第9話
重い体を引きずって帰途に着く。外着のまま、ベッドに倒れ込み、瞬間に悟る。あ、これ長引くわ。母が階下で何か言っている気がしたが、電池の切れたおもちゃのように俺は眠りについた。
ズキズキと痛む頭、変わらぬ服装に寝落ちしたと気づく。時計の針はとうに始業時間を指し、俺を焦らせにくる。必死の思いでリビングにたどり着くと、ソファに座る母の姿。背後に俺の気配を感じたのか、
「あんまりひどいなら寝ときな」
と。これは本当に、無断遅刻、欠席を鬼の形相でしかる母さんか。そんなことを思いつつ、ありがたく寝かせてもらう。昨日意地でも雪の暴走を止めるべきだったと思ってもあとの祭り。重だるい体は正直で、ベッドに寝転ぶと瞬く間に睡魔に襲われた。
誘われる最中。誰かの影が見えた気がするのは気のせいか。
Last order 紀伊航大 @key_koudai
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