第14話 警戒されました怖いです
「ぶえっくしょい!!!!」
調子乗って外に出たのは良いが……肌寒くて仕方がない!!朝とかは全然丁度いい気温だったのに夜寒すぎないか!?
手に持ってるランタン程度の火では暖をとることもままならない。
……そういえばカイロみたいな石あったような。
あったあった。
それとついでにコートも取り出す。このコートは冬イベントの時に、配布された物でゲーム時代はあまり合わなかったのもあり着る機会もなく倉庫の肥やしになっていたがこんな所で役に立つとは思わなかったよ。
「はぁ〜……あったかい……」
コートにうもれながら今後について考える。
といってもやることはいなくなった皆がいるかどうかの確認と、気ままに旅をできればいいかな位で特にないんだよね。
となると情報収集しないとだけどここからだと何処かいい場所あったかな??
『ここから1番情報収集ができそうな所だと港町じゃないかな?』
『全く同じ作りの世界ならあそこは貿易の船も出してた筈だからもってこいじゃないかな?』
あ〜確かにあそこなら情報収集できそうだ、人の行き来も多く、町そのものもそこそこの大きさだった筈だ。
しかし今から行くとなると早くて四日といったところか、時間が掛かりすぎる気がする。
移動手段か……無い訳ではないのだが目立つよね確実に
まぁ、今は夜だしどうにでもなるかな?
考えるより先に行動するそれがゲーム内でのモットーだった私はこちらでも変わらないようで、その場で立ち上がり深く息を吸うと勢いよく叫ぶ。
【竜の呼び声】
契約中の竜種を呼び出す為のスキル
一見、ものすごくうるさそうに見えるが、見えるだけで実際の声は術者と契約中の竜種のみにしか聞こえない
それを発して数秒後……
横の空間に亀裂が入り、次の瞬間には白くて大きな顔と手が姿を表した。
「呼んだか?」
あ〜そんな風に来るんだ。空から飛んでくるかと思ってちょっと警戒してたけどこれはこれで心臓に悪いかな?亀裂が割れる音が物凄くうるさい。
「呼んだよんだごめんね〜夜中なのに呼んじゃって」
「良い丁度解放されたいと思っていたからな貴様からの呼び出しならあいつらも止めることなど出来ないからな」
「解放って……あぁ子育てか」
「数も多くてなローテーションを組んで相手をしているのだがいささか無邪気すぎる目を少し離すとすぐさま姿をくらまして心臓に悪い」
彼は私の周りを囲うように寝転がるとまるで「なでれ!!」と言わんばかりに頭を私に近づける。
やれやれ……
そう思いながらも彼の鼻先をゆっくりと撫でてているとふと彼が出てきたところを見る。どんな風に戻るのかなと思いながらそこを見つめていると……。
「ぱぱうえーーーーー!!」
それは勢いよく出てきたと思ったら辺りを見渡しこちらに気づくと勢いよく走ってきて彼の鼻先に抱きつく。
「いたーーーー!!ぱぱうえーー!!」
「なんでお前がいる……寝ていただろ」
「起きたーー」
「そうかそうかしかし危ないぞもし扉が途中で閉まったらどうするつもりだ閉まったら次元の狭間に置き去りになる所だったのだぞ」
「ごめんなさい……でも起きたらぱぱうえいなくて寂しかったからそしたら穴が空いてたから気になって……」
「いや、ぱぱも悪かったすぐさま閉じれば危険な事もしなかっただろうに」
彼はそう言いながらあやす様に顔を動かすと幼竜は楽しそうにはしゃぐ。そしてその様子を目の前でニヤニヤしながら見ていると私対して幼竜が興味を示す。
「人間さんだーー」
「初めまして幼竜ちゃんお名前は何かな?」
「えっとねお名前はシェリング・アーツ言います人間さんはなんていうの?」
「うんうん 私はねエスタスって言うのよろしくね」
私の名前に聞き覚えがあったのかシェリング・アーツは彼の鼻先から飛び降りこちらに駆け寄ってくる。
「その名前知ってるよぱぱうえがたまに口に出すやつだー」
ほほう……
それは知らない情報だ。彼もといシェリングのぱぱうえ【シェリアス】方を見る。
「し、し、知らん言った覚えなんてないぞ」
「えーーぱぱうえたまに寝言で言ってるよー?」
「寝言はどうにもできんだろう……」
夢に出るほど私に会いたかったなんて……。
どんだけ可愛いんでしょうか図体はでかいのに中身はまるで子供のままみたいだ。
頭を抱えてるシェリアスを他所に、こちらに駆け寄ったシェリングを抱き上げると嬉しそうに声を出してくれるからかこちらも嬉しくなってくる。
それにしても意外と小さい、記憶にあるシェリアスの幼竜時代より一回り小さい気がするがそれは身体だけであればの話だ。
羽を合わせると話は変わる、羽を広げて見せてくれるか聞くとすぐさま大きく羽を広げる。
その大きさを見て私はつい驚いてしまう。明らかに大きすぎるシェリングの身体が六体分ぐらい入ってしまうのではと思うぐらいだ。
「ねぇこれ羽さ大きくない?」
「ん……あぁ大きいな良いことだ羽が大きいって事はそんだけ魔力の扱いが出来るということだ」
そうだった。元来彼ら竜種の羽は空を飛ぶ補助の役割と同時に、魔力タンクになっているんだった。
「それじゃあ、将来は物凄い竜になるんだね」
「そうだな俺よりも偉大になるだろう実に良い事だ」
「ほほう……まるで自分は偉大みたいな言い方ですな〜」
「事実だ!!俺に勝てる生物がいるなら見てみたいものだ」
そう言うシェリアスは自信満々に鼻を鳴らしながらドヤ顔をする。
まぁ……実際大陸ひとつ潰してる訳で、偉大かどうかは置いても生物として勝てる者は居ないであろう。
そして、シェリングの身体検査を終えそしてそのまま遊ぶこと数分。
流石に夜も遅いのもあり遊び疲れたのもあって今にも眠りにつきそうにあくびばかりをしているシェリングを抱きながらあやしているとようやく呼んだ理由を思い出す。
「あ そうだ背中に乗せて連れてって欲しいところあるから呼んだんだよ完全に忘れてた」
「なんだそんな事で呼んだのか転移の術使えただろうあれはどうした」
「使えてたら呼んでなんかいないですーー!!」
正確には転移の術自体は使えはするのだが、発動する為の条件が現存する場所と頭にあるイメージが合致しないと移動ができないのである。
そういう訳でかイメージが悪いのか現存する場所が様変わりしたのかは分からないが使えないのである。
「そういう訳でさ乗せてってくれると嬉しいかな〜って」
「良いぞ!!ちなみにどこだ?」
「あ〜えとねちょっと待って地図出すから」
地図を取り出し今いる現在地と行きたい街の場所を見せる。
「ここからなら2〜3時間と言ったところだな良いだろうほら乗せてやる」
差し出された手に乗ろうとする前に、シェリングの様子を見てみるとゆっくりと寝息を立てながら眠りについていた。
「寝ちゃった……さすがに移動は……」
「うむ、ならば一度連れて帰るからこちらに渡せ」
起こさないようにゆっくりと動かそうとすると……。
「やーーここで寝うーー……」
寝ぼけながらも確実に離さまいと意思がしっかりしてるのか動かすことすらできない。
「シェリングよママのところに帰ろう?な?」
「や……」
「ねぇシェリングちゃんこのままだとお空に飛んじゃうけど良いの?寝れないと思うよ?」
「ここが良いのーー!!」
ん〜これは折れそうにないな……。
仕方ないこのまま連れていこう2〜3時間って言ってたから向こうに着く頃には朝になっているだろうし向こうについてから考えよう。
「あ、移動するの待ってね流石に君の巨体だと夜でも目立つからね」
彼に対して姿隠しの魔法を掛けるとそこにいたシェリアスが不規則な歪みをしながら向こう側の景色を浮かべている。
「これ使えるでしょ?なんで使わなかったの??」
「いや……面倒くさくてだな……」
ため息しか出ない……。
まぁいいや今度から使う様に言いつけ、シェリアスの背に乗るつもりにしようとしたが、流石にシェリングが寝てる事もあり両手で囲うような形で移動する事になったが……。
これがかなりめちゃくちゃ快適だった。両手で覆われてるからか風の被害もなく、全方位に壁があるから飛ばされる事もないのだからだ。
大分の時間移動し続けていると。
「おい、何処に降りる?街中か??」
「やめなさい!!怒るよ流石に」
「え、え〜とどっか人目につかなさそうで降りれそうな所ないかな?」
「ふむ少しまて……」
少しすると身体が感性で横に倒れる、どうやら良い場所を見つけたみたいだ。
景色が歪んで良く見えないが辛うじて見えるのが紫色に染まった何かが見える位だがそれだけの紫色の土地となると一つしかなく何処に降りるかは予想はつく。
「着いたぞ」
ゆっくりと手の平から下ろされ、辺りを見渡すと同時に鼻が曲がるほどの匂いが襲う。
「あ〜ここか〜!!やっぱり!!鼻痛いよ〜……」
「しまったな……流石に俺もキツいが良さそうなのがここぐらいしか無かったんだ」
紫色の正体それはラベンダーであり、降り立った場所が群生地だったのだ。
流石にこれだけ咲いているとなると匂いがキツくて敵わない。
シェリアスもものすごく嫌そうな顔をしながら未だに寝ているシェリングを受け取ろうとする。
「これは流石にキツい悪いが帰らせてもらいたい」
「良いよありがとうね」
ゆっくりとシェリングをシェリアスの鼻先に移動させる。
……良かった起きる気配はないみたいだものすごく助かる。こんな所で駄々をこねられるとこちらとしてもだいぶ困る。
「それじゃあ今日は帰る話ができて楽しかったまたな」
「うん こっちも楽しかったよまた呼べる時がきたら呼ぶね」
シェリアスは少しだけ頭を下げるとそのまま次元の狭間に消えてった。
狭間が元に戻ると私すぐさまその場から離れ森の中に入っていくとすぐに明らかに人の手が加わった道が現れた為それにそって歩いていると人の声がたくさん聞こえ出す。
おっ!!人がいるみたいだけど……。
なんか騒々しくないか?
少しだけ早足で移動し森を抜けると、目の前には何故かこっちに剣や杖などといった物を向けた状態で警戒している人達と鉢合わせてしまうのであった。
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