてませんので立ってください」


 そう言いながら彼に対して手を差し出すもその手は掴まれることもなく彼は一人で立ち上がりながらもずっとボソボソと

「すまねぇ……本当にすまねぇ……」と呟きながらフラフラと何処かに消えて行こうとしたその時ある一点に視線が行く。それは本当にたまたま気づいた違和感……。

 顔や髪服に至るまで彼の見た目はとてもではないがお世辞にも綺麗とは言えないがただ一点だけズタボロのズボンによって隠れている靴だけが見た目に反して物凄く綺麗だったのだ。

 そんな些細な違和感に襲われていると不意に声をかけられ其方に視線が行く。


「どうした?ボーッとして??大丈夫か」


 蟹丸とアズールが不思議そうな顔つきで私を見ていた。


「いや……ちょっとさっきの人が気になって……」


 そう言って振り返るも先程の彼の姿は無くなっていた。確かに人ゴミの中って考えればすぐにも見失うものであるがしかしあの見た目ならば多少ばかし目を離してもすぐに見つけれると思ったのだが……。


「しかし……あいつまだ生きてたのか」


「知ってるの?」


「あ〜まぁ……そうだな。と言っても1年前急にフラっと現れるようになったってだけで声も掛けたこともねぇけどな」


「ふ〜んまぁいいやほらほら行こ急ぐんでしょ」


「お前が止まったんだけどな」


「ははは……さーせんした」


 そうして止まってた脚を動かし数分してようやく目的の集合場所に到着した。


「遅い!!」


「悪い少しトラブってな」


「ふむまぁ良いだろうしかし見ぬ顔が居るな知り合いか?


「俺の旧友でなこの授業に興味があるとかで一緒にダメか?」


「ふむ そうなのか構わないぞ……っともうこんな時間かとりあえず乗った乗った」


 どうやら私達が最後だったらしく時間もかなり押している事もあり自己紹介は軽く済ませると数台の馬車に分けて子供達と数人の先生役の大人達が乗り込むと早々に馬車は動くと目的地の近くの森えと向かって行くのであった。

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