第2話 ガガの森、進行 前
物凄い向かい風が身体全体に吹き荒れる
しかしそれもほんの数秒程で咄嗟に瞑っていた瞼を
ゆっくりと開く。
「は?」
ただただそれしか言葉が出ない
私は玄関に手を掛けて外に出ようとして
……それで気づいたらこんな緑生い茂る草原に立っていた。
(待ってまって!!意味がわからないなんだこれ家にいたよね私)
頭の中が混乱しているままに更なる問題が増える。
それは視界を下に向けた途端だった。
視界が低い低すぎるのだ。彼女は一応百七十センチメートル近くの身長もっており
そんな彼女が1発で分かるほどの視界の低さで更に混乱する。
混乱しながらも視界の先を胸に向け服を確認するが、これもまたさっきまで着てた物と全く違う。
違うが……見たことが無い訳ではなかったむしろ良く知っている物だ。
しかしそんな事は有り得ないと思考を捨てようとするが
どうしても頭の隅にへばりつく様に住み着いてしまう。
その瞬間、恐怖で身体が強ばり涙で視界が歪む
やはりここはゲーム内なのか?それに私自身はどうなっている?
この視界の低さに身にまとっている衣装はどう考えても……。
そこで思考の隅にある事が一つ警告音らしくもの伝えるように思い出す。
思っている通りであればここはフィールドそして魔物がスポーン……湧き場所だったはずそんな場所で蹲って泣いてる余裕なんてない。
グッと涙を堪え移動する事を考える。
(とりあえず人に会いたい……)
辺りを見渡す。
やっぱり覚えがある記憶が正しいならここから少し先の森は【ガガの森】のはず。
その先を抜けたら確か大分前のレイドダンジョン実装前に拠点となる場所をエルフ族を筆頭に開拓し作った設定の町があるはずと記憶しているがこれはゲームでの話、今これが通用するかは分からないがとりあえず掛けるしかない。
とりあえず自分の記憶を頼りに歩みを進める。
歩き続けてる内に次第に心が落ち着き思考を正常に巡らせることができるようになってくる。
歩きながらも自分の状態を確認する。
武器は無く素手で草原に投げ出されるが着ていた装備はそのまま……と。
しかしこの装備も強かったと言われればそういう訳でも無く
街中を歩く時のロールプレイ用装備な訳で……何ヶ所かは強い装備をつけてはいたはずだが、それでも戦闘時の装備よりはかなり劣る。
そして極めつけはさっきから歩く度に視界にチラチラと映る尻尾?のようなものいや尻尾だな。
ゲーム内種族通りであれば今は竜人のはず。自分の姿を見るまで正直思いたくもないが今はそうゆう事であろうと仮定した上で考える。
設定では、希少な種族であり数だけで見れば純粋な人種とは大きく個体数が少ないが、その代わりに生まれつきの身体能力の高さと類まれな戦闘センスで人種との拮抗を保ってるだったかな?
そんな事を考えてる内に森の入口が目の前まで迫る。
自分が歩いてきた道を振り返り見つめる。
視点は違えど見間違えるはずもない草原はそこにはある。
ただただ懐かしいとさえ感じてしまうのはこの身体の影響なのか、それともゲーム内ではあまり来なくなったせいなのかは分からない。
ゲーム内でのここは初心者がレベリングの際に良く使う場所である事を思い出す。
もちろん自分自身もこの狩場にはお世話になった一人だ。
あれはまだ正式にゲーム開始直後の事だった。
ここ自体はオープンβ時代の頃にここの魔物の経験値が美味いと理由で良く使われており、正式に開始された時にある一つが追加と多少なり修正はされたが、それでもほかの場所よりは、経験値が美味く沢山のプレイヤーがパーティ狩りをしていた。
皆でチャットをしながら和気あいあいと狩場を練り歩いたなと、そして正式オープンで追加された要素である程度狩っていると、二つ名持ちがスポーンして無差別にプレイヤーを虐殺し現実時間で数分するとその場から消える為それの繰り返しでレベリングしてたのを思い出す。
湧くのはフォレストウルフだったかな?そんで二つ名が確か【森の賢狼】だったはず。
今でも思うあれは、どう考えて初心者の狩場に置くような魔物ではないと、不可視の足元確定攻撃に広範囲の範囲技
極めつけは体力が五割切ると確定で放ってくる無差別敵視の確定死の連撃しかもこちらのプレイヤーの人数によって狙われる人数が増えるため理不尽極まりない。
この時に回復職が運悪く全滅するとキツいんだよなとそんな懐かしい事をふと思い出し口元が緩まり少しだけ口角が上がる。
そして時間にしてほんの数分だが名残惜しそうに視線を森の方に戻す。
【ガガの森】ここもまた初心者用の場所であり、最初の頃は良く依頼などで行かされた場所だ。
それゆえ魔物のレベルのそこまで高くはないが、これもまたゲーム時代の話であり今はそうも行かない。
武器でもあれば多少なり心強いのだが無いも無いのだ。
「大倉庫とかインベントリとかになら沢山武器防具あるのに……出せないのかな?」
どこぞの作品宜しく指を上から下に降ろしたり
「インベントリオープン!!」と少々恥ずかしいが叫んでみたりとしてみたが……
それらしい物は一切出ることはなかった。
無理なものを今は考えても仕方ないと思考を変える、もう少ししたら日が暮れる。
正直今の時間に森に入ること自体、自殺行為であるがここにいた所で魔物にでも遭遇してしまえばそれこそ人生そのものが終了してしまう。
それならばと、一か八か自分の運に掛けてみるのも一興であると
そして急ぎ足でしかし警戒を怠らないように薄暗い森の中にと彼女は消えていく。
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