第20話 竜娘、説明を受ける

 

「え〜と再会を祝して……かな?」


「分からん!!」


 なんだそりゃと呆れながら手に持ったグラスを大きな音を立てるかのように合わせる。

 そして勢いよく口元に運ぶそしてグラス入ったキンキンに冷えた飲み物を思いっきり喉を通す。


「うっまい!!」


「だろ〜」


 しかしこの前から思っていたが食事があちらと大差ないのが嬉しいな。むしろあっちより美味いかもしれない。

 色んな物を食べ比べながら他愛もない会話を続ける。どんな生活をしてきたのかとかどんな面白い事があったとかそうな会話を続けた。


「そういえば蟹丸最初は誰と会ったの?」


「俺か?あの人だよゴリアテさん。デカかったなぁ……ゲーム内の頃は俯瞰視点だったからそうは感じないけど現実になるとあんなに身長差ってあったんだな」


「ゴリアテか〜種族的にもデカい上に最大身長にしてるからね〜あの子」


 ゴリアテ、同じギルドメンバーの一人であり初期メンバーでもある。ゴリアテの使ってた種族は確か狼人族だったかな?

 それに獣度の高い方を使ってなおかつ身長は最大値、う〜ん迫力は凄そうと同時に相当カッコイイんだろうなぁ。


 それから詳しく聞くとどうもあの子ゴリアテがとある物の素材探しをしている時にこの街に来たらしくその時出会ったらしいそこから色んな人に話が行ったりして会いに来る奴らが増えたとか何とかの事。

 それにしても意外とみんな会いに来たりするものなんだと関心してしまった。

 元々ゲーム内でも多少の交流そのものはあったとはいえギルドそのものは別な訳で……。


「なんだかんだみんな優しいね」


「全くだ。俺個人も来たばっかの頃だったから親切にしてくれたのは本当に助かった」


 そう言いながら蟹丸がグラスを突き出す。どういう意図があるのか聞くと君の仲間達に。との事らしいが酔っているのか知らないが小っ恥ずかしい事を平然とやるものだなと少しだけ顔を熱くしながらそれに応えた。


「さて、俺の事はもう良いだろう。どんなこと知りたい?知ってる事ならある程度は答えられると思うぞ」


「どんな事か〜う〜ん」


 少しだけ悩み今ある疑問全てを投げかけてみる分かることだけでいいならと快く答えてくれた。


 まずこの世界についてだったがどうも自分達がやってたゲームの世界に似ているが全く一緒という訳ではない。国の数も違うしゲーム内であった歴史もあったり無かったりと違う点はある様でそれに一番驚いたのがどうも私達プレイヤーだった以外にも転生or転移してくる人がいるとの事。まぁそれもあってか文化とかが制限無しに受け入れられる事もあり一部の界隈では阿鼻叫喚状態とかなんとか……。


 次に私達プレイヤーについてだが、正直にいえばゲーム内のキャラクターでほぼそのままで来ているが、このほぼと言う点がタチの悪いイタズラをしている。

 それが個人で見れば良い点かもしれないが世界的に見ればかなり悪いとの事でゲーム内で取得した職業やスキルを全て使用可の上に全ての職業のレベルが全て合算された状態でこちらに来たようで基礎ステータスとかはこちらの人達と天と地の差程離れておりそこから更に職業ボーナスにパッシブスキル等で更に強化されてるとかで言うなれば存在そのものが核爆弾の様な物とか何とか。だからか余程の事がない限り私達プレイヤーは表立って目立つような事は極力しないようにしてるらしいが、それでも歴史的に名前を載せてる奴らは少なからずやんごとなき事情も合わさった結果とも言えるとの事。


 そしてその中でも異質のアーサーについてだが、結論からいえば生きているが完全に隠居生活に入ってしまっているようだ。

 しかし普通に会おうと思えば会えるらしくというかどうも年に一度は集まりがあるとの事。


「他にはある?というか俺からもいいか?」


「何なに?」


「その猫はなんぞ?最近良くここらで見るケットシーだよな?」


「どうも街を探索した時に会ったんだけどなんか知んないけど懐かれたんだよね」


 そんな話の中心に居るケットシーは私達が頼んだ料理等を当たり前かのように食している。

 それを奇っ怪な目付きで蟹丸が見つめながら


「なぁそいつって「にゃぁああああ!!!」」


 蟹丸が何かを言おうとした瞬間物凄い迫力で威嚇し始める。

 何を言おうとしたかは解らないがこのケットシーについてなのだろう蟹丸もどうにかして口を開こうとしてもすぐさま尻尾や前脚等で塞がれて喋れる状態にできない。

 私も抑えているが物凄い力のせいですぐに逃げられてしまうそんな状態がずっと続くと蟹丸が折れた。


「はぁ……まぁいいやそこまで重要でもないし」


 溜め息混じりのその言葉を聞くとケットシーも元の位置に戻りまた食事に戻る。

 そうして不毛な争いを忘れとりあえず元の話題に戻る。


「あ〜気になるといえばアーサーが今も生きてるって事はもしかして歳ってとらない?」


「いやとる……が理屈は解らないけど外見に変化がない強いて言うならアーサーが乾燥肌で最近悩んでるとか頭を困らせてた位だな」


 う〜ん。どうゆう原理なのだろう?ゲームや小説とかで良くある感じだと溜め込んだ経験値を消費して維持している〜とか目にしたりするけどどうなのだろう?


「どうだろうな。それに関してはみんな謎に思ってるんだよ」


「だよねー……ならほら私達ってゲーム内のキャラクター何だよね?だったらレベルがカンストしても攻略したりで使いもしない経験値とかは会得してた訳だしそれを使ってるならワンチャンないかな??」


「あ〜やっぱそうなのか?色んな奴らも似ている事言ってたんだよな」


「分からないけどねゲームとかで良く見たりする設定を今適当に持ってきただけだもん」


 そうしてそんな会話を続けながら食事をしていると蟹丸がなにかを思い出したかのように話を区切って別の話題を出す。


「あ、そうそう一つだけ忠告あったわ」


「おん?」


「魔法なんだけどむやみやたらに使わない方が良いぞ無意識下に適当に撃つとその瞬間辺り一面魔法で地獄絵図になるから」


「意識したら良いの?」


「そうだなちゃんと注ぐ魔力とかを調整した上で撃てばちょっと威力が高い程度までには抑えれるからそこは慣れだな。魔法職系のスキルで魔力制御は持っている筈だろうし少し練習したら大丈夫だと思う」


 なるほどな〜……。あれ?何度か魔法使ったよ私。

 その事について聞いてみると、補助系だったからか差程影響が無かったのではないのかなと言われた。




 そうして色んな話をしている内に時間は10時を過ぎようとし流石に解散する事になったが今日の宿はどうするのか聞かれたが。


「あ〜此処ってわかる?」


 この街に来る時に渡されたメモを見せる。


「ここならすぐそこだ 」


 そう言って蟹丸は帰り道のついでだと案内をしてくれるその間も色んな事について語り合っている内に聞き忘れた事がもう1つある事を思い出した。


「ねぇステータスってどうやって見れるの?聞いてる感じだと見れる??」


「んあ?魔法とか使っといて見てないのか??簡単だよ『ステータス』そう念じるか言えばホログラムみたいに目の前に現れるぞ」


 なるほど、ふむ……。

 少しだけ立ち止まり念じようとした瞬間


「待て待て!!ここではやめとけ言っただろ持ってた全ての魔法とスキルを有しているって前が見えなくなるぞ」


「なんと!!?」


 それは危ない人にぶつかるかも知れない。止まってた足をまた動かし宿屋に向かう。


「ここだ」


「ありがとうね」


「別に構わないさ、そうだ明日は暇か?」


 急に突拍子の無い質問が飛んでくる。まぁ別にこれといってする事は無いけどさ。


「なら明日、俺の練習場連れてってやるよ」


「それは助かるな〜!!聞いた時から何処でしようかなって思ってたんだよ」


「なら明日ここで待ってな迎えに来るわ。そんじゃおやすみ」


「うん、おやすみなさい今日はありがとね」


 彼を見送ると私も目の前の宿に入ると見知った人が掃除をしていたがこちらに気づくと少し嬉しそうな声色でこちらに話しかけてきた。


「あら!!これはこれはエスタスさんこんばんは」


「こんばんは、申し訳ございませんがこんな時間ですが部屋って借りれますか?」


「えぇえぇ!!もちろん構いません!!どうも見た感じお疲れのようですのですぐさま部屋の方に案内しますね」


「あ、料金って幾らぐらいですかね知らずに来たもので……」


「そうですねオプションにもよりますが基本料金は銀貨四枚ですね」


「あ〜でしたら朝食だけ追加って出来ますかね?」


「でしたら追加で銀貨二枚頂く事になりますが」


 となると銀貨六枚だからえーと日本円で六千円か。まぁ普通の値段なのだろうか?アイテムボックスから銀貨六枚を取り出し渡す。


「はい、確かに銀貨六枚頂戴しました。それでは案内しますね」


 彼は裏に行くと鍵を持ち出し部屋へと案内してくれた。


「それではごゆっくりと」


「ありがとうございます」


 彼を見送ると部屋の中に入っていくと一気に疲れが表に出てきた、部屋にあるベッドに腰掛ける。

 物凄い疲れた……今日一日で色んな事が起きすぎた。もうそのまま寝ちゃおうかな……と思ったが、宿屋の入口の事を思い出し、『ステータス』と念じると視界いっぱいに沢山の文字が現れそれに少し驚く。


 これはちょっと確かに人前でしない方がいいなぶつかるし集中しちゃう。

 色んな文字が浮かび上がるそれを指で動かせないかなと思いながらスライドさせてみるとそれはちゃんと動いてくれる。しかしなんでもやってみるもんだな、そんな事を思いながらつらつらと並べられたスキルや魔法を確認している内に私はいつの間にか眠りにつき長いながい一日に終わりを告げた。

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