第2話 JK BOMBER
「安楽死の方法って知ってる?」
朱音が打ったその言葉。メレンゲはこう言った。
「何?死にたいん?うちが殺してあげるよ!」
もちろん冗談だ。
「ありがと」
朱音がそう返したまま、ルームから出て行ってしまった。その後も朱音は様々なルームを転々とした。心配して追いかけ回す僕から逃げる様に。追いかけ回してる内に、朱音は全てのルームから姿を消した。
僕は彼女とDiscordのアカウントを交換していたことを思い出し、すぐに連絡した。
「朱音?!どうした?何があった?」
「なんもないよー。大丈夫」
「大丈夫なん?正直、本音で言うと、俺は朱音の事が、大好きやし、願わくば結婚したいとまで思ってる。会った事ないくせに何がわかるんや!と思うかもしれへんけど。キッショと思ってくれて構わん。だから、そんな大切な人がこう…辛い目に遭ってるというか、思い悩んでるのは見てて辛い。今、俺から言えることは、テスト頑張れ!ってことしかないけど…心配なのよ。胃潰瘍なりそう。だから...」
僕にひねり出せる最大限の言葉だった。いつぶりだろうか。心臓から言葉を捻り出す感覚は。
テスト頑張れってのは、彼女は成績が悪く、次悪ければスマホ没収ということだった。彼女は、カタリ、カタリと話し出した。
「いじめしんどいって言ったっけ?」
前、ルームで聞いたことだった。朱音は中学2年生。警察になりたくて、柔道部に入ったけど、知り合いの先輩と一悶着あって、先輩が部活を辞めて。それで、いじめが始まった。それ以来、噂が噂を呼び、同級生に陰湿ないじめを受けているとのことだった。
「聞いたけど…」
「それで学校が辛くて。家でもお父さんの当たりが強かった。兄弟贔屓されてる気がして。だから、スマカラとかネットでみんなと喋るのが唯一の楽しみで生きがいみたいなもので、それを無くされたら生きてる意味がないんじゃないかっておもって
死にたいなってなっちゃって」
「なるほど…なんと言えば良いのか…とりあえず、学校と父親最低やな...」
それしか言えなかった。
「リア友は信用できないの。裏切られていじめられたから」
「辛いな…頼れる人周りにおらんの」
「それに比べてネッ友は、顔が見えないから。なんでか安心できるから。もう楽しみが無くなるんだって思うと。死んだ方がいいんじゃないかと。死んだって悲しまれることなく一瞬で忘れられるんだなって」
「死んだら俺が悲しいから死なないで。独りよがりやけど、たしかに朱音は死んだら楽になるかもしれん」
「ありがとう。でも私がいなくなることでいじめの対象が他の子に行くとなると...」
「でも、死んだら、その先の楽しみも…説教臭いからやめるけど。中学校何年やっけ」
「2年」
「お父さんに『いらない 』って言われた𐤔」
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